軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

385回目 思わぬ報せ

ラグラフ王国を襲ったスタンピード、そのボスであるロックジャイアントを倒した俺は、☆5『機動鎧『トライフォース』』から降りて、ロックジャイアントの残骸を見ていた。

「本体がまさかのモグラか。…………いや、ナマケモノか? まぁどっちでもいいけど」

一応、魔石くらいは回収しておこうかと思ったのだが、『フォース・トライデント』の一撃はこの本体の魔石も抉っていた為、断念した。この体の岩とかも素材になるのかも知れないが、取り敢えずは放置だな。

「レティア」

『はい。終わったのですか?』

俺が呼び掛けると、ポケットの中に潜んでいたレティアのブロックの一つが出て来た。天空城への移動の為に一つだけ持って来ていたのだ。

「ああ、レナスティアに転送を頼む」

『かしこまりました。…………そこに落ちている素材は回収しますか? ドゥルクやアルジャーノンの良いお土産になると思いますが』

「回収できるなら頼むよ」

『了解しました。では、行きます』

レティアの『亜空間ゲート』を使って天空城まで戻った俺は、指令室へと移動した。

指令室にある壁一面の巨大スクリーンには、三つの映像が映っている。

一つは魔王『ストーンイグアナ』。次いで魔王『スカイカメレオン』。最後に魔王の後を追うように移動するスタンピードの映像だ。

どうやら俺が居ない間に、ドゥルク達で魔王を捕捉していたようだ。

「おーー、こんな小さいのよく捕捉出来たな」

ストーンイグアナもスカイカメレオンも、画面に映る物から想定するに大分小さい。

しかも見ているとコイツらは動きがおかしい。

スカイカメレオンは空に擬態して浮かぶとは聞いていたが、どうやらそれだけじゃない。スカイカメレオンは風が吹くのに合わせて浮かび上がっているらしく、その風の力に乗る事で素早く移動している。

魔王ってのは影の存在だから真っ黒なのだが、スカイカメレオンはちゃんと空に擬態している。

欠点があるとすれば、せっかく空に擬態しているのに瘴気が漏れている事だな。それと周囲の動きに微妙にズレがあるから、動いているとけっこう分かるって事か。

そしてストーンイグアナの方もまた、不思議な移動をしていた。

元からイグアナにしては早い動きを見せてはいるのだが、その真価は坂の上に上がった時だ。自分の体を石のように丸めて擬態させ、坂の上から転がり始めたのだ。

あれイグアナだよな? アルマジロとかじゃなくて。しかも結構速い上に、石のような外殻を持っているのか、時折岩にぶつかってはその表面を削るように砕いて乗り越えている。

中々の破壊力だな。最初に知れてよかった。

最後にスタンピードだが。これはまぁ、かなり新しいダンジョンからのスタンピードだからか弱い。正直、あまり苦戦する事なく勝てそうだ。

「おうガモン。戻って来おったか。中々の活躍をしておったの。途中で油断して反撃されてた所を除けば、だがの」

「見てたのかよ…………」

「あのガモンくんが乗っていた『トライフォース』でしたっけ? 面白そうですね、今度貸してください」

どうやらドゥルクもアルジャーノンも、俺が『トライフォース』に乗ってロックジャイアントと戦っていた所をここで見ていたようだ。

こことラグラフ王国の方じゃ結構離れている筈だが、見えるんだな。

「そうだ! ならラグラフ王国の様子は解るか?」

「あそこは森に囲まれているから、残念ながらちゃんと見れてはおらん。だが、要塞に入り込まれた様子も無いし、善戦しておるのではないか? アルグレゴのヤツを置いて来たのなら、危なくなれば救援を求めて来るであろうし、心配はいらんじゃろ」

「ドゥルクくんの言う通りですよ。アルグレゴ小隊の皆は、タミナルの拠点に作ったジムにもよく来ては筋トレしていましたからね。そう簡単には負けませんよ」

「う、うん…………」

俺は少し心配だが、ドゥルクとアルジャーノンはまったく心配していなかった。確かに俺も、負けるとまでは考えていないんだけどな。

「それより、カラーズカ侯爵の方でも動きがあったぞ」

「なんだ、とうとうサザンモルト辺境伯軍と直接ぶつかったか?」

「いや、儂の所にカラーズカ侯爵から相談が来たのだがの。どうもサザンモルト辺境伯から秘密裏に使者が来たようだの」

「敵から? 内容は?」

「ウム。テルゲン王国の王族と逃げてきた貴族を全て差し出す事を条件に、和睦を求めて来たらしい。カラーズカ侯爵が王位につく事まではまだ認めておらんが、かなり譲歩するつもりで頭を下げて来たらしいぞ?」

「…………は? なんでそんな事に」

「そりゃまぁ、この☆5『◇天空城『レナスティア』』のせいじゃろうな。こんなもんが自分達の頭上を通過したのじゃ、かなりの数の兵士の心がへし折れたじゃろうて」

…………あーー、そうなるのか。ちょっとビビらせよう、ぐらいの軽い気持ちだったんだけど。そうか、いやそりゃそうだよな。こんなのが頭上に現れて、「あれが敵だ、今からアレと戦う」なんて言われたら、上官の正気を疑うもんな。

下から見上げた兵士の気持ちになれば、心が折れるのは当たり前の話だった。きっと軍の上層部の心も、折れたに違いない。

ティアナの『フレンドクエスト』は、どうも思わぬ展開で終わろうとしていた。