軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

396回目 幻獣戦・終盤の戦い

『キュロロロロッ!!』

『野郎! 待て!!』

いくら硬い幻獣とは言え、長く戦っていれば慣れてくる。有効な攻撃や魔法も見えてきて、敵の攻撃にも対策が取れる様になってきた。

幻獣『ブレイドロックドラゴン』が体から溢れさせる瘴気は濃い紫色となり、魔力を含んだその瘴気の濃度はかなり高くなった。

それを察したレティアが、☆5『桃源の酒泉』から湧き出る『仙酒』を持って来てくれたから、俺達は問題なく戦えているが、予め『仙酒』を含ませていた筈の大地は、グズグズと腐り、まるで汚泥のようになっていた。

だがそれで戦えなくなる筈もなく、俺達はブレイドロックドラゴンを追い詰めつつあった。

既に『魔力吸収器官』も全て潰し、多くのダメージも与えた。後は完全に滅ぼしてしまうだけだと、そこまで来ていた。

そして、それを察したブレイドロックドラゴンは、事もあろうに逃げ出したのだ。

その足はとんでもなく速く、機動武装『ホーク』で飛んでいる俺も、☆5『聖騎士の神鎧』で飛んでいるアレスも引き離されないようにするのがやっとだ。

それに自前の足で付いてくるバルタもいるが、バルタの装備では、迂闊にブレイドロックドラゴンの前に出たら殺されかねない。結果として、俺達はブレイドロックドラゴンを止められずにいた。

『クソッ、速い!! …………バルタ! 気絶させられないのか!?』

「さっきから何度も試しているんですがね! あの瘴気、あれに満たした魔力で常に周囲を見ているようですぜ! 意識も視線も切れねぇ! これじゃスキルの条件を満たせやせんぜ!!」

厄介な! このまま逃げられる訳にはいかない! 緊急クエストの事もそうだが、あんな瘴気の塊を地上に落としたら被害は甚大だ! それにこの下には女神ヴァティーのダンジョンもあるのだ。そこを目的地として落ちて来た幻獣だ、何が起きるか解らない!!

…………こうなったら!!

『アレス! 幻獣の足を何としても止めるんだ! レティア、居るか!』

『はい。ここに』

『シエラをバルタの所に連れて来てくれ!』

「アレをやるんですかい!? 解りやしたぜ!!」

それは、バルタと話していた最後の手段だ。本当は、これは使わずに勝ち切りたかった。使い勝手の良すぎる手段だからこそ、軽々に切るような切り札にはしたくなかったのだ。…………だがもう、言ってられない!

「うおおおおっ!!」

『ギィィイイッ!?』

無理やり追いついたアレスが、ブレイドロックドラゴンの足を止めた。自らの体を張り、相討ち覚悟で斬り結んでいるのだ。

そしてレティアに連れて来られたシエラと手を繋いで、バルタはスキル倉庫から☆5『時神の懐中時計』を取り出した。

『ギギィッ!?』

「捕らえやしたぜ!!」

そして一瞬後には、既に☆5『神罰の鎖』に体を絡め取られたブレイドロックドラゴンがそこにいたのだ。

逃げ出したブレイドロックドラゴンを我聞達が追いかけて行った頃、フレッシュゴーレムと戦うドゥルク達は思わぬ苦戦を強いられていた。

それはフレッシュゴーレムの放つ瘴気が、ドゥルク達の想定以上の量と濃度で広範囲に広げられた事に起因する。

瘴気に濃く汚染された地面が、フレッシュゴーレムの放った大剣の様な鱗を核として、新たなゴーレムとして起き上がったからである。

通常ならば、そんな土くれで出来たゴーレムなどドゥルクの敵ではない。しかし、濃度の濃い瘴気に長時間晒されたせいで、元が幽体のドゥルクが蝕まれ始めたのだ。そうなれば、いかにドゥルクと言えど退くしかない。ドゥルクまでもが瘴気によってモンスターと化せば、ここに居る者達に勝ち目など無くなってしまうからだ。

故に、フレッシュゴーレムと土くれの瘴気ゴーレムとの戦いは、ザッパ率いる『ノーバスナイト』と、メリア率いる『メガリス』に託された。

ザッパ達もメリア達も、善戦はしている。時折飛んで来るドゥルクの魔法にも助けられ、一進一退の攻防をしている…………様には見える。

「…………このままじゃマズイ!!」

「弱音はやめな! …………と言いたい所だけど、確かにこれはマズイね!!」

大魔導士ドゥルク=マインドと言う絶対的な戦力を欠いたザッパ達には、高い濃度の瘴気を纏うフレッシュゴーレムを消し去るだけの火力が無かったのだ。

途中からトレマとイオスの双子の姉妹も加勢に来てくれたので、まだ戦えてはいるのだが、決めてに欠けてはジリジリと押されていくだけだ。

レティアが運んでくれる☆5『桃源の酒泉』からの『仙酒』も、瘴気を押さえる事は出来ても晴らす程ではない。だが何とか瘴気を晴らしてドゥルクの力を借りなければ、あのフレッシュゴーレムを消し去る事ができないのだ。

『グォロオォーーム!!』

「ちくしょう! また増えやがった!!」

徐々に押され始めるザッパ達だったが、ここに来て、ついに援軍が到着した。

「…………今更ながら、僕も参戦します! 『世界樹の聖域』!!」

援軍として到着したアルジャーノンの魔法により、アルジャーノンを中心として聖なる波動が拡散した。

それは『世界樹』に認められたエルフだけが使えると言う『世界樹魔法』だ。攻撃力がある魔法などは使えないが、その場を一時的に浄化し、聖域とする事で瘴気を晴らしてしまう魔法。

この場においては、戦況を真逆に変えてしまう程の大魔法である。

『遅かったのアルジャーノンよ! じゃが、良い働きじゃて! 感謝するぞい!!』

ホムンクルスを飛び出し幽体となったドゥルクが、今が好機と全力の極大魔法を放つ!!

瘴気から逃れるべく退きながらも、複数の魔法の詠唱を重ねて準備していた、ドゥルクの魔力をほとんどつぎ込んだ複合型の大魔法である。

『喰らうが良い。そして消滅せよ! 『レギオン・カタストロフィ』!!』

ドゥルクの扱える全属性の大魔法を複合的に編み込んだ、この世でドゥルクしか扱う事の出来ない極大魔法が、フレッシュゴーレムとその他のゴーレムを纏めて虹色の球体に閉じ込め、大魔法の重なり合いによって、すり潰されていく。

もはやそこに残るものなど何も無く、一片の瘴気すら残さずに、完全に消し去られた。

これにより、フレッシュゴーレムとの戦いは、ドゥルク達の勝利で幕を閉じたのだ。