軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

450回目 『世界樹ダンジョン』

「『世界樹のダンジョン』へ挑むとお前達は言うが、人間では厳しいと言わせて貰おう」

「人間では…………ですか?」

「そうだ。この『世界樹のダンジョン』には、魔法とスキルに制限が掛かる。どちらも『樹木魔法』か、それに準ずる『治癒魔法』以外がほとんど使えなくなるのだ。見ていろ」

そう言ってイマメルバーンは様々な魔法を発動して見せた。すると確かに、樹木魔法と治癒魔法は普通に発動したが、例えば火属性の魔法は、小さな火球が出たものの、すぐに萎んで消えてしまった。氷や雷もまた同様である。

「と、この様になる。他には体内で発動する自身の強化スキルも使えるが、他者に及ぶバフは使えなくなる。更に装備も、金属で出来ている物には過重の付加が掛かるため、使えて小さなナイフくらいだ。この『世界樹のダンジョン』にはこれだけの付加が掛かるため、人間のみで挑み帰って来た者はいない」

「金属製の装備に付加?」

「我らエルフならば『世界樹の加護』も持っているため、多少なら金属製の武器も使えるし、世界樹の上にいる限り継続的な回復効果も僅かに得られる。この『世界樹のダンジョン』は、我らエルフの領域なのだ。悪い事は言わない、君達だけで行くのはやめた方が懸命だ」

「「……………………」」

イマメルバーンはそういう風に説明したが、俺達は顔を見合わせて首を傾げた。何故なら、イマメルバーンの言う『過重の付加』が掛かっていないからだ。金属製の装備が普通に軽い。いやまぁ、この軽さはガチャ装備ならではの軽さではあるんだけども。

「カーネリア、何か試してみてくれ」

「解ったわ。『クリムゾン・アロー』!」

カーネリアが宇宙空間に向けて炎系の中級魔法を放つ。するとカーネリアの手の前に現れた魔方陣から、まるで槍のような大きさの炎の矢が飛び出して飛んで行った。

「…………使えるな」

「…………使えるわね」

「……………………そんなバカな」

カーネリアの手から飛んで行った炎の矢を見て、イマメルバーンが唖然として呟いた。

…………こうなったらやる事は一つ。検証である。

そして検証の結果、解ったのは確かに魔法には制限が掛かっている、と言う事だ。

例えばティアナが氷属性の魔法を使うと、イマメルバーンが説明したように、小さな氷がパリッと出て直ぐに壊れてしまう。シエラも治癒魔法は普通に使えるが、それ以外の魔法はダメだった。

ならば何故カーネリアは普通に使えたのか。それはカーネリアが装備する☆5『虹色魔晶石のブローチ』のスキルがあるからだ。

この『虹色魔晶石のブローチ』は、中級までなら全属性が使えるようになるスキルがついている。どうやらこれが、『世界樹のダンジョン』の制限を突破したらしいのだ。

その証拠に、カーネリアの放つ上級魔法は簡単に崩れてしまった。これはその上級魔法が、カーネリア本来の力によって放たれたからだと思われる。

そして、アレスは☆4『白雷獣の剣』から普通に雷撃を放つ事が出来た。その他の魔法が放てるガチャ装備に関しても、問題なく魔法が放てた。

要は、この『世界樹のダンジョン』の制限よりも、俺のガチャ装備の性能の方が勝っているのだ。

「……………………そんなバカな」

「…………えっと、なんかスイマセン」

検証が進む間にどんどん煤けていったイマメルバーンに、俺はついつい謝ってしまった。

って言うか、もうこれ楽勝じゃなかろうか。俺のガチャ装備なら過重の付加もなく、金属製の装備だろうが楽々振り回せる。しかもガチャ装備のスキルにある魔法なら、魔法の制限もない。

それにどうもこのダンジョン、金属に弱い樹木系モンスターが多いらしいのだ。金属製の武器が使えるだけで、モンスターに与えるダメージが大幅にアップするらしい。

「ともかく、俺達でも十分いけそうなので、『エルフの秘薬』の素材を採りに行って来ます。なので、必要な素材について教えて貰えますか?」

「……………………いや、必要ない。私も共に行く」

「え?」

「大変に不本意だが、君達の言う『ガチャ装備』は優秀だ。この『世界樹のダンジョン』を、ともすれば完全に攻略してしまうだろう。だが、我々はこの世界樹を護る事も使命のひとつ。このダンジョンには、世界樹を護る為に荒らされては困る場所もあるのだ。君達を侮る様な事を言っておいて虫のいいことをお願いしてしまうが、私も連れて行ってくれ」

イマメルバーンはそう言って頭を下げたが、長老の一人に数えられる程のエルフが一緒に来てくれるなら、それは俺達にとってもありがたい事だ。実際、この『世界樹のダンジョン』については、知らない事しか無いのだから。

俺はイマメルバーンに頭を上げさせて、さっそくフレンドとして登録をした。どうせならば、ここでイマメルバーンにガチャ装備の有用性を確かめて貰うのも一つの手だ。

「ぜひ、よろしくお願いします」

「ウム、こちらこそよろしく頼む」

こうして俺達は、イマメルバーンをパーティーに加えた六人パーティーで、『世界樹のダンジョン』へと乗り出した。