軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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「貴様、ハンモックも吊るさずに地面で寝ておったのか」

「虫にたかられても知らんぞ」

ありゃ。

本当に眠るつもりはなかったんだけど寝てしまっていたか。

魔力切れが完全には治っていないのか、起こされたタイミングが悪かったのか酷く怠い。

地面に座ったままふたりを見上げると勝ち誇ったように束になった鳥の死骸を見せつけられた。

本当に沢山獲ってきたな。

「凄いですね、勝負はどちらが勝ったんです?」

「ワシじゃ!」

「ぐぬ、、、」

「はい、ゲオルグさんの優勝〜」

適当に拍手をしておく。

「負けた方が羽をむしるんじゃ」

「くそう、、、」

俺は立ち上がって伸びをする。

「お主、服の下に虫が入り込んでないか確認したほうがよいぞ」

「そうじゃ、蛇なんかは人の体温に釣られて背中の下に入り込むからの」

「後はムカデじゃな。奴らも狭いところが好きじゃ」

俺は慌ててシャツの裾を引っ張り出して服を揺さぶった。

蛇はまだしもムカデは苦手だ。

アイツら思ったよりも走るのが速くて怖いのだ。

それに噛むのとか毒があるのとかいるんでしょ?

恐ろし過ぎて震え上がる。

虫唾が走るとはこのことだ。

「大丈夫そうじゃの」

「ワシらが方舟から出た最初の頃は虫の知識なぞなかったから色々と酷い目にあってな、、、」

年嵩のゲオルグが怖い話を始めたので脳が耳をシャットダウンさせる。

聞いてしまったが最後、二度と森で寝れなくなる。

知らない方がいい事もあるのだ。

怖い話は要らない。

対処法だけ教えてくれ。

「貴様、喋っておると手が遅いの」

ゲオルグが見てられなくなり鳥の羽をむしるのを手伝い始め、結局ふたりで鳥の下処理を始めた。

俺はというと、焚き火のかまどを作る石を集め薪木を拾った。

ちょうど良い倒木があったのでバキバキと枝を折りとる。

火を焚く場所の落ち葉を除けて石を積めば準備万端である。

「ふむ、気が利くの」

「その石はこっちの斜面に置いてくれんか?」

え、斜面に?

平らな方が周りを囲めて良くない?

「ここじゃな。平らになるように上手く積んでくれ」

「少し足らんな。小さな砂利でも良かったんじゃが」

追加で小石を集めて水平になるように敷く。

アレかな、地面に直で火を焚くとやっぱ環境に良くないとかそういうエコな感じかな?

斜面である理由はやはりよく分からない。

「後はまかせよ」

「ワシが上をやる。下を任せたぞ」

「うむ」

ふたりが手をかざすと斜面に少し見えていた粘土質の土が集まりモリモリと半球体を作り上げた。

上下の二段構造になっている。

二段式の登り窯とでも言うのだろうか。

上は斜面に対して横向きに、下段は真っ直ぐ焚き口が付いていて、上段には煙突も付いている。

「こんなもんじゃな」

「良い出来じゃ」

ふたりは上段内部に鳥肉を丁寧に並べ蓋を閉じ、下段にぎゅうぎゅうに薪木を詰めて火を付けた。

すると暫くして煙突から凄い勢いで炎が噴き出した。

「凄い火力ですね! ずっと魔力を注ぎ込んでるんですか?」

「いやいや、自然の気流の流れじゃ」

「煙突効果を知らんのか?」

煙突って普通こんなに激しい?

ジェット機のようだが?

だってゴーゴー鳴ってるよ?

「肉が焦げません?」

「もうじき火も収まる」

「ちょうどええじゃろ」

なるほどゴーゴーいう音は直ぐに収まり、下段の焚き口を覗くと細い枝はもう燃え尽きて太い枝の熾だけが残っている。

「なにしろ煙くなくてええじゃろ?」

「暑くもないしな」

確かに。

焚き火は煙いし夏場は暑いのだ。

「焼き上がりまでまだ掛かる」

「呑みながら待つとするかの」

そうだ、酒持参なのだった。

倒木を引きずってきて腰をかけてマグに酒を注いでもらう。

「これは蜂蜜酒なんですか?」

「いや、これは砂糖酒じゃ。砂糖水にパンに使うイーストを加えて温かい場所に置いておいて数ヶ月発酵させたものじゃ」

「ワシらの手に入るものだとこれが限界じゃな」

なるほど意外と簡単なんだな。

「イーストではなくワイン酵母を使い、あれこれブースターやら抑制剤やらを使うと無駄なく糖分を使い切って甘くない強い酒が作れるらしいのだが、文献にもあまり詳しいことは載っておらなんだ」

「当時の法に触れる行為だったようじゃ」

あ、密造酒は違法だね。

それは出版できないわ。

「それは残念でしたね。ところで蜂蜜より高価な砂糖を使うのは何か理由が?」

「蜂蜜は病気や怪我の治療、皸なんかの保護に使うでな」

「殺菌効果があるのじゃろ?」

なるほどなるほど。

そうだよね、薬草と蜂蜜しかないもんね。

あとは怪我なら動物みたいに舐めるとか。

「薬草なんかも色々ご存知なんですか?」

「ぼちぼちな。さっきの沢に生えてた丸い葉っぱはチドメグサというくらいだから出血を止める効果があるのじゃろうが、はっきり言って体感ではよく分からん」

「干せば良いのか、発酵させれば良いのかその辺も名前だけでは判断がつかんからの」

そっか、薬草も難しいんだな。

俺が村でヘアオイルに使ったローズマリーもなんか薬草扱いだった気がする。

てか、名前の知れてるメジャーな草は何らかの薬効成分があるパターン多いよね。

先人たちが大事に残したのだろうな。

「そうだ! 以前サナ人のおばあちゃんから色んなスパイスの種をもらったんですが、欲しかったりします?」

「何だと?」

「お主は要らんのか?」

「僕は園芸とかってあまり、、、枯らしてしまう未来しか見えません。それに色々と畑や農家を見てきましたけど、人族はそんな腹の足しにならない物に割くリソースがないのではないかと」

「そういうことなら預かるぞ」

「ワシらの仲間に植物を育てることに命を賭けてる連中がおるでの」

よしよし、エルフがスパイス類を育てて交易に乗せてくれればカレーが作り放題だもんな。

「ほれ、早う出さんか」

「種はリサ様の船に預けてあるので、交易が始まったら酒と一緒に届くように手配しますよ」

「なんじゃ、早くせんとワシらも寿命で死んでしまうぞ?」

「そうじゃ、ワシらは明日にも召されてしまうかも知れんのに」

アホか。

めっちゃピンシャンしてるじゃねえか。

「あ、良い匂いがしてきましたね。そろそろ焼けるんじゃないですか?」

「こやつワシらを無視しおった!」

「なかなか良い度胸をしとる!」

ふたりは手を叩いてきゃっきゃと笑った。