軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

95話 取引

「お待たせしました。興味があると言う人たちを連れてきました」

マルカが連れてきた10人は、全員が女性プレイヤーだった。マルカ曰く、うちの子たちのファンらしい。

俺の横で棒倒しをして遊んでいる従魔たちを、キラキラした目で見ているな。

「で、お話って何ですか?」

「え? マルカから聞いてないんですか?」

「いやー、みんな集まってから説明した方が手っ取り早いじゃないですか? とりあえず、白銀さんから頼みがあるって伝えて来てもらったんですよ」

「それでよく集まってくれたな」

「だって白銀さんがいるなら、オルトちゃんがいるってことでしょう?」

「クママちゃんを間近で見るチャンスを逃すわけないじゃないですか」

「リックたん、やっぱ可愛い。モフモフしたい」

「サクラちゃんみたいな妹が欲しいぃ~」

ということでした。そんな彼女たちに、例のクマに襲われた時の動画も見せつつ、マルカが事の経緯を説明していく。

巨熊を倒すために、何度か死に戻り覚悟で戦闘に挑まないといけないこと、その協力者を探しているということ。

ただ、反応は芳しいものではなかった。仕方ないと言うか、当たり前だと思うけどね。ほぼ死に戻りが確定しているわけだし、熊の動画はかなり恐怖心を煽ったみたいだ。

それに、自分だけならともかく、パーティメンバーを説得するとなると厳しいという意見もあった。

まあ、ここからが俺の仕事だろう。

「あの、ぜひ皆さんに協力をお願いできないだろうか? ほら、皆もお願いしろ」

「ムム」

「クマ」

「キュ」

「――」

俺と横一列に並んだオルトたちが、一斉にピョコンと頭を下げる。その姿を見た女性プレイヤーから黄色い悲鳴が上がった。

自分でやっててなんだが、卑怯な手だね。可愛いモンスたちに頼まれたら、そりゃあ断り辛いだろう。実際、プレイヤーたちの顔には苦悩の表情が浮かんでいる。

俺だって、リアルでファンのアイドルとかに可愛い顔で「お願い」とか言われたら、何だってしちゃうだろうしね。ただ、やるとなるとちょっと罪悪感があった。思ったよりも大変な役を引き受けてしまったかもしれない。

しかも、マルカがさらにプレイヤーたちを煽るようなことを言うのだ。

「白銀さんも、当然協力してくれると言っています」

まあ、役に立てるか分からないけどね。そんな中で、1人の女性プレイヤーが声を上げる。

「あの、私は協力してもいいですよ? ソロですから」

「ありがとうございますアメリアさん!」

その女性は俺も気になっていた。彼女はテイマーだったのだ。連れているのは、ハートラビットという未見のモンスと、ハニービー、リトルベア、漆黒リス、ウォードッグという、獣系に偏ったモンスたちだ。

「初めまして白銀さん。ビーストテイマーのアメリアです。モフモフも好きだけど、オルトちゃんも大好きです!」

「は、はあ」

「やっぱりオルトちゃん可愛い! それにリックちゃんもクママちゃんもサクラちゃんも最高! こんなかわいい子ばかり集めるなんて、凄いですね! 羨ましいです!」

自分よりも確実に格上のプレイヤーにこうまで持ち上げられると、なんか調子が狂うな。本人が2次職なうえ、モンスも進化している個体がいるし。

「ただ、白銀さんに一つお願いがあるんですけど……」

なるほど、交換条件ということか。何だろう? お金か? いや、フレンド登録かもな。俺とフレンドになればオルトたちと触れ合えるわけだし。でも、ここにいる人たち全員とフレンド登録とか、ちょっと勘弁したい。だってこれ、フレンド登録したことを知られたら、今後も交換条件でフレンド登録を強要されるかもしれないからね。

だが、アメリアが出した交換条件は、俺の予想の斜め上をいくものだった。

「1枚。1枚でいいので、オルトちゃんのスクショを撮らせてください!」

「え? スクショ?」

「はい。そこのお花畑で可愛いポーズしてもらって。1枚だけでいいですから!」

その発言を聞いた途端、他の女性プレイヤーたちの雰囲気がガラリと変わった。何やら熱い目でうちの子たちを凝視している。

「す、好きなポーズでスクショ……?」

「クママたんの可愛いポーズ」

「ゴクリ」

そして、全員の視線が俺に向いた。怖い怖い! すんごい圧なんですけど! というか、マルカも一緒になって俺を見るな!

でも、スクショ? そんなことで良いのか? いや、それで協力してくれるなら安い物なんだが。

「分かった。1枚だけならいいぞ。他の人も、もし協力してくれるなら、うちのモンスの中で好きな子を選んで1枚スクショを撮ってもらって構わない」

本当にそんなことで良いのかと思ったが、女性プレイヤーたちの反応は劇的だった。

「おっしゃー!」

「やったらー!」

「絶対仲間を説得してきます!」

「説得に応じなかったら……うふふふふ」

「このサーバーで本当に良かった!」

まあ、この分なら少しは協力者が集まりそうかな?

「やった! じゃあ、約束ね! 作戦が決まったらまた連絡ちょうだい!」

「分かった。そのときは頼む」

「ああ! 最高の1枚を撮らなきゃ! そのためにも、最高の構図とシチュエーションを考えないと!」

アメリアはもう自分の世界に入ってしまったな。この分なら、約束を反故にされる心配はないだろう。

そう思っていたら、マルカが真剣な顔で俺に詰め寄ってきた。ど、どうしたんだ?

「当然、私もスクショを撮る権利がありますよね? ね?」

「あ、ああ。そうね。いいんじゃない?」

「ですよね! ぐふふふ。クママちゃんのスクショ……」

とりあえず、明日の昼前にまたギルド前に集まると約束して、今日のところは解散することになった。俺ができるのはここまでだしね。あとはジークフリードやコクテンに任せるさ。