作品タイトル不明
221回目 『クランガチャ』
「…………うーーん。なるほどなぁ…………」
「どうですかガモン様、新しいガチャは?」
「うん、何て言うか尖ってる。これは本当にクランとクランメンバーの為のガチャだね。新しいよ」
「『クランガチャ』って言うくらいでやすからね」
簡単に『クランガチャ』について説明をする。まず回すために必要な金額は一回金貨一枚。これは他のガチャと変わらない。
それで出て来るのは、食品・生活・装備の三種類。ただし、食品と生活については、『クランの拠点のみで使える物』と注釈がついている。
クランの拠点でしか使えない生活品ってのは何となく解るが、拠点でしか使えない食品ってのはちょっと意味が解らない。まあ、この辺は出してみるのが一番解りやすいだろう。
そして特筆すべきが『装備』だ。
そもそもこのガチャ、なんと☆5が出て来ない。出て来るのは☆3と☆4の二種類のみで、生活と食品は☆4のみらしく、出て来る☆3は装備だけだ。
確率は☆3が90%で☆4が10%。…………なんと、一割の確率で☆4が出て来る!!
☆4確率が他のガチャの十倍である! これは凄い! ☆5じゃなくても、全然強いのだ。
ただし! そう、ただしである。この『クランガチャ』から出て来る装備は、クランメンバーに依存する。
つまり、クランメンバーに剣士しか居なかった場合は、出て来る武器は剣だけであり、弓使いしか居なかった場合は弓のみである。クランメンバーによって出て来る武器や装備が決まってしまうガチャなのだ。
おそらくメンバーが男性のみだと、女性用の装備も出て来ないだろう。これはクランメンバーの話であるので、フレンドとしてしか登録していない者が使う装備も出て来ない。
これが良いのか悪いのかは正直よく解らないが、俺の『ガチャ・マイスター』がクランメンバーに多様性を求めている、という解釈なのかも知れない。
「何にせよ、☆4で装備が揃えられるのは凄いよな。クランメンバーによって出て来る装備が制限されるってのも、装備を強化する事を考えればプラスだし」
「今まで☆4が出て来る確率は約1%でしたからね。それが10%にまで上がったのなら、確かに装備が揃いそうですね。俺の『白雷獣の剣』も、+4まで強化出来るかも知れませんね」
「そうなると、永続スキルも取れるからガモンも強くなるのよね。それはガチャを回す価値があるわね」
「ガモン様、☆4の装備が取れるのなら『技巧神の大工房』も使えるのではないですか? 確か、☆4までならガチャから出て来たアイテムでも作れるんですよね?」
「…………ハッ!?」
「ガチャアイテムを作る? 何の話ですかい、そりゃ」
一人知らないバルタに、アレスが☆5『技巧神の大工房』について説明するのを尻目に、俺はその可能性について考えていた。
…………出来るのか? …………いや出来る! 確かにあの説明ならばそれが出来るはずだ! 『クランガチャ』と『技巧神の大工房』のコンボが強すぎるな。これは一刻も早く、『技巧神の大工房』も使える様にしなくては! 忙しくなってきやがった!
俺はすぐにでも☆5『技巧神の大工房』を設置したいと思い立ち、設置場所を求めて部屋を飛び出したのだが、そんな俺に待ったが掛かった。
「待って下さい! ガモンさん!!」
「えっ!? あ、はい!」
俺を止めたのはアレス達の母であるアレマーだ。廊下を走り始めた所で急に声をかけられた俺は、驚きつつも何とか立ち止まる。
そして俺は、この屋敷で家事を取り仕切るアレマーに軽く説教を受けた。
「ガモンさん。せっかく帰って来たばかりなのですから、もっと落ち着いて下さい。そんなに勢いをつけて走ったら危ないですよ? この屋敷には小さい子供もいるのですから」
「あ、はい。すいません」
廊下を走って怒られるなんて、学生の頃以来だ。まさか大人になってまで、廊下を走って怒られるとは思わなかったが、子供達がいる事を考えれば、今のは確かに俺が悪かったので、俺は素直に謝った。
「わかって貰えたならいいです。…………今日の夕食は腕によりを掛けますから、皆で食べましょうね? お忙しいのも分かってはいますが、こうして久し振りに揃った時くらいは、ゆっくりして下さい」
「…………そうですね。カーネリア達の事もちゃんと紹介したいですし、…………取り敢えず今日はゆっくりします」
「では、夕食の準備ができたら呼びますので、のんびり待っていて下さい。ガモンさんがのんびりしてないと、シエラさん達も休めませんからね。立場のある人は、意識的に休まなくてはいけませんよ?」
「…………はい」
……………………どんなに強くなっても、どんなに大人になっても、人は母親には勝てない。俺はアレマーに窘められて、すごすごと元いた部屋へと戻った。
俺の仲間達にも廊下でのやり取りは聞こえていたらしく、俺は苦笑で迎えられ、しょうがないので夕食の時間までは漫画でも読みながら過ごす事にした。
ちなみに夕食は、トルテ達『ノーバスナイト』やアルグレゴ小隊に、ゲンゴウの所の部下達にゲンゴウの所に雇われた『サリアナイト』も招待されて、ちょっとしたパーティーのようだった。
俺もゲンゴウの所の寮にいたから顔見知りが多く、トルテ達にも久し振りに会えたので嬉しかったよ。