軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

429回目 ドアルガンの驚愕

ドワーフの上位種として生まれたドアルガンは、もうじき二百歳となるハイドワーフだ。

六十年前、あの神獣から瘴気が吹き出した事故の時はまだ若造で、兄弟の序列も下の方だった。神獣の甲羅の上である大地を掘り進めて造られた中継地は、ドワーフの中でも実力を持った者達が集められていた場所であり、まだ大人として認められていなかったドアルガンはそこに行く事は許されていたが、寝泊まりまでは許されていなかった。

ドワーフの世界では、『火酒』と呼ばれるアルコール度数の高い蒸留酒を大きな樽で一つ飲み干し、その酔いがある内に武具を一つ完成させなければ、一人前として認められない。

当時のドアルガンは、火酒を樽で一つ飲み干す事は出来ても、その後の鍛冶で無骨な剣しか打てず、一人前の男として認められていなかったのだ。

だが、あの事故が起きた事で有力なドワーフ達が力を失い、父や兄が鍛冶仕事をこなせなくなったのを見て、家族の為にと奮起したドアルガンが火酒を煽り、魔戦斧『ドルガーナ』を鍛え上げた事で一人前となって、当主である曾祖父から『長兄』を任された。

成人の儀でもある『火酒煽りの鍛冶仕事』でスキルを有する魔剣を鍛え上げたドワーフは数える程しかいない。

その功績は、ドアルガンを長兄だけに留めず『里長』にまで押し上げた。実はドアルガンは、歴代の里長の中で最も若い里長でもあるのだ。

「…………こりゃあ、たまげたな。話に聞いてはいたが、想像を絶するたぁこの事だ」

☆5『◇天空城『レナスティア』』に招待するためにドアルガンをフレンドとした俺は、飛空艇『アベルカイン』で『レナスティア』の上にやって来た。

美しく雄大な『レナスティア』の姿に、ドアルガンはもちろん、ドアルガンの護衛としてついて来た側近二人も驚愕に眼を見開いている。

「この大陸がガモンのスキルから出て来たアイテムだってんだから恐れ入るな。この飛空艇と言い、見せられたガチャ装備と言い、その装備をするのに必要なフレンド登録と言い、お前さんのスキルはメチャクチャ過ぎねぇか?」

「まぁそれは俺も思うけど、『方舟』を相手にするにはこれでも足りないんだ。だからこそ、ドアルガン達の力を貸して欲しいんだよ」

フレンド登録をするにあたって、俺はドアルガンと五分の盃を交わした。任侠映画なんかでよくあるアレだ。その為、俺とドアルガンは五分の兄弟分となり、言葉使いも崩した。

ちなみにドアルガンの弟分達には『叔父貴』と呼ばれるハメになった訳だが、まぁそれは余談である。

「いやよぉ、そりゃ兄弟に頼まれたら手を貸すのはやぶさかじゃねぇがな…………」

そう言いながら、ドアルガンは俺が見せたガチャ装備を一つ取り出した。

「兄弟のガチャ装備は、スキルまで持っていて強力な上に重ねて強化まで出来て、フレンドしか装備出来ないと来ている。…………試してみて驚いたぜ、持つことは出来ても装備できねぇとは。しかもそれが、フレンドになった途端に装備出来た時には笑うしかなかったぜ。…………で、こんな装備を多数持っといて、ワシらドワーフに何をやらせるんってんだ? 要らねぇだろ、ワシらの鍛冶仕事じゃ、ガチャ装備は作れねぇぞ?」

「ところがそうでも無いんだよ。じゃあまずは、そこから案内しようか」

この『レナスティア』の本島にある『天空城』。俺達はまずそこへ向かい、管理AIであるレティアが出した亜空間ゲートを通って、天空城の中へと場所を移した☆5『技巧神の大工房』へとやって来た。

ここに来てドアルガン達はキョロキョロしっぱなしである。天空城のデカさなんかもそうだが、『技巧神の大工房』の中の造りにも驚いているのだろう。

近未来的な施設は、それを知らない者達からすれば、訳の分からない造りをしているだろうからな。

そして工房の奥へと行くと、そこではアルジャーノンが何やら作業をしていた。

「ああ、お帰りガモンくん。その三人がドワーフの里から視察に来たお客さんかな? …………また随分と若い子達を連れて来たね。はじめまして、アルジャーノンです」

「「「ア、アルジャーノン様!?」」」

アルジャーノンの名前を聞いて眼を見開いたドアルガン達は、一斉にアルジャーノンの前に膝をついて頭を下げた。

アルジャーノンはエルフとドワーフのハイブリッドで、かなり長い時を生きているからな。ドアルガン達にとって、やはり特別な存在らしい。

「ああ、そういうのはいらないから立って。君達は『ワガマサル家』のドワーフでしょ? ドスガルくんは元気してる?」

「ドスガル…………! 曾祖父…………いえ! ご、ご当主様なら元気しています。最近は寝ている事が増えましたが、記憶もしっかりしていますので」

「そっかぁ。あんなにヤンチャだったドスガルくんが『ワガマサル家』の当主なんだね。時間が過ぎるのは早いよね」

しみじみとつぶやくアルジャーノンに、ドアルガンは少し引きつった笑みで答えていた。

ドアルガンの曾祖父も子供扱いか。アルジャーノンは長く生き過ぎじゃなかろうか。