軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

253回目 カラーズカ侯爵領へ

バルタと二人でクリアしたダンジョンから手に入ったアイテム、『名も無き屋敷の記憶書』には、『人工ダンジョン・コア』と言うとんでもない代物の事が書かれていた。

しかもその技術を、事もあろうに封印された魔王が学んでしまい。何故か他の封印された魔王にもその情報が共有されて、世界にダンジョン・コアが幾つも現れる事態に陥っているのも解った。

正直な感想を述べるのであれば、何してくれてんの? って感じだ。

そしてそれを知った俺の取れる対応は一つ。伝家の宝刀、『丸投げ』である。

取り敢えず、奥の手として持っていたドローンを使ってキャンパーに来てもらい、こちらで起きた事を話して本を預けた。

俺達はこれから『邪眼族の螺旋迷宮』に挑まないといけないのだ。そんな本にまで構ってられないし、俺達が適任とも思えない。そういうのはドゥルクの領分である。

まあ、ドゥルクなら良い道筋をつけてくれるだろうし、俺に出来る事があれば向こうから言ってくる筈だ。一応、俺の知りたい事も伝えたので、その答えすら用意してくれると期待している。

キャンパーに色々頼んで身軽になった俺達は、再び『ランブルクルーザー』で北東を目指して走っていた。

しばらく進むと、人のいる村や町も見つけたが、特に用も無いのでスルーして、いよいよカラーズカ侯爵領に入る所まで来て、俺は助手席のバルタへと声を掛けた。

「なぁバルタ。これってカラーズカ侯爵にも報告した方がいいよな? これからカラーズカ侯爵領に入るんだし、一回領都を訪ねてさ」

今回の事は、あくまでもダンジョンマスターとなった屋敷が、かつて見ていた物を再現した幻だ。

しかし、あの惨状がかつて行われていたのは事実。いったいあの研究でどれだけの人が犠牲になったのかを考えると、その数はきっと膨大になるだろう。

多くの人が犠牲になっているのなら、その証拠を完全に隠滅するのは難しい。カラーズカ侯爵なら、それに王が関わっていたことを突き止める事も出来るだろう。

「うーーん、居れば良いですけどねぇ。カラーズカ侯爵は、基本的に領地には居ませんぜ? これから冬になるんで、それまでには帰って来るでしょうが、今の時期だとまだ王都じゃねぇですかね」

「…………自分の領地だろ?」

「そうなんですがね。でも、侯爵には優秀な部下も多いですからね、周りには寄り子となる貴族もいますし、領地の状況は把握しているでしょうが、領地の事は部下に任せて、大体は王都で仕事をしてやすぜ。特にカラーズカ侯爵は司法の官職に就いてやすからね、王都を離れるのは難しいんでさぁ」

…………マジか。居ないんじゃ報告も何も無いな。事が事だから手紙ってのも危なそうだし、そうなるとやっぱり『フレンド・チャット』だな。

カラーズカ侯爵自身をフレンドにはしていないが、ティムには連絡が取れる。まずはチャットで領地に居るかどうかを聞いて、居なかったらチャットで報告しよう。

…………と言う訳で。俺はティムに『フレンド・チャット』を送った。

結論を言えばカラーズカ侯爵もティムも領地には居なかった。そしてあの屋敷で行われていた事については、『何か非人道的な研究が行われていた』という所までは掴んでいたようだが、それがどのような研究なのか、って所までは掴んでいなかった。

それがまさか、人工的にダンジョン・コアを作る研究だとは考えもしなかったようだ。

ティムを通じてだが、カラーズカ侯爵はこの件に関して調べてくれると約束してくれた。

「…………あの研究所については、これで出来る事はなくなったけど、ティムに凄く小言を言われたよ。チャットが少な過ぎるって」

「あぁ、それはそうですぜ。あまり言っていい事じゃねぇんでしょうが、旦那と別れてから、お嬢は旦那からのチャットを待ってやしたからね。シエラ達からはよくチャットが来てる様子でしたから、余計少なく感じたと思いやすぜ」

「いやだってなぁ…………。あまり報告できる事も無かったし、何かあってもシエラが送ってるだろうし、って考えると送る事が無いんだよ」

「雑談でいいんですぜ雑談で。ほら、そろそろカラーズカ侯爵領に入りやすぜ、何か送ってやりゃあ良いんじゃねぇですか?」

「う…………うん。まぁ、やってみる」

とは言え、俺達が入ったのはカラーズカ侯爵領でも南部の地域。バルタに言わせると、侯爵領の中でもあまり手が入っていない所らしい。

この辺りは、伐採する為の木を育てる地域らしく、森とも呼べない、ちょっとした林が点在している場所だ。

林と林の間が微妙に空いているから、モンスターもあまり住み着けず、瘴気が少ないから木がモンスター化する事も防げる。

この世界では木材を得るのが難しい事は知っていたから、どうしているのかと思っていたが、こうして育てている分があるらしい。

伐採してはまた苗木を植えて育てるという気が遠くなる作業。なるほど、俺のガチャから出てくる木材や紙が高く売れる筈である。

「…………よし」

取り敢えず俺は、この場所を見た感想を、ティムにチャットで送ってみた。こうして意識的に送らないと、また送れなくなりそうだし。

なんて考えで送った訳だが、ティムからはすぐに返事が来たので、俺は車を止めてバルタと会話もしつつ、しばらくティムとチャットやり取りをした。

いやまぁ、やると楽しいんだよね。チャットってのは。