軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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「以上が封建法だ」

「なるほどな、確かに給与や報酬の支払いは法で縛る必要性があるよな」

「主人に対する裏切りも法で裁かれるとは知らなかったな。私刑で解決してるんだと思ってたよ」

「実際そういう面もある。ではその流れから、少し傍流になる『自助法』について触れておこう」

皆は首を傾げた。俺も傾げる。なんだっけ?

「これは私刑や仇討ちに関する法だ。これは貴族と平民で違う法が適用されて、、、」

前から思ってたけど王子は人に何かを教えるのが上手だよな。まずは全貌を簡単に説明してから、その後に相手の興味ある部分に触れて好奇心を掻き立てるのだ。

「次に教会法だが、これは我々がイリスの教えに背かぬよう定められている部分はそれほど重要ではない」

「え、どうしてだい?」

「それは後で口承法として触れるが、大事なのは教会の運営や聖職者を縛る部分だ」

「ああ、そうか。さっきの封建法と一緒か」

「そうだ。権力の大きい者を制御することが法の大きな目的なんだ」

リ行もクスカも深く頷いた。

そうだよな。普通に暮らしてると民法ばかりを法と思いがちだよな。

「さて、口承法だ。ところでお主たちの地元では、そうだな、露店の商品を盗んで捕まったらどうなる?」

「軛にはめられて広場で晒されるよ!」

「腐った野菜を投げつけられて罵られるんだ。お祭り騒ぎだよ」

「クスカではどうだ?」

「大体同じだ。木に縛り付けられるよ」

「酔って女に乱暴した奴だったら、木に縛られた状態で頭から糞尿が掛けられるんだぜ!」

皆が笑った。娯楽のない世界のある種のエンターテイメントなんだろうな。

「それが口承法だ。村や町ごとに違うが、代々受け継がれてきたルールやマナーだから文章化されてない」

「そっか。その善悪の判断でイリスの教えが基準になるんだね」

「学舎ではそこばかり教えられたよ。窃盗、強姦、暴力、親への暴言、町を汚すこと。そういうのが法だと思ってた」

王子が皆の顔を見渡した。

「以上これらが大まかに法科で学ぶことだ。個々の条文とか過去の判例とかの詳しいことは授業や教科書の通りに覚えてくれ。おそらく今後の授業で商人の商取引について定めた都市法や、領地の分割譲渡について定めた荘園法なんてのが出てきて驚くかも知れないが、どれも目的を考えれば納得の内容だ」

「いやあ、助かったよ。授業中は意味の分からないことを延々と聞かされて、教科書を見ても何を説いてるのか理解できなかったから」

最初のところでつまづくとそれ以降が頭に全然入らないことってあるよな。

「そういえばさ。こないだ教わった羽ペンの下処理だけど、やってみたんだ」

「右翼で悪いけど、良かったら使ってみてくれ。君も」

立派な白いガチョウの羽ペンを渡された。ロレンツォが用意してくれた七面鳥のペンと比べると見劣りするが、よく平民が使っているカラスや鶏と比べればしっかりと太くて持ちやすそうだ。

「気を使わせて悪いな。ありがたく頂戴するよ。ペン先の処理はもうやってみたか?」

「え、このまま使うんじゃないのか?」

「先をこう抉るように斜めに切り取って、中央には少し切れ目を入れるんだ」

「へー」

「そうすることで何度もインクをつけずに長く書ける」

「ちょっとやってみていいかい?」

リベリオだったかリディオだったかがナイフを出してペン先を切り取り、切れ込みを入れる。そしてペン先を慎重にインクに浸した。

「うわ、本当だ。ずっと長く書ける!」

「凄いな。あと太い所と細い所ができてキレイだ」

「先生みたいな字が書けるな」

「その代わり、ペン先が凄く脆くなるから扱いは慎重にな」

藁半紙に引かれたその線はインクが薄く、しかも紙が悪いせいで滲んでいたけど彼らが喜んでいるならそれで良いよな。