軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

141回目 意味が解らん

ストーリー・サブクエストに続いて緊急クエストも終わらせた俺達は、その後は『◇キャンピングカー』を走らせてすぐにタミナルの街へと帰って来た。

たかだか二日程度の事なのに、色々ありすぎたせいでタミナルの街が懐かしくさえ感じた。

本来ならすぐに解散して、酒でも飲んでゆっくり休みたい所だがそうもいかない。共同墓地で起きた事について冒険者ギルドで報告をしないといけないからだ。

地下墓所ダンジョンは潰したけど、肝心の地下墓所は現在入口が崩れてて入れないし、ドゥルクの事もあるからな。事は冒険者ギルドどころか領主を越えて国の問題にすらなりそうな規模なのだ。

この国のお偉いさんに、ドゥルクの幽霊が俺の所にいて話もできるなんて知られたら、エライ事になりそうだ。ギルドマスターには『ドゥルクの書庫の鍵』の話をしちゃったけど、本気で不味かったんじゃないかな、アレ。

まぁ、ティムは大丈夫だと判断していたみたいだし、ギルドマスターの口は硬いんだろうけどな。

「…………おう、待ってたぞ。さぁ、俺の部屋に行こうじゃねぇか」

…………俺達が冒険者ギルドに入ると、受付の一つに何故かギルドマスターであるモンテナが座っていて、俺達を見て立ち上がったかと思うと、クイッと親指で自分の部屋のある方向を指し示した。

何でギルドマスターが受付に座っているのか? いやそれよりも、…………なんだろ。なんでだか怒っている気配がする。

取り敢えず呼ばれたのは俺とティムだけだった。一緒に呼ばれたバルタはいつの間にか姿を消していたが、モンテナは。

「チッ、そんなにギルドで俺に会いたくねぇのか。ティム、今夜飲みに行くぞって伝えといてくれ」

と言っただけだった。バルタの拘りはよく解らないが、二人が納得しているのなら、それでいい話だろう。…………バルタとモンテナの行きつけの店には、多少興味があるけど。って言うか俺も混ぜてくれないだろうか?

ちなみにトルテを含むノーバスナイトとサリアナイトの七人は、ギルドに報告を入れたら宿に戻ると言うのでここでお別れである。シエラとアレスはここで待つと言う。

そして俺達をギルドマスターの部屋へと連れ込んだモンテナは、ソファーに座るなり深い溜め息をついて俺達を睨んだ。

「…………取り敢えずだ、色々聞きたい事は多いんだが一つだけハッキリさせてくれ。…………ドゥルク翁の家から『鍵穴』が消えた原因はお前らか? 王都の魔導研究所からも『鍵穴』が消えたと、書簡が届いたぞ? 緊急時にしか使われない『魔導便』で届いたんだ、そちらの鍵穴は無事かどうかってな。おかげで対応に追われている」

「…………あぁ、それで…………」

「俺はなぁ、お前達から共同墓地のダンジョンとスタンピードの可能性を聞いてから、念の為に色んな対応策を講じていたんだ。そこに『鍵穴』の話が来たから寝てねぇんだよ! …………で、どうなんだ? 『鍵穴』の消失はお前らが関わってんのか?」

そう聞いて来るモンテナだが、その眼は俺達が関わっていると確信している感じだった。まあ、『ドゥルクの書庫の鍵』の話をしていたから当然なんだけどさ。

「いやまぁ、俺達がって言うかドゥルクがって言うか…………。原因が俺にあるのは認めますが、決めたのはドゥルク本人です」

「…………意味が解らん。最初っから全部説明しろ」

「……………………意味が解らん」

最初から説明しろと言うから説明したのに、モンテナは説明を聞く前とまったく同じ台詞を吐いて頭を抱えた。

「ドゥルク=マインドが生きていて、自分の意思でキャンピングカーに引っ越し? さっぱり意味が解らない」

「いや、ドゥルクは幽霊ですよ。ちゃんと死んでます」

「…………ああ、そう、そうか。…………ティム、こいつは俺をからかっている訳じゃないよな?」

「ええ。気持ちはよく解りますが、ただの事実です」

憔悴しきった様子で尋ねるモンテナにティムは苦笑まじりで応え、モンテナは大きな溜め息をつきながら更に深く頭を抱えた。

「……………………ダメだ、理解が追いつかん。お前達が嘘をついていると思っている訳ではないが、ドゥルク=マインドの幽霊など冗談にもならん。まさか『鍵穴』の消失がただの引っ越しだなどと、どう報告しろと言うのだ…………」

「いやぁ、報告されると俺は困った立場になると思うんで、黙ってて欲しいんですけど…………」

「…………簡単に言ってくれる…………」

モンテナは俺を結構キツイ眼で睨んだあと、目を閉じて天を仰ぎ、最後にはガシガシと頭をかいてから俺に向き直った。

「確認だが、『ドゥルクの書庫』はお前の物になったんだな? その中身どころか大魔導師『ドゥルク=マインド』を含めてだ」

「いやまぁ、確かに書庫は貰いましたけど。ドゥルクは相談役と言うか、そんな感じで…………」

「同じ事だ。…………単刀直入に聞くが、俺がドゥルク翁と会うのは可能か? できれば『書庫』についてもこの目で確かめておきたい。その代わり、ドゥルク翁に関わる一切の事は俺が誤魔化しておく」

「…………具体的には?」

「共同墓地のダンジョン化と絡めて、やむなく消失した事にする。…………あの『鍵穴』は入口に過ぎず、その全てが同じ場所に通じていたと言うのは有名な話だからな。ひとつの消滅が他の『鍵穴』にも影響したという方向に持っていけば、なんとか誤魔化せるだろう」

「…………わかりました。よろしくお願いします」

俺はモンテナに頭を下げた。そしてこの日、俺のフレンドリストに新しく『モンテナ』の名前が増えたのだった。