軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

157回目 『郷愁の禍津像』

『なるほど、『魔王』となった獣を完全に倒す情報が欲しいと。その情報なら、白金板八枚だね』

「八億…………!? いやでも買えるのかよ!!」

もしかしてと思い、『ガチャ・マイスター』の『マイスター・バー』のマスターの所に来てみれば、封印するしか手の無い『魔王』を完全に倒す方法が売っていた。

そして、白金板八枚で魔王を倒す情報が買えるとドゥルクとシエラに教えると、二人は揃って頭を抱えた。

歴代の勇者や、魔王を研究し続けている教会がどんなに頑張っても得られなかった情報が、いくら高額とは言え金で買えるのだ。それは頭を抱えたくもなる。

『神託スキルを使ってすら得られない情報がまさか金で買えるとは…………。本当にお主のスキルはどうなっとんじゃ』

「ガモン様、その情報を買って下さい。お金は教会に掛け合ってお支払しますから!」

『待てシエラ、そりゃマズイ。こんな世界の根幹に関わる情報まで金で買えると知られれば、ガモンがどうなるか分からんぞ? いま一番マズイのは、ガモンが身動き取れなくなる事じゃ。済まんがガモン、ワシの遺産を使って買ってくれ』

「ああ、元からそのつもりだよ。俺だってこの情報が買えるのはヤバイって思ってるから」

と言う訳で、『八億円!!!!』…………いや、『白金板八枚』を払って、俺は『マイスター・バー』のマスターから情報を買った。

…………もう俺の金銭感覚は瀕死通り越して致命傷である。『何とかギリギリ致命傷ですんだ』みたいな、『それもう死んでない?』みたいな、そんな感じである。

さて、そんなデッカイ犠牲を出しつつも得た情報が、以下です。

・魔王と呼ばれる獣は元々『神獣』。

・魔王とは、神獣が『本体』と『影』に分裂してしまったものであり、魔王と称されるのは『影』の部分。だから『本体』が存在する限り、決して消滅せず、『影の眷族』を無数に生み出して『本体』を探そうとする。

・神獣の『本体』は、『影』を失った為に形を保てなくなっているが、必ずこの世界に存在する。それを破壊すれば、『影』は消え去る。

・魔王が探し出せていない以上、『本体』は魔王の眷族が立ち入れない場所にある。

どうだ、解るような解んないようなで意味わかんないだろ?

なんで『影』が動き回ってんの? とか、『影』がそんなに元気なのになんで『本体』の方が参ってんの? とか、そもそもそれは本当に『影』なの? とか、突っ込めばキリがない。これで八億円ですか? ナメてんの?

などと俺なんかは思ったのだが、この訳分かんない説明を聞いてドゥルクはフワリと浮かび上がり、『ドゥルクの書庫』に行ったかと思うと、二つの一抱え程度の大きさの石像を持って戻って来た。

それは『カエル』と『モグラ』の像であり、宝石で出来ているかの様に透明感があってキレイだった。ただし、その二つの石像の顔は苦悶に満ちており、何やら息詰まるような不穏な圧力を感じた。

「ドゥルク、何を持って来たんだよ…………」

『これはのぅ、それぞれとあるダンジョンで見つけた『郷愁の禍津像』と言う石像じゃ。…………ガモン、ちょっと触れてみよ』

「……………………嫌だけど………?」

『いいから触れてみろ! 害など無いわい!!』

ドゥルクに叱責されて、俺は明らかに呪われそうなこの像に嫌々触った。ちなみに触ったのは『モグラ』の方です。なんか、『カエル』は毒も持ってそうな気がしたからだ。気がしただけで実際は持ってないらしいけど。

「…………うわぁぁ、あったかぁい…………。しかもなんか脈打ってんだけど…………。何これ?」

『何これも何も、おそらくコレが本体ではないか? 聞いてみい』

聞いてみました。ハイ、本体でした。それぞれ、見たまんま『カエル』と『モグラ』の本体です。ちなみに情報料は、もう予想がついていたからか銀貨一枚でした。

『…………やはりそうか。なんでも持っとくもんじゃな。しかし、これはダンジョンの宝箱から出てきた物なんじゃがな』

嘘でしょ? 仮にも『神獣』の本体がなんでダンジョンの宝箱から出て来るんだよ。いや、ダンジョンの宝箱なんかに入っているから発見されないって事か?

「って言うか、こんな気持ち悪いの、よく持ってたな。俺なんかダンジョンで見つけても置いてくるぞ、こんなの」

『まぁワシも、何かの研究に使えるかと思って一応持っといただけなんじゃがな。鑑定に出しても何も解らんかったし、使い道も無かったんじゃ。とは言え売る気にもならんかったしのう』

ともかく、これが魔王と呼ばれる獣『カエル』と『モグラ』の本体ならば、その二体は倒せるようになった訳だ。

「どうする? さっそく破壊するのか?」

『いや、破壊してどうなるのかを確かめる必要があるじゃろ。『カエル』の封印の地は、確かこの国にあった筈じゃが、『モグラ』は隣国のテルゲン王国にある。そっちはティム、と言うかカラーズカ侯爵に任せるしかないであろうな』

「まあ、白金板八枚もかけて買った情報だから、これを壊せば魔王が消えるのは間違いないだろうけど。…………全部集めないとダメなのか、これ?」

『そういう事じゃな。人手がいるのぅ、それも、不測の事態にも対処可能な人材がな』

それで俺のスキルかよ。これは本格的に『クラン』を作らないとダメなやつだな。

…………あれ? 俺こんな話をしに来たんじゃないよな? …………そうだ。スキル合成の相談に来たんじゃねぇか。脱線しまくって忘れる所だった。