軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

347回目 大ババ様

ちゃんとした挨拶をするべく、大ババ様の所に向かおうとする俺とアレスを、その場にいた子供達が全員で案内してくれた。

ニッカとダッカが俺達と手を繋ぎ、他の子は足にしがみついたり回りをグルグルと回ったりと忙しい。大人達も何人か後ろを着いて来ているが、子供達を見守っているだけのようだ。

って言うか子供達のパワーが凄い。俺とアレスの間に入って両手を繋いで貰い持ち上げる、近所のスーパーなんかで子供が両親にやって貰っているのを見かけるアレがプチ流行してしまい。俺とアレスは子供達の遊び道具になりながら歩くハメになった。

持ち上げられている子供の他にも、俺とアレスの背中をよじ登ってきたりするし、足にしがみついている子もいるし、結構ハードなウエイトトレーニングである。ステータスが上がって無かったらバテてるヤツだ。

結局それは大ババ様のテントに着くまで続き、子供達は『客の案内をやりきった』と言う顔をして帰っていった。これなら案内が無い方が早かった気もするが、子供達の好意なので何も言うまい。やれやれだ。

「それで、これが大ババ様のテントですか。遠くから見ていて思ってましたが、やはり大きいですね」

「だな。サーカスのテントかよ、ってくらいデカイな。俺達のテントも分厚い布で部屋が仕切られていたけど、ここも部屋が多そうだな」

俺達がテントの前で話していると、テントの中から年老いた女性が出て来た。

その女性は年老いてはいるが背筋がしっかりと伸びており、動きには年齢を感じさせない人だった。

「もしやガモン様とアレス様ですか? 大ババ様に、何か御用でしょうか?」

「あ、はい。えっと、お世話になるので一度ちゃんとご挨拶をと思いまして。大ババ様には会えますかね?」

「そうですか。ではお会いになるか確認して参りますので、中でお待ち下さい。…………誰か! ガモン様達を中にお通しして下さい!」

その声に応じて出て来たのは、また白狐族の老婆だ。ただし今度は腰の曲がった人だ。

「はいよ。こちらへどうぞ」

俺達はそのお婆さんの案内でテントの中の一部屋に通され、少し待つ事になった。大ババ様のテントは造りとしては俺達の宿泊先として与えられたテントと変わらないが、やはり大きくて豪華な造りになっている。

豪華と言っても金銀財宝があるとか、シャンデリアがあるとかではない。絨毯の模様や、壁の仕切りにされている布の柄などが豪華さや荘厳さを醸し出しているのだ。…………あくまで俺の感性だから、気のせいかも知れないけど。

不思議なのは、照明として使われている火の玉だ。シャボン玉のような物に入った青い火の玉が、等間隔で壁際に並べられてテントの中を照らしているのだ。

俺達が与えられたテントには無かったな。あれはテントの天井が一部薄くなっていて光を取り入れていたかし、部屋の中にはランプも用意されていた。

だが、流石にこれに触る勇気は無いので、眺めただけである。だって、このシャボン玉が割れて火が壁に燃え移るとかあるかも知れないし。リスクは避けるものだからな。

「大ババ様の準備が整いましたので、お部屋に案内いたします」

そしてその部屋で少し待った後、準備が出来たと呼びに来た老婆に案内されて、俺達は大ババ様の待つ部屋へと通された。

「よく来たの。お主らが子供達と騒いでおったのは見ていたぞ、さっそく打ち解けたようで微笑ましかったのう」

「見られてましたか。まぁ、仲良くやらせて貰っています」

アレを見られていたとなると少し恥ずかしいが、取り敢えずそれは脇に置いておいて、俺はスキル倉庫から大ババ様へのお土産を出した。とは言っても、ガチャ産のアイテムなんだけどね。

「ほう、それは酒じゃな?」

「ニッカとダッカから、大ババ様はお酒が好きだと聞いていたので」

「ウム、ありがたくいただこう。…………異世界産の酒など、飲む機会は中々無いであろうからな。実に楽しみじゃ」

「…………知ってましたか」

「無論じゃよ。最近、魔王となった者達の気配が目に見えて減っておるしの。お主の仕業であろう? のう、勇者殿よ」

大ババ様の眼が、俺の過去まで見通す程に深く紫色に光る。ただ者では無いと思ってはいたが、俺の想像を越える人かも知れない。

「…………失礼かも知れませんが、大ババ様は何者ですか?」

「フム、なんじゃと思う?」

俺の眼に、大ババ様は人間として映っている。女神ヴァティーを思わせる雰囲気はあるが、実際に女神に会っているからこそ、女神ではなく人間だと思う。

なら、かつていた神獣の子孫…………いや、それだと神になってしまうから、巫女とかだろうか? 神獣と繋がりのある高位の巫女とかなら、あり得るかも知れない。

「ハズレじゃよ」

「…………考えも読めますか」

「集中せんと読めんがの。妾の力は大分弱々しくなっとるからのぅ、嘆かわしい。…………妾は神獣じゃよ。太古の昔にこの世界に来た、最初の方舟に乗っておった神獣じゃ」

……………………女神の方だったか。