軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

310回目 再会と救出

◇バルタ

《潜入して露払いも終わりやしたんで、こっちに来てくだせぇ》

◇ガモン

《了解》

バルタから連絡を受けた俺は、近くにいたシエラに後を頼み、ティムにも『これから救出に向かう』とだけチャットを送った。

相変わらずティムからの返信は無いが、既読はすぐに付いた。ティムも不安で、チャットを待っているのかも知れないと思いたち、必要もないとは思ったがもう一度『すぐに迎えに行く』と送っておいた。

そして、胸に付けたピンバッチ『絆の証』に魔力を込めると、目の前に『トゥルーフレンド・リスト』が現れ、誰の元に飛びますか? と選択を迫られた。

とは言え、そのリストにはまだバルタの名前しか無いので、バルタ一択である。

「うぉっ!?」

そして俺がリストからバルタを選んで『決定』をタップした瞬間、周囲の風景が一瞬で切り替わり、俺の目の前には、☆5『亜空間のマント』を着込んだバルタが立っていた。

「ホントに一瞬で来やしたね。こんだけの大魔法なのに魔力の揺らぎもねぇってのが、旦那のガチャアイテムのスゲェとこでやすね」

「そうなのか? いや、そんな事よりここはどこだ? ただの廊下に見えるけど」

「もちろんテルゲン王国の王城の中でさぁ。この先、壁が赤いでしょう? あそこからが、魔力を使えない区画ですぜ。念のため、その手前で呼んだんでさぁ」

「そうか。…………試してみた?」

「ええ。あの先に入ると『フレンド・チャット』は送れやせんでした。ただ、この『亜空間のマント』は使えやしたぜ。ガチャアイテムは有効って事でやすね。まぁ、一安心でさぁ」

「だな」

これでガチャアイテムが使えないとかだと、マジで困る所だった。☆5だったから使えた可能性もあるが、☆5が使えるなら十分過ぎるのだ。

「それと旦那、ここから先はあっしの『索敵』も効きが悪ぃんで、念のため油断だけはしねぇでくだせぇよ。物陰から敵が出て来てグサリ、とかあるかも知れやせんからね」

「…………わかった」

バルタは俺を脅かすように言ったが、それは本当に「念のため」だろう。正直、バルタが目を光らせている状況で、それを出し抜ける奴がいるとは思えない。

しかし、それでも万が一があるのも解るので、俺は右手には剣を持ち、左手には☆5『時神の懐中時計』を握りしめた。

「!? 何者だ貴様…………!?」

「し、侵入者…………!?」

「悪ぃですが、ちょいと寝といてくだせぇ」

ティム達がいる部屋の扉は、二人の兵士が見張りに立っていたが、バルタがあっという間に制圧した。

そしてその時。ティム達がいる部屋の、さらに隣の部屋の内側から、ガチャリという鍵を掛ける音が響いた。

ティム達は、今でこそ囚われの身だがれっきとした大貴族家だ。当然、身の回りの世話をする者がいる。バルタによると、ティム達の部屋の中にも使用人の部屋があり、そこにはカラーズカ侯爵家に仕える使用人がいて、この隣の部屋にいるのは王家が用意した使用人達であるらしい。

「…………つまり鍵を閉めたってのは?」

「自分達は何も見ないし関わらない。と言う意思表示ですぜ。ほっときやしょう」

どうやら俺達は、完全に賊だと思われているようだ。いや、賊ではあるんだけどね。間違ってない。

ただ彼らは、俺達が王家か他の大貴族の命令を受けてカラーズカ侯爵家の人達を殺しに来たと思っているのだろう。…………状況的に、そう思われても仕方ないし、わざわざ否定もしないけど。関わらないでくれるなら、それが一番だからな。

ともかく邪魔が入らないならそれで良いかと、俺はバルタと頷き合いティム達が囚われている部屋の大きな扉を開けた。

「ガモン!! バルタ!!」

「ティム!! 助けに来たぞ!!」

俺達が部屋に入るとティムがすぐに反応し、俺に向かって走って来た。

俺はティムを軽く受け止めて、その無事を確認してホッと息を吐いた。ティムの後ろにはカラーズカ侯爵と、その他にも執事が一人とメイドさんが二人いた。

「…………ティムから君とバルタが助けに来るとは聞いていたが。少し驚いたな。街の方が騒がしいとは思っていたが、あれも君か?」

「お久し振りですカラーズカ侯爵。はい。今、俺の仲間が頑張ってくれています。街の人達への被害は出さないようにしている筈なので、安心して下さい」

「そうか。…………それで、これからどうするのだ。申し訳ないが、我々は戦える状態ではないぞ。我々を連れて逃げられるのか?」

「ちゃんと考えてあるので、大丈夫です。…………ティム、無事を喜ぶのは完全に脱出してからにしよう。すぐにここを出る」

「…………わかりました」

俺達が助けに来た喜びの為か、それとも精神的にギリギリだったのか、ティムの口調がティアナのものになっていた。

俺は脱出を急ぐべく、スキル倉庫から出したひとつのアイテムをバルタの指示の元で壁の一部に取り付けた。ゴムボール程度の大きさで粘土状のそれを壁に貼り付けて、信管を差し込む。そして、その信管に命令を送るスイッチを握った。

☆4『プラスチック爆弾(小)』まさか使う事になるとは。

だが、この部屋で使えないのは魔法とスキルだ。ただし、魔力が続かないってだけで一瞬は動く。つまり、問題なく使える☆5じゃなくても、一瞬で出し入れか出来るスキル倉庫や、この『プラスチック爆弾』みたいに魔力を使うのがスイッチを入れるだけのアイテムならば、問題がまったくないのだ。

そして、その場にいる全員を壁際まで下がらせて起爆し、この魔力が全く使えない部屋には、外へと繋がる大穴が空いたのだった。