軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

422回目 ドワーフの里へ

火山がある灼熱の地バゴス王国。この国の火山地帯は国の真ん中から北側に向けて、幾つかの火山が連なる形で出来ている。

その形を上空から見たなら、逆三角形に見えるらしい。それはカーネリアが実際に見たと言っていたので間違いない。

バゴス王国は連なる火山の熱のせいで灼熱の地にも関わらず、溶岩に呑み込まれる心配は少ない。その理由が、この特殊な溶岩地帯の地形にあるのだ。

ここの火山は年に百回を越える程に何度も噴火をしている。だがそこから溢れた溶岩が、バゴス王国のある南側に行く事は少なく、溶岩の川こそ流れているものの、それ以上に被害はない。ほとんどの溶岩がバゴス王国の北にある海へと流れ込むからだ。

そして危険極まりない火山の北側に、好んで住んでいる者達がいる。

溶岩の大河が幾重にも重なり流れるその場所で、溶岩が地中深くから運んで来た鉱物を掘り、溶岩の熱おも利用して武具を造る精霊種族。

ずんぐりとした筋肉の塊のような身体を持ち、荒々しい髭を揺らしながら荒々しい言葉で喋り、鍛冶を愛し、それと同じくらいに酒を愛すると言う、ファンタジーではエルフに並んでお馴染みの種族。

そう、『ドワーフ』である。

そんなドワーフ達が住むドワーフの里に向けて飛ぶのは、飛空艇『アベルカイン』。俺は現在、その『アベルカイン』にある部屋の一室で、半裸の少年と向き合っていた。彼が半裸なのは、別に変態だからではない。バゴス王国の正装が、『鍛えた筋肉』だからである。…………変態でもあながち間違いではないかも知れない。

「そんな所に住んでるの? ドワーフって」

「は、はい。火山を掘って作った洞窟に暮らし、中々人里にまでは来ない一族です。お、俺達の国に来るのも月に数度くらいで、武器や防具を売って、食料や酒を買い込むとすぐに火山に帰ってしまいます。なので俺も、見た事はありますけど会話とかはした事がないです」

俺の前で何故かガチガチに緊張している細マッチョの少年の名は、『コウハキン=ケイ=バゴス』。バゴス王国の第三王子だ。

なぜバゴス王国の第三王子が俺達と一緒にいるのかと言うと、バゴス王国の王様から押しつけられたからだ。

それはホンの数時間前。ストーリークエストだの☆5『技巧神の大工房』だのの理由があってドワーフを訪ねに行こうと決めた俺達は、ドワーフの住む火山地帯に行く為に、まずはバゴス王国の王様へと挨拶に行った。

ドワーフ里がある所まで飛空艇で行こうとしているので、通行の許可を貰いに行ったのだ。

本当は、空に関しては国境らしき物は無いらしいのだが、そこは礼儀と言うか、婚約者もいる男としてちゃんとしようと言うか。まぁ非常時でもなければ、挨拶はしっかりしておこうと思ったのだ。

この国には魔王・スタンピード騒動の時にカーネリアや『メガリス』のメンバーなんかを派遣しているし、直近でもカーネリアが俺の婚約式の事で来ているので、話は通し易かった。

むしろ、バゴス王国に置いた兵士を通して連絡したら、是非とも一席設けさせてくれと歓迎された程だった。

そして招待されたその席で、バゴス王国の『インマッスル王』にドワーフの事を伝えると、息子の一人も同行させてはくれないかとお願いされたのだ。

「ドワーフは我々でも中々会う事の出来ない種族だ。同じ国に住んでいながら、何代も前の王とドワーフの間に交わした約定のみで繋がっている。出来るならば、せめて息子達の代では確実な交流を持てるように、顔繋ぎをさせておきたいのだ」

とまぁ、コウハキン王子が付いて来たのは、そう言う訳だ。

ちなみにこのコウハキン君、俺は初対面だと思っていたが、先日のレクター王の戴冠式の時にテルゲン王国へと来ていたらしい。

国の内情を探るためか、わざわざ兵士の一人に成りすましていたのを、レティアが覚えており、ドール騎士を通じて教えてくれた。

『マスター、ドワーフの里が見えて来ました』

「おお、やっとか」

この飛空艇の艦長でもあるドール騎士のカンベルの声に、ブリッジの映像から地上を見ると、溶岩の大河に囲まれた中洲に、わりと大きな街があった。

建物などは少ないが、ドワーフは火山の岩壁を掘った穴に住んでいるらしいのでそれは当然だが、その少ない建物と洞窟との間には、それらを繋ぐ立派な道路が通っているのが不思議だ。それに道路以外にも線路のような物も見えている。まさか電車の線路では無いだろうけど、何だアレ? トロッコとかだろうか?

…………いやしかし、空の旅で来るのにこんなに時間が掛かるとは。

この火山地帯は、そこに連なる全ての火山が活火山であり、火口の上空は当然だが熱気が凄い。べつにその上を飛んだからって飛空艇は壊れないが、単純に熱い。熱すぎる。

なので火山の真上を避けながら飛ぶように指示したら、結構な遠回りになってしまったのだ。

「じゃあ合図を頼む」

『了解しました』

ドワーフの里に外の人間が行く場合、決まった合図がある。それは向かう人間が、ドワーフにとってどのくらい大切な人間かによって変わるのだが、俺達が使う合図はエルフとドワーフの間の子であるアルジャーノンが使う合図だ。

ドワーフの里から西の山に魔法を二発、東の山に魔法を三発、そして最後に北の溶岩の大河に魔法を一発。

これで飛空艇で里に入っても攻撃はされないと、アルジャーノンは言っていた。

そして実際に、俺達の乗る飛空艇『アベルカイン』は、ドワーフの里へと安全に降りる事が出来たのだった。