軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

280回目 『拠点ポータル』

女神ヴァティーの力を借りる為にも、アルジャーノンに俺達の所に来て貰う為にも、このダンジョン内に俺達の拠点が必要になった。

だが、このダンジョンはヴァティーの物であり、例え安全地帯に『キャンピングカー』や『隠れ蓑コテージ』を置いたとしても拠点には登録できない。

そこでヴァティーに相談してみた所、ある解決策を示してくれた。

『ならばダンジョン内に小規模の別のダンジョンを作ってやろう。誰の力も及ばなければ拠点に出来るであろうからの』

「えっと、それって俺がダンジョンマスターになるって事ですか?」

『いや、全く関係ない物をダンジョンマスターとして登録する。何かぬいぐるみでも出すがよい』

「ぬいぐるみ?」

俺の疑問をよそに、ヴァティーはこのダンジョンの最下層に新たな部屋を造った。そして翌日には、案内を任されたアルジャーノンに連れられて、俺達は自然豊かな最下層にある森の中へと連れて行かれた。

そして、森の奥にある一際でかい大木に空いたウロに、『ダンジョン・コア』が浮いていた。

大木のウロは、俺達が余裕で入れる程に大きかったが、部屋と言う程ではない。感覚的にはエレベーターの小部屋くらいの物だ。

「じゃあガモンくん、ぬいぐるみを僕に」

「お、おう。…………本当にこれでいいの?」

俺がスキル倉庫から取り出したのはピンク色の大きなウサギのぬいぐるみだ。片耳にリボンがついてオーバーオールを着ているヤツである。ぬいぐるみは生活ガチャから結構出て来るから、いっぱい持ってるのだ。

アルジャーノンは俺からウサギを受け取ると、何度かギュッと抱きしめてから、ダンジョン・コアに近付けて魔力を流した。

するとダンジョン・コアは自身をフワッと大きくして、ウサギのぬいぐるみを取り込み、ウサギはアルジャーノンの手を離れてその場に浮き、クルクルと動き始めた。

そしてしばらくするとその動きもおさまり、木のウロの床から幾つもの根が這い出て来たかと思うと複雑に絡み合って椅子を形成し、そこに新たなダンジョンマスターとなったウサギが鎮座した。

「はい。これで誰の物でもないダンジョンが出来上がりました。ぬいぐるみには意思がないので、この場で何をしても受け入れてくれます」

「…………マジでかぁ」

まさか本当にぬいぐるみがダンジョンマスターになれるとは。気がつけばウロの中も少し広くなってるし、これなら『キャンピングカー』でも『コンテナハウス』でも出せるな。

てな訳で。俺はさっそく新たなダンジョンとなったその場に『コンテナハウス』を設置して、そこをクランの拠点として設定した。

そして『コンテナハウス』の一室に☆4『拠点ポータル』を設置した。

タミナルの街にある拠点に、この『拠点ポータル』を設置した時には何も起こらなかった。俺はてっきり設置すれば、幾つかあるランプが点いたりと、何らかの起動アクションがあるもんだと思っていたから拍子抜けしたものだ。

しかし今思えば、それは対となる『拠点ポータル』が無かったからだ。事実、この場に設置したばかりの『拠点ポータル』は設置してすぐに起動し、『拠点ポータル』の上に半透明なパネルまで現れた。

そしてパネルにロード画面の進捗バーが現れると、何かを読み込み、次に現れた画面では『転移先一覧』というリストと、そこに『タミナル拠点』という文字が表示された。これで使えるようになったらしい。

ちなみにここは、『ウサピョン拠点』と表示されていた。…………ウサピョン拠点!?

「「……………………」」

「……………………!」

俺とバルタの視線が、この名前がついた犯人だと思われるアルジャーノンに向けられると、アルジャーノンは顔を真っ赤にしながら視線を逸らした。

あれか? ぬいぐるみを渡した時に、何度か抱きしめて抱き心地を確認していた時に名前を付けたのか? 何してくれてんのコイツ? ここ『ウサピョン拠点』になっちゃったじゃん!?

「さ、さぁ! せっかく設置したんですから、さっそく使ってみましょう!!」

「お前…………。いやまぁ別にいいけど、この名前について聞かれたらアルジャーノンが命名したってちゃんと言うからな? 俺は」

「あぅぅ…………」

俺達より遥かに長く生きている永遠のショタは、俺の言葉を聞いて顔を真っ赤にして情けない声を上げた。

見た目に精神年齢が引っ張られるのはエルフの特性らしいが、引っ張られ過ぎじゃなかろうか。まぁいいんだけどさ。

ともかく、俺は『フレンド・チャット』を使ってタミナルにいる仲間達にチャットを送り、タミナルの拠点へと転移してみる事にした。

目の前にある『拠点ポータル』を操作し、『タミナル拠点』を選らんで『転移』ボタンを押す。

すると『拠点ポータル』から俺達の足元に向けて幅の広いレーザーが出て俺達を足元からスキャンし、頭の上までいって消えると、周囲の風景が歪みだした。

突然の事に俺は目を瞑ってしまい、しばらくしてゆっくり目を開くと、そこはすでに、タミナルの街にある拠点の一室になっていた。

どうやら初めての『転移』は、無事に成功したようだ。…………取り敢えずは、ひと安心である。