軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

337回目 フラウス小隊

一夜明け、俺にあてがわれた部屋の窓から外を見ると、そこには銀世界が広がっていた。

…………どうりで寒い訳だよ。夜から降り始めていたのか? 気付かなかった。

おかげで、メイドさんが起こしに来る前に目が覚めてしまった。なんとなく、勿体ない事をした気になる。俺の担当のメイドさんは、美人なおっとりお姉さんなのだ。優しく起こされてみたかった。

いや待てよ。今からベッドに入り直せば問題ないな。そう思ったが気づくのが少し遅かった。何故ならその直後に、俺を起こしに来たメイドさんが扉をノックする音が響いたからだ。

…………まぁ、いいけどね。

部屋で簡単な朝食を済ませて屋敷の中を歩いていると、この要塞と化した街で働く兵士達が、忙しそうにしている所を何度も見かけた。

みんな忙しいのだろうに、俺の姿を見つけるとビシッと立ち止まって敬礼をしてくれる。こういうのにはどう返せばいいのか、あとで誰かに聞いておこう。

「(コンコン)カラーズカ侯爵、ガモンです」

「入りたまえ」

「失礼します」

部屋に入ると、カラーズカ侯爵は既に仕事をしていた。今は王国軍がサザンモルト辺境伯と合流する前の、王国軍の戦力を削る為の策の下準備をしているのだ。

カラーズカ侯爵は、王都で仕事をしていただけあって内部事情に詳しい。

その仕事の中で得ていた情報に加え、☆5『ワールドニュース・クラシック』で入手した王国内での動きを照らし合わせ、国が保有する倉庫から今回の戦争ために集められた物資を保管している倉庫を割り出しているのだ。まずはそこを潰すつもりだ。

「ガモン、外を見たか?」

「はい。雪が降ってましたよ。バルタはこの雪の中を出発したんですか?」

「いや、降る前に行ったよ。本気で走ると言っていたから、もしかしたら車で行くよりも速いかも知れんぞ?」

走って行ったのかよ。と呆れたが、バルタの本気のスピードを思い出すと、確かに車より速いかも知れない。

「それでだ、せっかく雪も降った事だし、昨夜言っていたアレを出してくれ。確か『スノーモービル』だったか? 部下達に訓練させる」

「そうですね、わかりました。じゃあ俺は、昨日に引き続き物資をガチャで出しますね。で、それが終わったら帰ります」

「ああ、頼む」

ちなみに、この街に『拠点ポータル』は設置しない。カラーズカ侯爵との話し合いで、そういう事になった。

理由はいくつかあるが、大きくは二つ。

場合によってはこの街が戦場になる可能性がある事から、『拠点ポータル』を設置した場所が崩れると、どんな事故に繋がるか分からないと言うのが一つ。

もう一つは、特定の者しか使えない脱出経路が確保されていると言うのは、士気を大きく下げる。と言うのが理由だ。

俺の『拠点ポータル』は便利だが、フレンドしか使えないからな。自分達だけはすぐに安全な場所に移動が出来る指揮官の指示なんて、部下も聞く気を失くすだろうからな。

俺はカラーズカ侯爵の執務室を退出してから、カラーズカ侯爵家の騎士団がいる訓練所へと移動した。カラーズカ侯爵家には騎士団が三つあり、その内のフラウス小隊と言う部隊が、俺とフレンドになっている小隊だ。

彼らはアルグレゴ小隊の副官であるイージドから、ガチャ装備についてのレクチャーも受けており、今はアルグレゴ小隊と同じように訓練を兼ねてガチャ装備の熟練度上げに勤しんでいる。

「お邪魔します、フラウス隊長」

「ガモン殿、おはようございます」

フラウス小隊の隊長であるフラウスは、スラッとしたイケメン…………に見える女性である。

背も高く髪も短いし、ニコッと笑うと白い歯がキラリと光る男性アイドルみたいな人だが、間違いなく女性である。…………女性らしい仕草は見た事ないけども。

「今日も物資の補充ですか? であれば装備もお願いします。ガモン殿の装備は、見ているだけでも楽しいので」

「あ、はい。カラーズカ侯爵からも頼まれているので、装備も出しますが、本命はこれですね」

俺はそういいながら、訓練所の一角に☆4『スノーモービル』を取り出した。出て来たのは大型のカッコいいスノーモービルだ。日本にいた頃は乗る機会が無かったが、憧れの乗り物の一つだったヤツだな。

「これは確か『スノーモービル』でしたか。昨日も出していましたね。確か雪の上を走る乗り物だとか」

「ええ、そうです。これがあれば、雪の上をかなりのスピードで移動できますよ。二人乗りなので移動出来る人数には限りがありますけどね」

これまでのガチャで『スノーモービル』は何台か出ている。最初に出た時には雪も無かったのでゲンゴウにも売らずに、数台が俺のスキル倉庫に眠っている。

さすがに騎士団全員を運ぶなんて事は出来ないが、フラウス小隊のみであれば、二人乗りの所を三人乗るとか、あと追加で何台か出せばイケるだろう。出来ればあと数台欲しい所だ。

まぁいざとなれば、アルジャーノンに作って貰う手もあるのだが、作れるのかは聞いてないから分からない。あとでチャットで聞いておこう。

「フラウス小隊には、この『スノーモービル』についても、乗れるように訓練をお願いします。乗り方については掲載されているガチャ書籍も置いていきますし、俺もチラッとは見ましたが難しくはありませんでした」

「了解しました。…………しかし、二人乗りですか。どうです? ガモン殿も一緒に乗りませんか?」

キラリと歯を光らせて俺を誘うフラウス隊長。もし俺が女性なら、惚れてしまいそうな程のイケメンである。…………相手の方が女性だけども。

ちなみに『スノーモービル』は一緒に乗りました。雪がまだ少なかったので慣らし運転程度ですが、かなり楽しかったです。