軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

394回目 幻獣戦・激しさを増す戦い

『キュロロロロッ!!』

「くっ!? 速い!!」

双剣みたいに両手から剣の鱗を伸ばしたブレイドロックドラゴンがアレスに襲い掛かる。その体からは常に瘴気を出しているため、動き回る度にその瘴気が目眩ましの様になり、外からはブレイドロックドラゴンを狙いづらい。

更に二足歩行になったブレイドロックドラゴンは、両腕の剣だけでなく、両脚と尻尾にまで大剣のような鱗を伸ばしているので、基本が両腕と尻尾の三刀流、空中に跳んでる間はそれに両脚が加わって五刀流にもなる。

駒の様に回転しながら変則的な剣が振るわれ、☆5の『聖騎士の神装』を装備しているアレスにすらダメージか溜まっていく。

アレスも果敢に反撃を試みるが、ブレイドロックドラゴンのスピードはかなり上がっており、さらに手数の多さもあって攻撃を当てる事が出来ないでいた。

『下がれアレス!!』

「ガモン殿!? はい!!」

高速で滑空した俺は、アレスが飛び退くと同時に、機動武装『ホーク』の爪を脚から出し、ブレイドロックドラゴンに蹴りを叩き込んだ! そしてブレイドロックドラゴンが離れると機動武装を『レオ』に変え、両手から伸びる爪でブレイドロックドラゴンへと斬り掛かった。

だがやはりブレイドロックドラゴンは硬い! 俺が繰り出したレオの爪は鱗に阻まれてギャリギャリと火花を散らした。

そして、ブレイドロックドラゴンが反撃とばかりに尻尾を突き出して来た瞬間、横から割り込んだバルタが、『七星の盾』でシールドバッシュを決めてブレイドロックドラゴンを吹っ飛ばした!

結構な勢いで飛んだブレイドロックドラゴンだったが、両腕と尻尾の剣を地面に突き立てる事で減速し、転がりながらも停止した。

『クソッ! 強いな。流石は幻獣って事か…………』

「どうやら『魔力吸収器官』も回復しちまいやしたね。脱皮した時にダメージを受けた肉ごと脱いで回復を早めたようで、敵ながら思いきりがいいですぜ」

「ですが、全くダメージが通らない訳ではありません。それにどうやら、内部にまでダメージが通る打撃や魔法には弱いですね。『魔力吸収器官』も、カーネリアがやった所はまだ回復しきっていない」

付け入る隙はある。俺は今の情報を『フレンド・チャット』でクランメンバーに一斉送信した。

と、その時。黒い鎖がブレイドロックドラゴンへと飛来した。五本もの剣に弾き飛ばされてしまったが、シエラがブレイドロックドラゴンを再び拘束しようとしたのだ。

そしてその一連の行動は、ブレイドロックドラゴンのヘイトをシエラへと集めてしまった。

ブレイドロックドラゴンはシエラを睨むと身体を屈め、バキンッ! という金属が割れる音と共に、大剣のような鱗を全て割って脱ぎ捨てた。

「あの野郎! まさか!?」

バルタの焦った声とほぼ同時にブレイドロックドラゴンの足元の地面が爆発し、まるで弾丸のような速さでブレイドロックドラゴンがシエラへと肉薄し、その両腕の鱗を再び大剣の様に大きく、鋭く伸ばした。

「「やらせないよ!!」」

その声と共にシエラをかばったのはトレマとイオスの双子だ。それぞれがブレイドロックドラゴンの両側から攻撃を連続で叩き込み、ブレイドロックドラゴンをその場に叩き伏せた!

「「ついでにコレもあげる!」」

『ギャンッ!?』

トレマとイオスは、叩き伏せたブレイドロックドラゴンの顔の前に☆3『フラッシュバン』を投げた。それはブレイドロックドラゴンが頭を持ち上げた瞬間に炸裂し、閃光と大きな音をモロに喰らったブレイドロックドラゴンは叫び声を上げて大きく飛び退いた。

「シエラ! こっちに!」

「急いで!!」

トレマとイオスがシエラを連れて離れる中で、ブレイドロックドラゴンは地面を掻き毟り、その眼を赤く輝かせた。

そして、立ち上がって胸を大きく膨らませながら息を吸い込んだ!

また火でも吐くのかと警戒するが、ブレイドロックドラゴンが顔を向けた方向は、シエラがいる方でも、俺達がいる方でもない。

そしてブレイドロックドラゴンは、誰も居ない方向に向けて、大量の瘴気を吐き出した。

火がついている訳でもない、ただの瘴気に、俺達は一瞬動きを止めた。ブレイドロックドラゴンの狙いが解らなかったからだ。

『…………グロム…………グロロロロッ!!』

『な、なにぃ!? 脱皮で脱ぎ捨てた皮が!?』

「嘘だろ!? 脱ぎ捨てた自分の皮に大量の瘴気をブチ込んで、モンスター化させやがった!?」

ブレイドロックドラゴンの脱皮した皮や鱗が、大量の瘴気を浴びせられた事でモンスターと化し、歪な形のトカゲとなって起き上がった。

それはゾンビのような見た目だがゾンビではなく、おそらくは肉体の破片をかき集めて造られた『フレッシュゴーレム』だと、バルタが説明をくれた。

ブレイドロックドラゴンの身体の一部から造られてはいるが、知能が高い訳ではなく、闇雲に襲い掛かるだけの人形だ。だが、体が幻獣の物である以上、油断できる敵ではない。

厄介な敵が増え、戦いはまた新たな局面へと進む。そして気がつけば、太陽の位置が西へと傾き始めており、今日一日で終らせなければいけない戦いのタイムリミットも、だんだんと近づいていた。