軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

907話 クラーケン料理お渡し会

臨時クラーケン料理屋台は、大盛況だった。というか、ほとんどのプレイヤーが並んだんじゃないか?

皆で手分けして配ったからあまり時間はかからなかったけど、メッチャ忙しかった。

というか、ただの醤油炒めなんだけど、食べたプレイヤーたちのテンションが異常に高かったな。そんな美味しかった?

「これが、白銀さんの料理!」

「伝説級のアイテムだぞ!」

「て、転売したらいくらになるか……ゴクリ」

大騒ぎなので何を言っているか分からんが、やる気が高まるのはいいことだよね。

ただ、問題がないわけじゃない。モンスのファンと思しき人々が、どうせなら好きなモンスから料理を手渡されたいとわがまま言いやがったのだ。

早耳猫の人たちが配る列は明らかに短く、モンスたちの前の列がメチャクチャ長い。モンスのファンって、こんな多かったんだな。俺なら、早耳猫の美人さんから「ボス戦、がんばってください!」という励ましのお言葉とともに貰う方が絶対にいいのに。

うちの子が大人気で嬉しいんだけど、クラーケン戦を頑張ってる人がいる中でこれはいいのか?

「……好きにさせましょう」

「いいんすか?」

「士気にかかわるから」

早耳猫の人たちがモンスに料理を渡し、それをプレイヤーに渡すという、無駄満載のお渡し会が始まってしまった。アリッサさんがOK出すなら、俺は文句ないですけど。

「クマー」

「クママちゃんのエプロン姿かわいい! あのお腹にうずもれたい!」

「黄色い前掛け、最高!」

「手ぇ振ってくれたわ! きゃー!」

クママに手渡されて嬉しいのは分かるけど、さっさと食べてフィルマたちの援護に行ってな?

スクショ許可したけど、禁止にしておいた方が良かったか?

「キキュ!」

「お皿持ち上げてプルプルしてるリック君! きゃわわ!」

「こぼしそうでこぼさない! そこがプロのお仕事!」

「あの尻尾で顔をフリフリされたい!」

リックファンは早く皿受け取ってあげて! バランスギリギリだからね! というか、頭上に持ち上げなくても運べるだろ!

リックめ、褒められるためにあえてやっとるな? とっとと普通に渡しとけ!

「フムー!」

「す、水精ちゃん! 応援してます! 頑張ってください!」

「ウンディーネちゃん……。くっ、鎮まれ俺の左手!」

「は、はわわわ! 近距離水精ちゃんの威力ヤバいぃぃ!」

アイドルの握手会か! あと、おさわり禁止です! まあ、ハラスメントブロックがあるから接触はできんけどさ。

はーい。お時間でーす。次の方どうぞー。

「ペペーン」

「ペンギン君がちょこちょこ歩いてるの、ヤバす!」

「あーん! このクラーケン料理が食べたいのぉ? どうしよっかなー?」

「上目遣いぃぃぃ! ダメ! この顔されてあげないとか無理!」

自分で食べろ! ペルカも物欲しそうな顔しちゃダメ!

あ! ペルカのツバが料理に垂れた! き、気付いてないからそのまま渡しちゃっていいか? クラーケン料理は貴重だし。ファンだって言うなら、問題ないだろ。ご、ご褒美に違いない。きっと。

「ニュー!」

「ああ! このプルプルに埋もれたい。窒息するくらいに埋もれたい」

「黒蜜水饅頭……素敵」

「あのモチモチの体に包まれて永眠できたら最高……」

体を平たく変形させてお盆を載せるメルムは、なんか近未来の配膳ロボット感あるな。あと、それを見てるメルムファン、なんか圧が強くてちょっと怖い。

早めにクラーケン戦の援護に行ってくださいねー。

「ヤヤー!」

「小っちゃい妖精ちゃんが頑張って働く姿、尊い!」

「うちのフィギュアもこんな風に……」

「頑張って! もう少しよ!」

ファウの列も長いね。全体的に見守る感じの人が多い印象だ。ほっこりするのはいいけど、ずっと見守り続けてちゃダメだからな?

それにファウはそこそこレベル上がって腕力も上昇してるから、料理くらい簡単に持ち上げるからね?

「デビ!」

「ははー! ありがとうございます」

「ああ、悪魔ちゃんの塩対応、いい……」

「あの槍で突かれたい」

リリスのレーン、なんか雰囲気変じゃない? リリスがスンゴイふんぞり返ってて、プレイヤーたちが「ははー」って感じでひれ伏しているのだ。女王様から料理を下賜される下民たちって感じ?

ほ、ほどほどにね? 趣味やロールプレイに文句は言わんけどさ。

「グゲー」

「やべー! 俺今、河童さんから料理貰ってるよ!」

「子供の頃からの夢がかなう」

「俺、セカンドジョブは絶対に陰陽師にするんだ!」

河童のところには妖怪好きたちが並んでいるらしい。鳥山石燕がどうとか、西と東の河童の違いがどうとか、妖怪関連の話が飛び交っているのだ。

お盆に河童のぬるぬるが付いちゃってるけど、いいの? ああ、それもご褒美? 本人たちが満足げだからいいか……。

「とりあえず、作ったクラーケン料理は配り終えましたね」

「ええ。あとは料理をちびちび食べたり、モンスちゃんたちを見続けてて働かないプレイヤーたちを海に叩き込めばオッケーよ」

それは頑張ってください。俺はクラーケン戦の加勢に行くので。