軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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翌朝、起きるとロレンツォが嬉しそうに俺にウサギを見せた。

上手いこと罠に掛かったらしい。

「おお、素晴らしい。どうやって食べるのが美味しいんですか?」

「そうですね、ここで調理するなら素直に直火焼きですね。最低限の調理器具は持ってきてますが、手間を掛けようにも他の食材がありませんから」

なるほど。

楽しみだな。

思ったよりも小さいから腹がふくれる程の肉がとれる感じじゃあないが、味見はしてみたい。

「血抜きは終わってるんで皮を剥いで来ますから火を起こしておいて頂けますか?」

「火はあっという間に点けられるんで皮剥きを教わって良いですか?」

「なるほど。ではちょっと森に戻りましょう。木にぶら下げた方が楽なんです。

俺たちはまだ寝ている王子とアウグストを置いて森へ向かった。

麻紐で各脚を縛り木の枝にぶら下げる。

足先と股に切れ込みを入れて皮を引きおろせばくるりと皮が剥けた。

「意外と簡単なんですね」

「ぶら下げるのが手間といえは手間ですが失敗は少ないですね」

木のない平地だと難しいかもな。

ロレンツォがナイフを地面に突き立てて穴を掘ろうとしたので慌てて止めて代わりに魔術で穴を掘る。

前に寝床を作った要領だ。

「おお、エルフの魔術にはそんな便利なものがあるのですね」

「エルフだって普通に生活してたでしょうからね」

「確かに」

ロレンツォは頷いた。

そして胸から腹を割いて内臓を穴に捨てる。

「内臓は美味くないのですか?」

「腎臓や肝臓は好きな人が多いですけどね」

調味料や他の食材があればってことか。

アウトドアだから仕方ないよな。

寝床の近くに戻ると昨日も寝る前に用意しておいた焚き木に火をつけた。

しっかり燃えて来るとロレンツォは火の中に塩したウサギを放り込んだ。

少し驚いたが、確かに串も打てないし鉄の網も無いのだから仕方ない。

火が消えないように注意しながらウサギをたまに転がしてやる。

こんなやり方で料理できるんだな。

灰だらけにはなるがそんな事は気にしてられない。

文明の下での快適なキャンプではないのだ。

焼いていると寝てた二人も起き出した。

「良い匂いだな。掛かったのか?」

「ええ、割と良いサイズのが」

「もう焼けるか?」

「まだもう少し掛かります」

「うむ」

王子は自分の馬の鞍を下ろしてやり、ブラッシングを始めた。

茶ブチも羨ましそうにしているので俺も鞍を下ろしてやる。

鞍と背の間に挟む毛布もじっとりしていたので乾かしてやる。

茶ブチはハミも外せとアピールしてきたがもう少しで出発だから我慢してくれと語りかけると不満ながらも納得してくれたようだ。

偉いぞ、茶ブチ。

他の馬の鞍も下ろして毛布を乾かしてやる。

盗賊の馬もそうしてやる。

誰も乗らないのだから鞍など捨ててしまってもいいのだが、何しろ鞍は高級品なのでそのままにしている。

ちなみに荷物はこいつらに運ばせている。

人を乗せてないのだから良いだろう。

アウグストが王子からブラシを受け取り他の馬を順番にブラシ掛けをしてくれた。

そうこうしているとウサギが焼けたようでロレンツォに呼ばれた。

それぞれ堅パンとナッツを取り出す。

「あ、ちょっと早かったですね。申し訳ありません」

皮目は焦げて見えるが奥まで火が入っていなかったようでロレンツォが謝った。

「なら僕が中まで火を入れてしまいましょう」

またもや精霊任せで焼き足すと、プツプツと脂が滴った。

ウサギは脂肪が少ないと聞いていたけど全くない訳ではないのだな。

早く食いたい。

焼けたウサギをまな板代わりの切り株に乗せて各部をバラしていく。

ロレンツォは関節の位置を完璧に把握しているようで非常に手早い。

尊敬できる。

カッコいい。

「脚肉は育ち盛りのふたりでどうぞ」

渡された熱々の肉にかぶりつく。

美味い。

肉の色は白く鶏肉と似ている。

多少のパサつきはあるが、何しろ焼き立てで香ばしい。

灰まみれで多少歯にジャリ付くのすらスパイスに感じる。

きっとこういうのが旅の醍醐味なのだろうな。

ロレンツォとアウグストは背中を分け合い、肩肉にしゃぶり付いていた。

そっちも美味そうだな。

肉量が多いのは圧倒的にモモ肉。

久しぶりにしっかり肉を食って満足だ。

馬の準備をしながら代わり番子に森にお花摘みに行って、さあ出発だ。

この二日水浴びをしていないので流石の王子も見た目がヨレて来ている。

俺なぞ酷いものだろう。

今から向かう村には宿がないって話だったけど、井戸か小川があるといいな。

俺ひとりなら魔術で水をジャブジャブ出せるから水浴びができるんだが、他三名に「水を掛けてあげます」と申し出るのも何か微妙だしな。

風呂に入れないという体験もしておいて良いのかもしれない。

何しろ今から軍隊のアカデミーに入るのだ。

色々と過酷な演習をやらされるのだろうから少しでも慣れていた方がいい。

さて、切り株地帯を抜けるとまた麦畑に突入した。

この辺りはきっとまだ新しい畑なのだと思うが麦はモリモリに育っている。

今まで見てきた畑よりも太く逞しく育っているように見受けられる。

そういうものなのだろうか。

品種や気候の違いだろうか。

聞いてみたけど誰も分からなかった。

ついでに俺は気になっていた事を王子に聞いてみることにした。

「そういえば、ウルズラ様のことなんですけど」

「母君がどうした?」

「あの、製麺機に関わるあれこれをウルズラ様に任せてらっしゃいましたが、何か軍とか麦とかお得意なんですか?」

メモするくらい気になっていたのだが、ここ暫くアカデミーへの進学準備でバタ付いていたので中々タイミングが合わず聞けなかったのだ。

「ああ、その事か。母君はリンゼンデンから嫁いで来たことは前に言ったか?」

「いえ」

「リンゼンデンはかつてはアーメリアの食糧庫と呼ばれ、国軍を支える重要な国だった。すなわち軍政機関の長は代々リンゼンデンから輩出されていた」

軍政機関?

初めて聞く言葉だな。