軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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パスタマシーンを思い出したその日の晩、領主の晩餐会に招かれていた。

晩餐会だと大袈裟かも。

壮行会?

王子がアカデミーに向かうので暫しの別れを惜しむとか、新しい環境で頑張れよ的な家族の集まりだ。

正直、そんなの家族水入らずで別れを惜しめば良いじゃないかと思う。

しかし王子の世話役というか相談役というか、独りぼっちになって寂しくならないように、みたいな要員である俺も励ましてくれるというありがたい席なので断れなかった。

何でそんなに嫌々なのかって?

だって、ウルズラ様も同席なのだから気まずいじゃないか。

大事な大事な末の息子にウルズラ様は種馬みたいな行為はさせまいとしていたのに俺が裏から手引きしてドワーフハーレムに、不可抗力とはいえ、送り込んでしまったのだから相当恨まれているだろう。

しかも、最初にお会いした時に「役に立つ異世界の技術は無いか」と問われた時に「無い」と答えたのに、これまた裏でこっそりドワーフに発明品を持ちかけたりした、という件も怒っていると耳にした。

完全に嫌われてますやん。

そら気まずくもなるわ。

しかもしかも、アレッシア姫の社交界デビューでも、来賓と一緒に踊った方が外交的には正解なのに俺が先に踊ってしまったせいでヴィート氏に恥をかかせたという件も怒っていると噂で聞いた。

アレッシアちゃん、俺は悪く無いって言ってくれなかったんだな。

まあいいよ。

不都合な事はよそ者におっ被せればいいさ。

でもせめて、こうした説教を喰らいそうな場に呼ばないで欲しい。

あんな高圧的な人に怒られるのが平気なほど俺はタフではないのだ。

どっちかって言うと繊細でか弱い心の持ち主なのだ。

ああ、胃が痛い。

王との飯に相応しいようにと服装は先日いただいた軍服だ。

徽章は新しいものに変えられた。

今までは伍長だったが、準男爵の爵位を頂いたので一階級上がって軍曹になったのだ。

ちょっと待って欲しい。

軍曹というとハリウッド映画では新兵訓練で主人公たちを虐めるハゲ頭のイメージだ。

もしくはケロロ軍曹。

どちらにせよ十三歳の子供が務める階級ではない。

あのナポレオンが伍長として戦争に参加したのは二十四歳だったと言うし、本当に大丈夫なのだろうか。

そもそも初陣もまだなのだ。

どうかしてると思う。

俺は家族用の食堂に向かいながら王子にボヤいた。

「こんな子供に軍曹なんておかしいですって」

「そうか? では何なら良いのだ」

「まだ初陣もしてないのに階級を持つのって変じゃないですか。みんな初陣は十九とかって言うじゃないですか」

「ふむ、では演習の時の階級分けはどうするのだ」

「、、、それは仮の階級でいいんじゃないですかね」

「お主は少々勘違いしておるな。お前の階級はポリオリ内部でのみの階級だ。国軍に配属されたならおそらくオミの場合は魔術兵ということで厚遇されたとしても上級兵からスタートという事になると思うぞ」

「あ、そうだったんですね。普通に扱われたら二等兵ってことですか。王子はどこからスタートになるんです?」

「我も初陣であれば伍長からだろうな」

「ちなみにポリオリでは今はどの階級なんです?」

「肩章を見ろ、、、ああ、オミは分からんのか。これは中尉の徽章だ。こないだの落ち葉はらいの時の小隊は分かるな? あれくらいの規模の人員を率いることができる」

しまった。

その辺の軍隊の常識も教わっておけば良かった。

全くもう、次から次へと知っておけば良かった常識が出てくるな。

「その辺も教えてもらえば良かったですね」

「いや、アカデミーでそうした授業があるはずだから、そこは大丈夫だろう」

なるほどそうか。

座学もあるのか。

当たり前だよな。

むしろ座学がメインかもしれないな。

「そんなことよりオミ。今度こそ新しい発明品を母君に相談しておくべきではないか?」

はっ!

そうだ!

それだ!!

「何でもっと早く言ってくれなかったんですか!」

「いや、すぐ言ったではないか」

「だって図面も描いてないし、、、」

「食事の前に、それについて相談があるとだけ言っておけば良いではないか」

「なるほど。それもそうですね」

「よし。それでは我から言うから任せておけ」

「お願いします」

うおお。

王子は頼りになるぜ。

家族用の食堂に足を踏み入れる。

驚いた事に食堂なのに前室があった。

ソファが並び、壁には誰かの肖像画が架けられている。

奥には暖炉が設えてあるが火は入っていない。

食事の前に軽い談笑をして食前酒を嗜む場のようだ。

第一王子も第二王子もソファに深く腰をかけて葉巻を楽しんでいる。

夫人はアレッシア姫と向かい合って座っていた。

「遅くなりまして申し訳ありません」

「うむ、父君もまだだ。林檎酒でいいか?」

「はい。いただきます」

アルベルト王子にお酌してもらって恐縮してしまう。

皆と軽くグラスを掲げて林檎酒とやらを口に含めば微炭酸で甘く、とても美味しい。

こいつら毎日こんな優雅に飯食っていやがったのか。

流石は王族だな。

クラウディオ王子がソファで浅めに座り直しウルズラ様に向かって口を開いた。

「母君に相談がありまして、後ほどお時間をいただけないかと」

「おや、最近は毎夜ドワーフのところへ通っていると聞いてますよ? 私に用なんて珍しい」

「ポリオリの未来にとってドワーフも大事ですが、母君に取って替わる筈もございません」

え、王子ドワーフのとこ毎日行ってたの?

マジでズルくね?

「この場では言えないような事なのかしら?」

「問題ございません。実はオミが発明品を思いつきまして」

「肉を細かく刻む機械でしたっけ? そんなものが売れるとは甚だ疑問ですけれど」

「それとは別に、また新たに」

「どうせまた庶民向けのくだらないものでしょう?」

「まあ、庶民向けの物ではありますね。しかし売り方によっては軍から感謝状が届くかと。もしくは王都から」

夫人の目の奥が光る。

「発明品の商品化は既にドワーフに任せてあります。しかし我らはあと数日で王都へ発ってしまいますので、その取引先や売り方について母君にお任せしたいのです」

「あら、アダルベルトではなくて?」

「はい。これは姉君が進めてしまったアーメリア軍の米食をまた麦に押し返せる発明かも知れません。ですのでバルベリーニと連携しても良いのではと」

夫人は林檎酒をひとくち飲んだ。

「仕方ありませんね。では後ほど私の部屋で」

「ありがとうございます」

何ナニなに?

軍とかってどういうこと?

確かに長官が軍の作戦時の食事を米にしたとは聞いていたけど。