軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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俺とロッコは残った朝食の粥を分けっこして飛魚フレークをどっさりかけて食べた。

役得ってヤツである。

朝は食べない者がいるので毎度少し残るのだそうだ。

そういえば船長も長官も来なかった。

ロンド船長は干し豆とか干し肉を食べてるって、こないだ言ってたな。

長官も何か隠し持ってるんだろうか。

物入れにベーコン隠してたしな。

やっぱ女子だし甘いものとか隠し持ってるのかもしれない。

午後はロッコに、昆布出汁の取り方を教え、米の研ぎ方を教え、麦の分量を教え、投網の投げ方を教え、晩飯の時間になった。

飛魚フレークは各自が自由にトッピングするようにした。

どっさりかける奴もいれば味見すらしない奴もいた。

セルフサービスにして正解だったな。

思えばアレルギーとか出る奴も居るかもしれないのだ。

そういえば欧米人はグルタミン酸ナトリウムアレルギーの奴が居るとか。

昆布出汁は大丈夫だったかな?

この船の連中はトマト食ってるから大丈夫か。

飛魚フレークはまだかなりの量が残っているのであと2日は持ちそうだ。

片付けはロッコが買って出たので任せる事にして俺は小鍋と飛魚フレークを持って部屋に戻ることにした。

いつもより少し早いが長官と晩飯である。

と、粥を持ってブリッジの横を通り掛かると話し声が聞こえてきた。

「昨夜はかなり激しかったぜ、かなり息が上がってたな」

「ああ、こっちも凄かった。天井が抜けるんじゃないかってくらいギシギシ鳴ってたぜ」

「でもオミの野郎、早いよな」

「ああ、5分程度だ」

「それにしちゃ長官は満足げじゃねえか」

「本番まで相当舌をつかうんじゃねえか?」

「バター犬ならぬバター小僧、、、」

「くっくっく、、、」

俺と長官のHIIT(高強度インターバルトレーニング)を男女の格闘技と勘違いしてるらしい。

今日はもっと激しく長くやってみよう。

しかし、どこの世界も人は噂話が好きよな。

ま、上司の秘事となれば、そりゃ食いつくよね。

てか長官の部屋の下ってなんの部屋なんだっけ?

ちょっと気になったが無視して部屋に戻ることにした。

長官も腹が減っているに違いない。

ところが、いつものように扉をノックしたが返事がない。

ノックはしたのだから戸を開けて着替え中みたいなラッキースケベな展開になっても俺に科はない筈だ。

うん、ない。

意を決して扉を開けたが部屋は無人だった。

いつもより1時間ばかり早いので、船長と打ち合わせでもしてるのかもしれない。

かと言ってひとりでぽつねんと待つのも暇なので下の部屋がなんの部屋なのか確認してみる事にした。

そういえばメインマストの後ろの昇降口を降りた記憶はない。

ステアリングホイールの下なのだから舵を動かす機械のような物がある気はしていたが、確かに気になる。

降りてみるとなんだか天井が低い。

そして降りて直ぐに扉のない部屋が。

覗いてみると想像通りに舵があった。

俺はなんとなく木の歯車を想像していたのだが滑車とロープが通っているだけの簡単な仕組みだった。

ブリッジに据えられたステアリングホイールに巻き付いたロープが左右に伸びて舷側に沿ってこの部屋に入り滑車で方向を変え舵板に伸び左右に動かす仕組みだった。

そういえば長官の部屋の端にもロープが縦に走ってて若干不思議に思っていたのだがここに繋がっていたのか。

感心してしげしげと舵の仕組みを眺めていると、人が入ってきた。

「誰だ? あっ」

「おっと、こりゃ失礼。舵の仕組みを見させてもらってました」

誰かと思ったらパコだった。

手にハンモックを持っているところを見ると、この部屋で寝るつもりなのだろう。

「代り番子で舵の見張りですか?」

「お、おう。そうだ。急な横波で舵が動いてロープが切れたりすることがあるからな。本当だぞ? それに、船員がどこで寝るかは特に決まりはないんだ。本当だからな?」

「ええ、別に疑ってないですよ」

「そ、そうか。それならいいんだ」

やけに言い訳がましいところを見ると、やましい気持ちがあるのだろう。

「そういえばパコさんは新兵訓練を終えてるって言ってましたね。兵士には誰でもなれるのですか?」

「そんなことも知らないのか? 国民は誰でも13歳から18歳までのあいだ、アカデミーの受験資格があるんだ。厳しい試験に合格した者だけが入学を許され、更に難しい卒業試験をパスしないと兵士にはなれないんだ。そのあと更に厳しい3か月間のブートキャンプがあって、それに耐え抜いた者だけが正式な兵士として認められるんだ」

「へえ、そんな試験に合格するなんて、パコさん凄い優秀なんですね」

「そうだぞ、知らなかったのか? 臨時の現地徴用や、金で雇われた傭兵とは格が違うんだ!」

なるほど、ギルド員も元兵士だったし、この国の国家公務員や官僚は全て兵士や元兵士なのかもしれないな。

その辺もいつか長官に聞いてみよう。

俺もそのうち進路で悩むかもしれないしな。

てかパコの奴、あからさまに現地徴用である俺にマウント取ってきやがったな。

まあ良いか、適当におだてておこう。

「時にパコさん、お年は?」

「15だ」

パコはふんぞり返って鼻高々だ。

きっと比較的若く試験に合格したのだろう。

「え、それって凄いのでは?」

「そうだぞ、アカデミーを卒業するのに普通は4年掛かるんだ」

「それをなんと2年で?」

「そうだ、しかも13歳で合格するのも凄く珍しいんだ。みんな何回も試験を受けて合格するのに僕は一発合格だったからな!」

この船ではパコは年下で下っ端だが、いつの日かお偉いさんになるかもしれない。

あんまり尊敬できる性格じゃないが一応コイツには下に出て好かれておこう。

「それは凄い! いつか僕もそのアカデミーとやらに受験させられるかもしれませんからパコさん色々教えてください!」

「まあ、良いだろう。分からないことがあったら、そうだな、任務の邪魔にならない範囲でなら教えてやろう。まあ先輩としての義務ってヤツだな」

「なんて立派な心構えでしょう。いつか人の上に立つであろう方はやはり違いますね」

「うむ、この僕に出会えたことに感謝するのだな」

「誰に出会えたって?」

そこにバルゲリス長官が顔を出した。

「あ、長官。パコさんにですよ」

「何故こんなところに居るのだ?」

パコは直立不動で固まっている。

「今日はパコさんが舵の番をしてくれるのだそうです」

「舵の番なぞ別にせんでも、、、いや大事な役目だ。よろしく頼んだぞ、パコ」

「はっ! お任せください!」

「いくぞ、オミ」

「はい」

長官はかがんで入り口をくぐり出ると、ふと立ち止まって振り返った。

「ここで寝るのは騒音で多少寝苦しくなるかもしれんから先に詫びておこう」

「はっ! 痛み入ります!」

また長官は悪い顔して。

俺たちの様子を盗み聞きに来てることに気付いたのだろう。

「それではパコさん、失礼します」

「ちっ」

無視された。

せっかくヨイショしたのに台無しだぜ。

俺は長官の後に続いた。