軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

162回目 余韻

ティアナとデートをした夜、俺はわざわざ寮の裏庭に出した『◇キャンピングカー』の中で風呂に入っていた。

気分的に高揚していた事もあって、大浴場を新たに増設しました。しかも温泉で、露天風呂付きのやつである。

え? 『◇キャンピングカー』の中で露天風呂? と思うだろうが、これは一切の常識を無視した『☆4クラッシュレア』である。室内なのに山とか川とか滝とか月とかが見える露天風呂だって作られてしまうのだ。

意味が解らない。いや意味なんか無い。それが『◇キャンピングカー』である。

ちなみにこれに一番喜んだのはドゥルクだ。露天風呂が出来たと知るや、すぐに日本酒の入った徳利とお猪口を乗せたお盆を俺に用意させて、それを湯船に浮かべて服は着たままで露天風呂に入っている。幽霊だから服とか関係ないらしい。

何の映画で見たのか、このシチュエーションをやってみたかったのだと熱く語っていた。まぁ、気持ちは分かる。俺も今度やってみよう。

ドゥルクの事は置いておいて、なぜ俺がわざわざ『◇キャンピングカー』で風呂に入っているのかと言うと、ここなら一人になれるからである。

いやドゥルクもいるけど、ドゥルクは露天にいるので、室内温泉は俺一人だ。

俺は風呂で長湯をしながら、今日のデートに思いを馳せる。…………俺、かなりモテてたんじゃね? と。

いやぁ良かった。今日のは良かった。かなり楽しかったしティアナとの距離がめっちゃ近くなった気がする。

正直ティアナは可愛い。そりゃもうメッチャ可愛い。俺みたいな地を這う一般人からすれば、高嶺の花どころか雲の上のお月様だ。見上げるだけで決して手は届かないお嬢様である。歳にも開きがあるしな。七歳差である。

でも今日のデートは良かったよね。演劇が終わった時のティアナがもたれ掛かって来たやつとか、宇宙ロケット乗ってたよね俺。月めがけて飛んでたよね俺。

…………とまぁ、こんな事を悶々と考えながら長湯をしていたら、ウッカリのぼせそうになった。わざわざ風呂場にキャンパーが注意しに来た程に。

『長湯も結構ですが、長湯をするなら水くらいは持ち込んで下さい。のぼせて死にますよ、マスター』

「はい、すいませんでした。以後、気をつけます」

あ、ちなみにドゥルクはそのまま放置です。だってアイツは幽霊だから、のぼせたりしないしね。

さて、ついついテンションが上がり過ぎて変な反省会しちゃったが、俺が変なテンションでいる間に何件かチャットが届いていたので確認をした。

チャットの送り主はティムと領主であるノルド、それにアルグレゴの三人だった。ティムの名前に思わずにやけてしまうのは、今日の後遺症である。

ティムからは今日のお礼と、ティムがテルゲン王国へと帰る日の知らせだった。ティムはもう、三日後にはバルタと共にこの街を去るらしい。

バルタは『フレンド・クエスト』の事もあるし、ティムを送り届けたらこの街に戻って来るが、ティムとはしばらく会えなくなる。それがあるから、今日は女の子なティアナと一緒に遊びに行った訳だが、やはり寂しくなるな。

隣の国だし『フレンド・チャット』もあるけど、日本にいる時ほど近くはないんだよ、隣の国は。

少しだけしんみりしたが、俺は続いて領主ノルドからのチャットを開いた。内容は俺に譲渡する物件の用意が出来たと言う内容だった。その物件の位置も書いてあったのだが、今日行ったあの公園の近く、つまり平民街に程近い場所になるようだ。

築年数は経っているが、それほど壊れておらず、最低限は修繕が終わったとある。『魔王』や『郷愁の禍津像』の情報の対価として、国や辺境伯家とギルドから予算が出るので、土地を含めてなんと『タダ』でくれるようだ。やったマジかよ!!

何も無しでただくれるって言うなら後が怖いから断ったと思うが、情報の対価だと言うのならありがたく貰っておこう。なんせこちとら、白金板で十枚! 日本円にしたなら十億円使っているんだからな!! 正直、赤字が解消できるのならありがたいのだ。

もう用意は出来ているそうなので、明日さっそく見に行こう。

そして最後に残ったアルグレゴからのチャットだが。

「おおおっ!! マジかよ、もうカンストした装備があるのか! さすが本職、早いな!!」

アルグレゴ、と言うよりはアルグレゴ小隊から来たのは、ただの連絡ではなく今日の訓練の成果報告だった。

それによると、既に『ひのきの棒』『銅の剣』『皮の盾』など、いくつかの装備の熟練度がカンストしているようだ。ペースが速い!

いや結構な数の☆3装備を置いてきた筈だが、このペースだと持たないな。明日、屋敷の受け取りに行くついでにまたガチャ装備を置いてこよう。それと熟練度がカンストして装備を売った時の検証もしないといけないしな。

いや、流石に装備を手放したからって手に入ったスキルが消える筈は無いと思うが、検証は必要だからな。

『さて、そうと決まれば。また装備ガチャを回して合成まで済ませとくか。あ、ガチャ・ポイント無駄使いしたから生活ガチャも回して補充もしとこう』

…………そうだ。貰える屋敷の状態にもよるけど、すぐに住めそうなら引っ越しもしないといけないな。

装備ガチャや生活ガチャを回しながら、俺はしばらく会えなくなるティムや、さんざん世話になったゲンゴウに何かお礼をしたいなと考えていた。