軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

112

クスカの争いののち、アーメリア中の全てのドームが内戦状態になった。

それが戦乱の世の第一フェーズ。

ドームを捨てた者たちが新たに国を立ち上げ農地を耕し平穏に暮らそうとしたが、もちろんそこになだれ込もうとする難民との争いになった。

これが第二フェーズ。

ドームを平和的に運用した国の人口が爆増してドーム内の住人と外の住人に身分差が生まれ、揉め出した。

これが第三フェーズ。

ドームの外が拡大し、近接する他のドームとの領地の取り合いの争いが起こるようなった。

これが第四フェーズ。

そしてイリス教が急拡大し各ドームに進出し教会を興した。その教会群が各国を繋ぎ、マシュトマを王都としてアーメリア国を建国して現在に至る。

これだけのフェーズをたった200年ほどで織りなしたらしい。

さすが人族。

増える速度が異常だし争いが好きだ。

貴族の教養としての歴史はここまでが前座。

やはり重要なのはアーメリア建国後の小競り合いの方らしい。

アーメリアが建国してから76年。

その間も小国どうしの小競り合いは絶えず領地は拡大し続けている。

アーメリアはひとつの国だとしつつも各地域が国を名乗り、王だ王子だなんだと言っているのだから、例えるならばアメリカみたいな連邦政府と各州みたいな関係なのだな。

それもあってアーメリア軍と各国の国軍とは仲が悪いみたいだし。

実際、転生者の入れ知恵で各国を州と呼ぶようにする法が発令されたらしいが各国がそれを拒否。

国と名乗り続けて現在に至るらしい。

村では国と言えばアーメリアか唯一の存在みたいな感じで教わったけど、ギルドは完全にアーメリア国の下部組織だからそっちに寄った意見だった訳だ。

と、ここまで学ぶのに全十二回の授業が必要だった。

どの戦も正確な年号や日付が分からないので大まかにフェーズで捉えるしかなかった。

正しくは前後したり混在したりするのかも。

そしてこの授業が面白いと城で噂になり、手の空いている兵士たちが傍聴し始め、昨日などは文書館に入りきらず立ち見が大勢いたほどだ。

さて、個人的に気になるのはドームのその後だった。

沈んでいないドームが幾つかあると長官が話していた気がする。

その件についてはルカ氏が詳しかった。

地に飲まれなかった、機能を残したドームはどうなったか?

人類はドームの外で農業をする知見を獲得し、限られた農地しか持たないドームを捨てた。

エルフの行う微妙な操作がないと、外で農業を行なった方が収量が高かったのだそうだ。

そうしてドームは寂れていき、僅かに伝えられていた使い方も分からなくなった。

世界樹のもたらす明かりはだんだんと暗くなり、汲み上げる水は少なくなり、ドームに住む人も少なくなった。

少ない人間で住むにはドームは広すぎて不便だったという。

現在は王都以外の全てのドームは廃墟となっているらしい。

廃墟となったドームは、地に飲まれダンジョンと化した他のドームと同様に魔獣の住処となり、余計に人が立ち寄らなくなった。

ドームの廃墟やダンジョンに群がるのは一攫千金に賭ける食い詰めた冒険者だけとなったのだそうな。

興味深い。

だって、何で王都だけが機能し続けて繁栄してるのさ。

トイレ事情が酷いという事で全く王都に興味がなかった俺だが、ちょっと王都が気になってきた。

きっと何か秘密があるのだろうし、その秘密を探れば廃墟と化した古いドームを復活させることも出来るのではないか。

王都の王がそうしないのにも何か理由があるのだろうし長官はそこに片足を突っ込んでいるに違いない。

長官が色々と横槍を入れられるのって魔眼持ちで若くて美人で金持ちだからとかじゃなくてそっちが原因なんじゃないのかと訝しみたくもなる。

となると、ここポリオリがアーメリア内で発言権の強い国であることって長官の命を守る意味においてとても重要だよな。

その辺は長官はちゃんと理解してるのかしら?

ああ、長官と話がしたい。

すぐ隣の都市に居るってのにまたあの道のりを歩く気はしない。

夏になれば馬車で通れる楽な道があるらしいけど、それまでには何かしらの連絡が来そうなもんだし待つしかないのが辛いところよね。

手紙?

この世界に郵便局があると思うか?

紙代と、それを運ぶ人の人件費を四週間ぶん払えば可能だろうけど。

ちなみに王子と婚約者との手紙はそういうコストを掛けて行われている。

恋愛ではなくて 政(まつりごと) なのだ。

ちなみにポリオリにはアーメリア軍は駐留していない。

ギルドもない。

あれば定期連絡みたいのがあったのかも知れないけど、それらがないって事がポリオリの独立性を担保しているのだとも思う。

交渉力があり、領主一族が王都に信用されてるって事だもんな。

やれることをやって気長に待とう。

ここでの日々も何気に忙しいしな。