軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

360回目 もう倒してた

クランメンバーが俺の知らない所で物凄く頑張っていてくれたお陰で、金銭的に余裕が出来た。

まさか『郷愁の禍津像』を探す以外でもダンジョンに潜りまくっていたとは思わなかった。バルタの妹である双子トレマとイオスも、アルグレゴ小隊の隊員とパーティーを組んでダンジョンに潜ったりしていて、そっちはなんと全額が俺のクランの金庫に納められていた。

アルグレゴ小隊の主であるターミナルス辺境伯に、今更ながら「貰っていいのか」と聞いた所、こちらもアルグレゴ小隊の強化をして貰っているので問題無いと返答があった。

大金が手に入ったのは良い事だ。これを機として、フリント王国かバゴス王国に出た魔王をどちらか消してしまおうと考えたのだが、どちらを先に消すべきかと相談を持ちかけたドゥルクによって却下された。

「え? ダメ? なんでだよ。魔王を消してしまえば、スタンピードには自分達で対処できるだろ」

「本当にできると思うか? よく考えてみるがよい」

カラーズカ侯爵いるの要塞から『拠点ポータル』を使って移動した女神ヴァティーのダンジョンで、俺はドゥルク・ヴァティー・アルジャーノンの三人と話し合っていた。

「…………んん? いやだって、魔王さえ消してしまえばそこに軍を展開しておく必要は無くなるだろ? スタンピードにすぐには気づかなくても、軍が集まっているんだから何とかなるんじゃないのか?」

『ガモンよ。魔王の真実を何も知らないと仮定して、目の前で戦っていた魔王が唐突に姿を消したら、お主ならどうする?』

「…………何も知らなかったら? …………警戒して、何が起きたのかを調べるかな。魔法で姿を消してるだけかも知れないし、瞬間移動って線も…………。そうか、消えたから「ハイ終わり」とはならないんだな…………」

「そう言う事じゃな。それがガモンの仕業で、『郷愁の禍津像』が破壊されたから消えたと知っていれば話は違うが、まぁそれでも警戒くらいはするじゃろうがな」

「現状では魔王が消えたとしてもスタンピードには対応できないでしょう。それはどちらの国も同じですから、その☆5アイテムを使うのは少し待ってください。クールタイムがどのくらい必要なのかも解りませんからね」

なるほど。俺の考えが浅かった。ただ魔王を消しただけでは疑心暗鬼になるだけか。それで士気が下がれば、スタンピードを受けてあっさり全滅もあり得る。

だが時間が無いんだよ。俺はスキルを開いて『緊急クエスト』の期限を見た。その期限は、残り八日になっている。

「…………ん? なんだこれ?」

緊急クエストの内容に、見逃している情報は無いかと見ていると、俺はクエストの内容と依頼主の表記の間に、変な物を見つけた。

それはバツ印が一つと、七つのアンダーラインだ。

……………………こんなのあったっけ?

「ガモンくん? どうかしましたか?」

「いや、緊急クエストの内容にさ…………」

俺がバツ印とアンダーラインの話をすると、三人の意見はいわゆる撃墜マークだった。つまり、俺は既に八体の魔王の内の一体を倒しているらしい。

まあ、俺達以外で『郷愁の禍津像』を破壊した者がいるのかも知れないが、可能性はちょっと低い。普通の人間なら、あんな壊したら呪われそうな物に手を出したりしないからだ。

「ガモンよ、心当たりはあるか? お主が以前に気づかなかったと言う事は、緊急クエストが始まったの後に破壊された物だ」

…………心当たり。…………あるな。アレだ、バルタがサザンモルト辺境伯の所から盗んで破壊したヤツだ。確か『ナガアシゾウ』と『ヤイバトカゲ』だったか。

このどちらかが、復活する魔王だったのだろうと俺が予想を話すと、アルジャーノンが頷いた。

「なら『ヤイバトカゲ』の方ですね」

『ほう、言い切るのぅ。なにか根拠があるのかぇ? アルジャーノンよ』

「うん。僕が観測した今回の原因と思われる『幻獣』が『ブレイドロックドラゴン』って言うトカゲだったからね。これが眷属にしようとしている魔王なら、きっと種族的に近い魔王だと思っていたんだよ」

「そうか、眷属にする為なら近しい種族にするって事か」

「そう言う事だね。加えてあの『幻獣』が降りようとしている位置はヴァティーの所だと解ってる。きっと、女神ヴァティーの強大な魔力を目印にしているんだと思う。だからこの場所を中心として爬虫類系の魔王を探せば…………!」

「復活する魔王を特定できる! さすがだアルジャーノン!!」

俺達はアルジャーノンの予測を元に、この場所まで残り八日で着ける位置にある魔王封印の地を探し始めた。そして、既に滅びた一体と見えてる二体を除いた残りの五体を予測した所で、俺の所に『フレンド・チャット』が届いた。

内容は、すぐに王都ジョネイブの屋敷まで来て欲しいと言う物で、差出人はシエラだった。俺が忙しいのは理解している筈だが、何かあったのか?

「む、呼び出しか?」

「うん。…………でもそれどころじゃ…………」

「いや、受けよ。儂からもお前達に話があるでな。どうせなら、集められるだけ仲間を集めてくれ」

…………よくはわからないが、ここでの話の続きは王都の屋敷でする事になった。