軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

178回目 辺境伯家・王都別邸

王都ジョネイブに着いた俺達は、王都の貴族街の中にあるターミナルス辺境伯の屋敷へと入った。

馬車を引く馬や騎士達が騎乗する馬が『霊獣』だったため俺達の後をついて来た者は多いが、流石に屋敷の敷地内へと入っては来られない。

だがターミナルス辺境伯の王都別邸の前は、かつてない賑わいを見せており、屋敷に詰めていた兵士達が門へと走って行った。門には兵士が二人いたのだが、あまりにも屋敷の外に詰めかける者が多かったので、万が一にも侵入を防ぐ為にターミナルス辺境伯が走らせたのだ。

屋敷の前まで進むと、そこには屋敷で働く使用人達が集まって出迎えてくれていたが、ターミナルス辺境伯は使用人達への挨拶もそこそこに再び馬車に乗った。そして俺達は屋敷の裏側にある広場へと全員で回り込んだ。

そして広場全体にドゥルクが覗き見などを防止するための結界を張り、俺も『◇キャンピングカー』から外に出た。

「やれやれ、凄い騒ぎになっていたな」

「これだけの『霊獣』で乗り込んだからな。まあ、想定通りだ。ドゥルク翁、ご協力に感謝します」

そう言ってターミナルス辺境伯であるノルドがドゥルクに頭を下げた。

『なに、全てはワシの主殿の為じゃからの。礼には及ばんわい。どれ、名残惜しいが霊獣達を住処に帰すぞい』

『『ブルルルルッ』』

「お別れか。ありがとうな、お前達。また会える事を願っている」

ドゥルクが霊獣達を保護している世界に返そうと呪文を唱え始めると、アルグレゴや小隊の面々が霊獣を名残惜しそうに撫でていた。

乗っていた時間は短いが、霊獣には長く憧れをもっていた者達が多く、この短い間にも心を通わせていたようだ。霊獣達も撫でられるのを受け入れ、中には兵士達の鎧を甘噛して歯形を残す霊獣もいた。

『…………開け!!』

ドゥルクの長い詠唱が終わり、この世界とは別の、霊獣達が住む世界が姿を見せると、霊獣達は静かに帰って行った。

「ドゥルク、ちょっといいか? 霊獣達にお礼を置いて来たい。具体的にはガチャから出た野菜や果物なんだけど、いいかな?」

『それはありがたいのぅ、ワシからもお願いするわい。中に山積みにして来てくれれば、保管は霊獣達が自分で出来るから、多めに置いて来てやってくれ』

俺はドゥルクに一声かけると霊獣達が住む世界に足を踏み入れた。

「…………おぉ。すっげ…………」

その世界は、まさに一面の草原だった。三百六十度どこを見ても山は無く、真っ直ぐな地平線が続いていた。

草原の他には川が流れている程度で、澄んだ青空と吹き抜ける柔らかな風の中で、霊獣達は草原を走り回ったり、草を食み川の水を飲んだりしながら、平和に暮らしていた。

「…………うわーー、ここにログハウス建てて住みたい」

そう思わず呟いてしまう程に、ここには平和が満ちていた。

『ガモン、早よせい。この扉は開けとるだけでワシの魔力をガンガン使うんじゃからな』

「あ、ああ。悪い、すぐ終わらせるよ」

俺は少し名残惜しかったが、自分の近くにスキルの倉庫から馬が食べそうな野菜や果物を山積みにして、その世界を後にした。

「改めまして、お帰りなさいませ旦那様」

「ああ。しばらくの間、頼むぞ。ここに居るのは大切な客人だから、そのつもりで対応してくれ」

「かしこまりました。では皆様、長旅でお疲れでしょうし、部屋にご案内いたします」

この屋敷の主であるノルドと挨拶を交わした執事が数人のメイドを呼び、俺達をそれぞれの部屋へと案内してくれた。

流石は辺境伯家だけあって大体のメンバーが個室を与えられた。違うのはアレスとアルグレゴの親子や、アルグレゴ小隊のメンバー達だ。アルグレゴ小隊に関しては元々ノルドの部下なので兵舎の方に向かった。アルグレゴはアレスがいる事もあって、屋敷の方に泊まるそうだ。

「これで依頼の半分が終わったな。あとはタミナルの街までの護衛で、依頼完遂だ」

「俺の想像していた護衛依頼とは全く違う物でしたが、強くはなりましたね。基本的には『◇キャンピングカー』で漫画を読んでいただけなんですけどね」

「ガモン様のスキルが便利過ぎて、別物でしたからね。でも、ギルドマスター直々に指南して貰えたのは有益でしたね。ガモン様もダンジョン講習を終えられましたし、これで問題なくCランクに上がれますわね」

シエラとアレスも俺の部屋に呼んで、俺達は反省会を開いていた。…………とは言え、今回の内容は護衛依頼という名前の小旅行みたいな雰囲気があるから、反省としては『そもそも『◇キャンピングカー』はアリなの?』って感じになっちゃうんだけどな。まあ、護衛依頼ではなかったよね。仕事してたのキャンパーとドゥルクだもの。…………いや、アレスは最後に騎士をやってはいたな。何も起こらなかったけど。

さてこの後の日程だが、取り敢えず俺達にやる事はない。まずはノルドが城に、モンテナが冒険者ギルドに行って俺や魔王についての報告をするのが第一だからだ。

俺に出番があるかは報告会がどうなるかによるが、まあ呼ばれるだろうな。俺のスキルもだが、『ドゥルクの書庫』とか『郷愁の禍津像』とか、ヤバイ事案がいっぱいだからな。