軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

269回目 ヴァティーの欲しい物

女神『ヴァティー』から情報を貰う対価に、ガチャアイテムを渡す事になった。

取引のメインはヴァティーなのだが、ヴァティーの盟友だと言う、エルフとドワーフのハーフと言う中々聞かないハイブリッドである『アルジャーノン』も、俺のガチャアイテムに興味があるらしくソワソワしている。

「えっと、取り敢えず女神様には何か欲しい物が…………」

『テレビ!! あれは絶対よの!! まずは一番良いテレビを貰おうかの!!』

「ひぃ!?」

俺が軽い気持ちで聞くと、ヴァティーが食いぎみにテレビ!! と叫び、ズズイッ! と俺に顔を寄せて来た。いや近い以前に怖いって!!

自分の体よりもデカイ顔か迫って来る上に、よほど興奮したのかヴァティーの顔が蛇のものになっていて喰われるかと思った! 素で「ひぃ!?」って言っちゃったもの!

「テレビ!! 知ってますよ! 勇者達の世界にはほぼ全ての家庭にある映像受信装置ですね! 俗に『三種の神器』と呼ばれるヤツですね!!」

アルジャーノンがテレビについて、知っている! と声を上げたが、なんかよく解らない単語もくっついてきている。

…………『三種の神器』? なんだそれ? …………いやまてよ、聞いたことあるな。確か戦後辺りに家電製品をそんな風に言っていたとかなんとか。

だとして、ずいぶんと古い話が出てきたな。戦後の日本からも『勇者』が来てたって事か。おそらくソイツがアルジャーノンに教えたのだろう。

『ほほぅ、『神器』とは大きく出たのぅ。だが、アレを見てしまえばそれも頷ける話よ。様々な世界や物語を見ることが出来るアレがあれば、妾は死ぬまで退屈する事はないであろうからな! …………ところで、三種と言うからにはあと二つあるのであろ? それは何なのかの?』

「三種の神器の残り二つ? え? 何だろ? いや確か、一つは洗濯機だったはず。あれ? あと一つは何だっけ?」

「冷蔵庫だよ。食品や残った料理を冷蔵して長持ちさせるためのアイテムだよね?」

「お、おう。よく知ってるな」

『フム、なるほどのぅ。その二つは要らぬな。魔法で間に合う。まずはテレビよ!!』

ヴァティーの圧が凄いので、俺は現状で一番大きなテレビ、☆4『大画面薄型テレビ』を取り出した。そしてそれをドンッと置くと、ヴァティーは満面の笑みを見せた。

『ウム! これよこれ!! これで妾も退屈せずに済むのぅ!!』

「あー、取り敢えず動画は色々見れる様にしておきますけど、これ継続して見るには『フレンド』の力がいるんですよ。定期的に『ガチャポイント』を入れてやらないといけないので…………」

『ムゥ?』

首を傾げるヴァティーに、俺はテレビの動画配信サービスと、ガチャポイントのチャージについて教えた。するとヴァティーは、とんでもない事を言い出した。

『なるほど。ならば妾をその『フレンド』とやらにしてくれぬか? その『フレンド・チャット』とやらにも興味があるしのぅ。ガモンとしても、妾といつでも連絡が取れるのは、都合が良かろう?』

マジで? 女神とフレンド!? いいのかソレ? 確かに女神とフレンドになれるなら色々と心強いけども!!

「いいんですか!? では是非!!」

こんな機会を逃せる訳がないと、すぐにフレンド登録をしてしまおうとする俺。…………が、結論から言うと、ヴァティーのフレンド登録は出来なかった。

だってフレンド登録ができるリストに、ヴァティーの名前が無かったのだ。リストに並ぶ最後にある名前は『アルジャーノン』。その前の方に邪眼族で名前を知る者達、『大蛇八首』の名前も無い。

ドゥルクで薄々解ってはいたが、この『フレンド登録』、人間しか出来ないって縛りがあるかも知れない。ドゥルクは人間である以前に幽霊だしな。人間とカウントされていないのだ。

ヴァティーは、『女神』である事と『邪眼族』である事のどちらが引っ掛かったのか解らないが。まぁ、人間かと言われれば絶対に違う訳で、人間という縛りがあるのなら確かに不可能かも知れない。

キャンパーのように俺のスキルの一部と見なされていれば、俺の許可を得て『フレンド・チャット』に入り込んだりも出来るのだけどな。

『なん…………だと…………!?』

ヴァティーはフレンドになれない事が結構ショックだったらしく、愕然としていた。

「それ、僕の名前はあるんですね? フレンドになると、どうなるのか教えて貰ってもいいですか?」

「お、おう。えっと、フレンドになると…………」

愕然としているヴァティーを尻目に、俺はアルジャーノンにフレンドになるメリットを伝えた。

フレンド機能について、今のところデメリットになりそうな事はないからな、なって損は無いと思う。

「なるほど。なります!! 僕をフレンドにして下さい!!」

『なっ!? ズルいぞアルジャーノン! お主ばかりフレンドになるなど!!』

「ヴァティーはフレンドになれないんだから仕方ないじゃないか。それに僕がフレンドになっておけば、そのテレビだって長く楽しめるし、ガモンくんと連絡が取れるようになるのは、こちらにもメリットがあるでしょう? 外の情報が手に入るって、大事だよ?」

『ぐぬぬ…………』

悔しがるヴァティーだったが、スキルの機能については俺にだってどうしようも無い。ここはアルジャーノンがフレンドになると言う事で、ヴァティーには我慢して貰う事になったのだった。