作品タイトル不明
383回目 ラグラフ王国の決戦
我聞が☆5『機動鎧『トライフォース』』に乗って飛び立ってから暫くして。ラグラフ王国の見張り塔からでも見える位置に、スタンピードのモンスター群が見える様になった。
このスタンピードにいるモンスターの数は約二千。対してラグラフ王国の戦力は、騎士が三十、魔法兵が二十、兵士が二百、冒険者が百で計三百五十。
この騎士や兵士も、元からラグラフの部下だった者達がほとんどなので普通の騎士や兵士ではない。基本的には皆、諜報活動や情報操作、それに暗殺など裏の仕事をしていた者達である。
それに加えてリメイアとアルグレゴ小隊が二十名。それがスタンピード二千弱に対する、ラグラフ王国の全戦力である。我聞を帰してしまったので『◇キャンピングカー』もここには無い。本当にこれで全部だ。
この状況にラグラフ達は既に覚悟を決め、命を賭して最後まで戦おうと意気込み、我聞の前では虚勢を張っていたリメイアは少し不安そうにしていた。
だが、前線に立つアルグレゴ小隊はと言うと、割りと楽観的な様子でスタンピードが迫ったと言う情報を聞いていた。
もちろん油断している訳ではないが、アルグレゴ小隊は単純に、この戦いは勝てると思っているのだ。
「全員食事はしたな? ガモン殿のフレンドでないお前達はガチャ装備を扱う事は出来ないが、ガチャ食材の料理を食べてのバフは問題なく使用できる。今お前達の実力は大幅に底上げされている筈だ。そう簡単には死なないと断言しておこう」
ラグラフ王国にて指揮を取るのはアルグレゴだ。理由は単純に一番強いから。
素の実力ならばラグラフやその側近も、そう負けてはいないのだが、それを更にガチャ装備で上乗せ出来るアルグレゴに勝てる者はここにはいない。
当初は『ガチャ装備』や『ガチャ食材』と言う物に懐疑的だったラグラフ王国の面々も、先程の☆5『機動鎧『トライフォース』』を見た後なので文句は挟まない。
自分達も、そしてラグラフ王国の国民にも炊き出しという形でガチャ食材を使った料理が振る舞われており、そのバフのおかげで信じられない程の力が身に付いている事も、アルグレゴの自信に信憑性を持たせた。
アルグレゴはラグラフとも相談の上で要塞における兵の配置をやり直し、作戦を組んだ。目標はスタンピードの殲滅と、それによる被害を最小限に抑える事だ。
◇
「来るぞ! 魔法隊! 詠唱始め!!」
スタンピードの第一陣である『フォレストオーク』の群れが姿を現した。
フォレストオークは通常のオークよりも倍ほど大きく、その肩から首の後ろにかけて短い木のような物が生えているのが特徴だ。その木は肉の弛みに自ら種を蒔いて生やしていると言われ、フォレストオークの血肉すら吸って成長したその木の葉は、効能の高い薬草となっている。フォレストオークは大きなダメージを受けると、その木を貪って回復するのだ。
つまり、フォレストオークとの戦いは回復する間も与えずに一撃で仕留めるのが上策である。
「敵、射程範囲に入りました!」
「もう少し引き込め」
「あ、あまり城壁に近寄らせるのは良く無いのでは? 近すぎては魔法を当てられません!」
「最初の内は弓矢もある。城壁には石を投げる役の公募兵も配置してあるのだ。少しは活躍させるべきだろう? バフが掛かっている今ならば、投石でも十分にモンスターは殺せる。出来るだけ範囲内に数を入れろ!!」
アルグレゴの指示を聞いて、部下も覚悟を決める。城壁からの弓矢や投石で殺せなかった分は自分が斬ると、下に降りる準備をする者もいる中で、機を見ていたアルグレゴの手が上がる。
「今だ! 放てーーっ!!」
城壁の上から一斉に放たれる各種魔法が、フォレストオークの群れを直撃し、蹂躙していく。その中には、アルグレゴ小隊で魔法を扱う者もおり、その騎士は☆4の魔導書を装備していたので、他の者よりも何倍も強力な魔法を放っていた。
そして、城壁にいる他の兵士や街で公募されて集まった男達もまた、弓矢や投石で城壁に張り付くようにしているフォレストオークを始末していく。
「す、凄い! 俺の弓が信じられない威力の矢を放っている!?」
「おいおい! 何だこの威力!? 石を投げているだけなのに破壊力が凄いぞ!?」
自らが放つ矢と石の威力に兵士や公募兵から恐怖心が消えていく。それはやがて自信になり、この戦いを乗り切る力になる。
「隊長! フォレストオークの第一陣は撃破しました! ですがすぐに第二陣が来ます! また魔法を放ちますか?」
「いや、それでは魔法隊が潰れてしまう。門を開けろ! 第一から第三部隊に出撃命令! 第四から第六部隊は準備をしておけ! 波状攻撃を仕掛けるぞ!!」
「「おおおおおっ!!!!」」
アルグレゴの命令に雄叫びを上げ、騎士と兵士、それに冒険者の合同部隊が外へと走る! バフをモリモリにかけた部隊の強襲に、フォレストオーク達はどんどんと数を減らし、森の奥からは新手となる『フォレストボア』と『エルダーウルフ』が姿を見せ始めた。
「全軍撤退! 魔法隊は詠唱始め! 味方が戻ると同時に魔法を放て! 目標はエルダーウルフだ! 脚を狙い撃て!!」
ラグラフ王国の戦いは、序盤を越えて中盤戦へと進んでいく。現状において、ラグラフ王国側の被害は、少数の怪我人を出したのみである。