軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

134回目 緊急クエストに向けて

「おおっ…………! うおおぉぉっ…………!! すげぇ…………! やべぇぇ……………………!!!!」

目の前に広がる光景に、俺のテンションはえらいことになっている。

だってそうだろう。目の前に…………。いや、俺の周囲に広がっているのは吹き抜けの五階層にもなる巨大な図書館みたいな書庫と、豪華な装飾のついた机や椅子などの家具に様々な魔道書・魔道具、そして財宝だ。

なんて綺羅びやかな宝の山!! 物語でしか見た事のない、空想の中にしか存在しないはずの夢がここに詰まっている!! これ、全部俺のなんだよ!? 凄くない!?

『そうとう喜んで貰っているようで良かったわい。まあ、そのうち慣れてしまって何も感じなくなるがのぅ』

「マジで!? 慣れるなんて事あるのコレ!? マジでヤバイ宝の山だよ!! マジヤバ!!」

…………おっと、俺の口からもウッカリ死語が出てしまった。いやでも出るよねコレ。ヤバイもんコレ。

ドゥルクの引っ越しは無事終わった。と言っても、俺の『◇キャンピングカー』の中にドゥルク専用の部屋を作って鍵穴を設置しただけなんだけどね。俺達が書庫の中に入る時には、ドゥルクに招いて貰うのだ。

「…………な、なぁドゥルク老師。ここにある白金貨とか白金板とか、マジで貰っていいの? …………後で返せとか言わない?」

『言わぬとも。全部ガモンにやるわい。ただ、その内の一枚くらいは『書籍ガチャ』に使って貰いたいのぅ。お主の世界の本に儂は興味があるのじゃ。退屈な時にはあの漫画とかラノベは最適じゃしのぅ』

「そりゃもちろん使いますよ! 漫画図書館とかラノベ図書館とか作る勢いで行きましょう!!」

書籍ガチャの本が増えれば俺のステータスも増やせる。ドゥルクの願いを断る理由など何処にも無かった。むしろ望む所である。

『ホッホッホッ。それはええのぅ。…………いやはや、それにしてもお主のスキルは興味深い。この『うめえ棒』なる物も中々に味わい深いしのぅ』

俺がいる『ドゥルクの書庫』へと繋がる鍵穴は、今は人が楽に通れる程に大きく広げられており、ドゥルクはその向こう側の自分の部屋で、何十種類もの『うめえ棒』をプカプカと浮かべながら、駄菓子とお茶を楽しんでいた。

ドゥルクが飲んでいるのはガチャから出て来た『玉露』で、テーブルの上には駄菓子の他にも、お茶請けとして沢庵やべったら漬けなんかも小鉢に入って置かれている。ドゥルクはそれらを箸で摘まんではポリポリやりながら玉露を飲み、さらに駄菓子をサクサク食べては玉露を飲みをしているのだ。

『この『うめえ棒』は食していて楽しいのだが、惜しむらくはこの『牛タン』だの『エビマヨ』だのと本物を知らん物が多い事よな。本物を知ればさらに楽しめるであろうにの』

「そのうち用意しますよ。緊急クエストが終わった後にでもね」

『それは楽しみじゃの』

取り敢えず、『ドゥルクの書庫』は『◇キャンピングカー』の中に設置されたが、ドゥルクの提案で使用者は俺と、俺とドゥルクの二人が認めた者に限られる事になった。

今の所、俺以外で使用が認められるのは二人だけで、ティムとバルタだ。俺としてはシエラやトルテにアレスも良いと思うのだが、ドゥルクが首を横に振ったのだ。

ドゥルクの書庫にある『魔道書』や、数々の知識や魔道具には危険な物も多い。ドゥルクとしてはそれを託せるに値する者かを見極めたいようだ。

…………正直、それを言ったら俺もダメだと思うのだが、ドゥルクは俺が『勇者』である、という一点だけで俺には全てを託すと言った。『勇者』は世界が望まなければ召喚されない。だからこそ『勇者』の資質は、世界が見極めた物に他ならない。なんて重たい事を言われた。…………俺、マジで普通の人なのに。

まぁともかくとして、『ドゥルクの書庫』についてはそういう事でまとまったので、これについては一旦脇に置いとこう。

何せまだ『緊急クエスト』が残っているのだ。

俺は『◇キャンピングカー』のリビングに全員を集めて対策を練る事にした。それに伴って俺が『勇者』である事や、俺のスキルに出た『緊急クエスト』についてはノーバスナイトとサリアナイトの六人にも説明をした。

二つのパーティーの救出から、今に至るまでの流れを見ているからか、六人は俺が『勇者』である事をすんなりと受け止めた。そしてその上で、今回の『緊急クエスト』に協力すると申し出てくれた。

「無理はしなくていいぞ。正直に言えば、俺達だけで何とかなる。俺達が自分達だけでこれを解決しようとしているのは俺達の都合だからな。ノーバスナイトとサリアナイトには、『ドゥルクの書庫』の一件さえ黙っていてくれるのなら、後は自由だ」

俺達だけで何とかなる。これは本当だ。めっちゃ金は掛かるが、ガチャを回しまくって装備を揃え、攻撃用ドローンを増やせば何とでもなる。そしてその金も、ドゥルクの遺産がある今ならば怖くない。もうアホ程回せるのだ。

「いえ、俺達にも協力させて下さい! 俺達に出来る事は少ないかも知れませんが、俺達だってタミナルの街は大切なんです! もちろんドゥルク様についても口にしません! お願いします!!」

「タミナルの街は私達にとっては生まれ育った街ですし家族もいます! ここで自分達だけ戻ったり出来ません! 私達も手伝います!!」

どうしても手伝うと言うノーバスナイトとサリアナイトに、どうしたものかと考えていると、バルタが手伝って貰えばいいと助け船を出して来た。

「いいじゃねぇですか、手伝って貰えば。これは冒険者の矜持ですぜ。コイツらもこの共同墓地での依頼を受けてここにいる以上、助けられた上にスタンピードの危険性を放って帰るなんて出来やせんぜ」

「…………そういうもんか?」

「ええ。そういうもんでさぁ。理屈で割り切れるなら、冒険者なんてやってませんぜ」

バルタの後押しもあって、俺はノーバスナイトとサリアナイトにも手伝って貰う事に決めた。