軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

866話 光属性

発見した街には簡単に入ることができた。門番さんはこっちをチラ見しただけで素通りだったのだ。一応「ライチョウ草原の町へようこそ」と言われたので、町の名前は分かる。

雷が降る草原の町だからライチョウ。覚えやすいね。

町はさほど発展していないが、非常に俺向きであった。町中には工房や畑が点在しており、生産職のNPCがたくさんいたのだ。

八百屋では雲野菜が売られているが、その中には未知の作物も混じっていた。

「新たな雲野菜、雲苺と雲西瓜ね」

葉っぱまで真っ白な苺と、白と灰色の縞模様の西瓜だ。パッと見で美味しそうとはならないが、甘い匂いがしている。

「この辺は普通の野菜か。空の上でも育つんだな」

「キキュ!」

「はいはい。分かってるよ。豆は買っておくよ。でもこのソイ豆、なんか光ってないか?」

雲野菜の横に並んでいるのは、ソイ豆、紺レタス、キャベ菜、赤ブロッコリー、青ニンジン、ホレン草など、地上でもよく見る普通の野菜たちだ。

そんな普通の野菜の中に、明らかに光っているものがあった。

ソイ豆とキャベ菜、ホレン草である。形状や色は地上のものと同じなんだが、微かに白っぽい光を放っている。

鑑定してみると、その理由が分かった。なんと、これらの3種は光属性を持っていたのである。

名称:ホレン草・光

レア度:1 品質:★8

効果:光属性を秘めたホレン草。素材・食用可能。

光属性があるという点以外は、ごく普通のホレン草である。まあ、光属性があるっていうだけでヤバいけど。

ソイ豆、キャベ菜の説明も全く同じだった。これ、どういうことなんだろう? 浮遊島は光属性の素材が多いし、ここで育てたら光属性になるとか?

「でも、普通のままの野菜もあるんだよな」

「キキュ」

青ニンジンを鑑定すると、地上の物と寸分たがわない。

「ギルドで話聞いてみようかな」

農耕ギルドへ向かうと、受付のおっちゃんから情報を手に入れることができた。なんと、普通の野菜は属性の強い場所で育てると変異する場合があるという。

青ニンジンなどの色野菜は普通の野菜とは違うものとされているらしい。確かに、ここの農耕ギルドで販売している青ニンジン、黒ジャガ、紺レタス、赤ブロッコリー、橙カボチャは、光属性が付いていない。

そして、ホレン草、ソイ豆、キャベ菜の、名前に色が付いていない野菜たちは光属性を帯びていた。

「常に光の魔力が濃い場所で育ててるからな! 勝手に光属性になっちまうんだよ!」

「空の上だからってことですか?」

「うん? ちがうちがう。勿論、地上よりも光の力は強いが、問題は結晶だ!」

おっちゃんの説明によると、この大陸が浮かんでいるのは浮遊結晶という特殊な鉱物のお陰らしい。名前の通り、宙に浮く性質を持った特殊な魔鉱石だ。

その結晶が大地の下に大量に埋まっており、その結晶がこの大陸を持ち上げる一因となっていた。

そして、その結晶の属性が光なのだそうだ。この草原の下は特に結晶の埋蔵量が多いせいで、育てる野菜が勝手に光属性を浴び続けることになってしまうんだろう。

「浮遊結晶って、どっかで手に入れることできます?」

「そりゃあ、浮遊結晶を掘ってる坑道だな。運が良ければ地上に出てるのを拾える場合もあるけどな!」

「掘ってる場所があるんですね?」

「浮遊結晶で作った鎧は飛行を補助してくれるからな。バーディアンには必須さ」

「なるほど。でも、大事な浮遊結晶を掘っちゃって大丈夫なんですか?」

この大陸を浮かばせているなら、採掘し続けていたらいずれ大陸が落ちてしまうのでは? そう思ったのだが、その心配はないらしい。

「そりゃあ大丈夫だ! 勝手に増えるからな!」

なんでも、この浮遊島の地下部分には浮遊結晶を生む魔獣の巣があり、採掘した場所の結晶もいずれ復活してしまうんだそうだ。

色々と情報を仕入れたんだが、俺はあることが気になっていた。

「ソイ豆とかホレン草って、光属性以外も吸収するのか?」

つまり、ソイ豆・火とか、ホレン草・水みたいなものが作れる可能性がある。

「まあ、味が変わるわけじゃないっぽいけど」

「キキュ!」

ソイ豆・光をボリボリと食ってみたんだが、普通のソイ豆と違いが判らん。リックは頬袋をパンパンにしているけど、これはいつものことだからねぇ。

でも、料理に属性耐性が付いたりするみたいだから、色々試してみようと思う。

というか、こっちでも畑が購入できるので、買ってしまおうかな? うん、買っちゃおう。その方が早い。

その後、ギルドで畑を購入して、耕して、種植えて、結構な時間かけて新しい畑を整備した。色々な野菜を植えて、実験したいからね!

「ふぅ。もう夕方近いけど、その甲斐あっていい畑になったんじゃないか?」

「ムム!」

「ヒバリ草原の村の畑でも実験したいし、一度あっちに戻るかね」

「キュー」

飽きてしまったらしいリックは、俺の頭の上で大の字だ。尻尾が視界を遮ってめっちゃ邪魔。

「ちょっとリック――うん?」

なんかチリッとしたな。ノイズみたいな音が聞こえた。察知系スキルが反応した結果だ。どうやら妖怪察知が反応したらしい。

「え? 浮遊島にも妖怪いるの?」

いや、考えてみれば当たり前か。新マップなわけだし。

「もしかして、メッチャ強い妖怪が? さ、さがそう! どっちだ?」

「ポン!」