軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

376回目 『レナスティア・カノン』

「スタンピード…………、スタンピードかぁ…………。それはもう終わった話だと思ってたけど、そんな一気に始まるのか? 全部で何ヵ所始まるんだっけ?」

『ワタクシのドローンが確認をしたのは六ヵ所ですね。その内の五ヵ所は魔王が作り上げたダンジョンのようで、それほど脅威ではありませんが、残る一ヵ所はそれらに触発されてスタンピードに至るダンジョンですので、ここが一番厄介ですね』

触発されたダンジョン。そんなのもあるのか。

ドローンだけではダンジョンの中まで知ることは出来ないが、そこはかなり前からあるダンジョンらしい。そんなものがスタンピードを起こしたら、被害が酷い事になりそうだ。

大体、魔王は目的地があるからそこに向かうが、スタンピードのモンスターにそれは関係ない。魔王も自分が関わるダンジョンのスタンピードなら指向性を示せるが、元からあったダンジョンにそれは無理だろう。

これ、さすがに放っておく訳にいかないな。一応、俺『勇者』だし。…………『勇者』って事になってるし(自信なし)。

「でも、流石に俺達だけじゃ六ヵ所は無理だよな。…………そうだ! レティア、この『◇天空城『レナスティア』』には『◇キャンピングカー』みたいな兵器は何かないのか? あのドローンみたいなヤツ」

『もちろんあります。『レナスティア』には、武装もありますし、『ドール騎士団』を作り出す事も出来ます。もちろん、対価は掛かりますが』

「武装はともかく、『ドール騎士団』?」

レティアの言う『ドール騎士団』とは、『レナスティア』の持つ魔法機械学で作り上げた人工知能搭載の『素体人形』だそうだ。

性格や外見の設定はもちろん、基礎ポイントからステータスを割り振り、さらに育てる事も出来る『それ何てゲーム?』と聞きたくなる機能だと言う。

もちろん、ガチャ繋がりでガチャ装備も使える。内蔵エネルギーが尽きると『レナスティア』で充電する必要があるそうだが、フルチャージで十日間は動けるそうだ。継続戦闘だと五日間。…………なにそれ凄い。

「そんな 育成ゲーム(面白そうな物) が!?」

『あります。ですが今回は育成するだけの時間が無いので今すぐ使える武装として、主砲『レナスティア・カノン』を使う事を推奨します』

「…………『レナスティア・カノン』」

この『レナスティア・カノン』は無属性のレーザービーム。レーザービームなら光では? と思うが、分類としては次元魔法。

『理論としましては、複数属性の高エネルギー体を一定方向に進ませながら空間を捻り超高速で順転させる事で過去のエネルギーと未来のエネルギーを重なり合わせ…………』

「レティア、ストップ! 大丈夫、説明されても解らないから。そう言うのは後でドゥルクとかアルジャーノンにしてあげて?」

『了解しました』

まあ何にせよ。☆5のクラッシュレアだけあって、超凄い主砲があるそうだ。方向と距離を設定する事で、その場にある物を『この世から消し去る』主砲だそうだ。

ちょっと意味が解りませんが、それがこの世に存在さえしていれば消し去れると。この世に他の物質、例えば『郷愁の禍津像』で縛りつけられている魔王や、次元を越える程の力を持つ『方舟』には利かないらしいが、スタンピードくらいなら纏めて消し飛ばせるそうな。…………マジかよ凄ぇ。

『現存エネルギーならば一度だけ撃てます。最も効率の良いタイミングで撃てればスタンピードを三つは纏めて消し去れるでしょう』

「そのタイミングってのは、ちゃんと掴めるのか?」

『はい、 今(・) す(・) ぐ(・) な(・) ら(・) ば(・) 。スタンピードが始まって間もない今ならば、被害も少なく、最大効率でモンスターを殲滅できるでしょう。時間が経つほどにスタンピードの範囲は広がるので、纏めて殲滅する好機は今をおいてありません』

「よし、撃とう!」

せっかく纏めて三つものスタンピードを殲滅できるのだ、やらない手はない。それが上手くいったとしてもまだ三つも残ってはいるが、半分消せるならやる以外の選択肢など無いだろう。

俺はレティアに、『レナスティア・カノン』を最大効率で使う事を命令した。

元の名を『ガンガルド王国』と言う南の小国群。滅びた国から派生した多くの国がひしめき合う地ではあるが、その地において人類は、隅の方へと追いやられていた。

通常の国、例えばジョルダン王国を例に上げるならばモンスターと人類の比率は七対三くらいだ。実際は、人類がもう少し多いかも知れないが、数字で見ればモンスターがダブルスコアで多い。だが、魔力の薄い人里には強力なモンスターは出て来ないので、バランスが取れている状態だ。

それが南の小国群になると、モンスターと人類の比率は九対一。それも人類を多く見積もった数字であり、実際は一割をさらに下回っている。

しかも、モンスターが全体的に多いため魔力の濃度も高く、とてもバランスが良いとは言えない状況であり、人類は常にモンスターの影に怯えながら生きているのが現状であった。

…………だがこの日。その比率が大きく変わる出来事が起きた。

突如として空に現れた巨大な大陸から、途轍もないエネルギーの光の奔流が放たれ、南の小国群に広がる森の一部を消し飛ばしたのだ。

光の奔流が放たれた場所は、幾つかのダンジョンがあった場所であったが、そのダンジョンから溢れ出したモンスターもろとも全てが吹き飛んだ。その後にはまるで大地が抉られた様な後が広がるばかりである。

そしてそれが原因として、この日を境に南のモンスターと人類の比率は、八対ニにまで改善されたのである。

それを目撃してしまった小国群の人々に、大きな恐怖を刻みつけて。