軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

86話 イベント内初戦闘

「さて、畑仕事も一段落したな」

まだお昼過ぎだし、夕食まで時間がある。どうしようかな。

「村の側だったら、そこまで危険じゃないと思うし」

一歩も外に出られないほどの凶悪な設定ではないはずなのだ。そもそも、戦闘に自信があるプレイヤーは武闘大会に参加してしまっている者が多い。

こちらのイベントには生産職や、まったり組が多いはずなのだ。そんなプレイヤーに対して、外出したら即死というレベルのモンスターをぶつけるような真似はしないだろう。それが俺の予想だ。

まあ、俺はそんなまったり系プレイヤーの中でも特に貧弱だから、気を付けなきゃいけないことに変わりはないんだが。

俺はオルトたちを連れて村の入り口に向かった。村を囲む木の壁に唯一存在する門だ。門と言っても、出入りに制限があったりするわけではなく、普通に通り抜けることができた。

村の周囲は森に囲まれているので、遠くを見渡すことはできない。山に囲まれているのは分かるんだけどね。

「森に生えてる樹木は第1エリアと変わらないな」

ただ、採取ポイントの数が少ないのだろうか? 10分ほど歩いてみても、薬草などが採取できなかった。リックもほとんど採集に出ていかない。

さらに5分後。

ようやく現れたのは2匹のラビットだった。

「みんな、やるぞ!」

「ム!」

「キュー!」

「クマッ!」

「――!」

おお、みんなやる気だ。この戦闘で、イベント期間中ずっと村に引きこもるかどうかが決まる。重要な戦闘だぞ?

とか思ってたんだけど……。相手が弱すぎたね。ラビット自体のレベルも低めだった様で、俺のアクアボールと、クママの爪によって瞬殺であった。

俺たちもフィールドボスに勝てるくらいには強くなってるし、さすがにこの程度の敵には苦戦しなくなっているようだ。

どうしてもゲームを始めた頃の雑魚気分が抜けないんだよね。

「もう何回かこの辺りで戦ってみよう」

「ムム!」

あまり村から離れないように、フィールドを歩いてみる。村の近辺ではラビットしか出現しないようだ。しかも、3匹以上は現れない。やはりそこまで難易度は高くないようだ。

「全然歯ごたえが無いな」

「クマー」

「キュー」

どちらかと言えば好戦的な性格のリックとクママが、どこか残念そうだ。実入りも悪いし、もう少し強い敵と戦ってみるか……。でも急に強くなったら怖いしな……。

「よし! 多数決を採ります! このまま村の周辺でラビット狩りを続けた方が良いと思う人!」

「――♪」

手を挙げたのはサクラだけか。

「じゃあ、もう少しだけ村から離れて、強い敵と戦う方が良いと思う人!」

「ム!」

「クマ!」

「キュ!」

オルトたちはもっと強い奴と戦いたい派か。

「じゃあ、もうちょっと奥まで行くか」

やばそうだったら逃げればいいんだ。

ということで、村から少し離れてみた。村の周辺には杉の木が多かったんだが、この辺りからは杉が減り始め、多様な雑木が姿を見せ始めている。

「お、薬草だ」

「キュー!」

リックも早速青どんぐりを採集してきた。この辺は採取ポイントがそれなりにありそうだな。やはり村周辺は初心者向けだったんだろう。

そして、お待ちかねのエネミーモンスターだ。

「ラビット2匹に、リトルベア1匹。あとはプチ・デビルが1匹か」

プチ・デビルは初見の敵だった。悪魔系の敵か? 今まで調べた第2エリアの敵にも含まれてはいなかった。イベント用の敵か? それとも第3エリアの敵だろうか?

その外見は、にやけ顔の描かれた黒いバスケットボール大の球体から、蝙蝠の羽が生えているような、気持ち悪い姿だ。

「オルトはリトルベアを抑えてくれ。他の皆はプチ・デビルに集中攻撃だ」

悪魔系っていうのは、どんなゲームでも状態異常やデバフでこっちを弱体化させてくるのが常套手段だ。

俺は単純にステータスが強いだけの敵よりも、そういった搦め手の敵の方が嫌いだった。だって面倒じゃん? なので、変なことをされる前に速攻撃破だ。

「アクアボール!」

よし、直撃だ! そこにサクラとリックの追い討ちが決まった。最後は怯んで動けなくなっていたプチ・デビルをクママが始末する。

その後俺たちはリトルベア、ラビット2匹を順に撃破していった。多少のダメージは負うが、戦えている。この辺なら十分活動できそうだった。

初見のプチ・デビルだったが、HPは大したことないようだ。ただ、気になったのがアクアボールによる与ダメージだな。リックやクママの物理攻撃よりも、明らかにアクアボールのダメージが少なかった。どうやら魔法防御力が高い敵らしい。

「プチ・デビルは物理の方が良さそうだ。みんな、相手は頼むぞ」

「キュ!」

「クマ!」

「――!」

3人が同時にサムズアップして見せる。

リックは小さなお手手がプルプルしてるし、クママは親指代わりに生やしている爪がワイルドだ。普段どちらかと言えばおしとやかなサクラがこういうポーズをするとギャップがある。うん、三者三様の可愛さがあるな。

「もう何戦かして村に戻ろう。プチ・デビルのドロップの情報がもう少し欲しいし」

リトルベアからは毛皮、ラビットからは肉をドロップしたんだが、プチ・デビルは何もドロップしなかったのだ。

LJOは基本的に敵を倒せばドロップがある。全くなしということが無いのだ。運が良ければ複数ドロップや、レアドロップが入手できるという感じである。

「うーん、プチ・デビルはイベントモンスターなのかもな」

だとすると、ドロップが無い理由もつく。もしかしたらポイントなどが加算されているのかもしれない。

その確証を得るためにも、後数体プチ・デビルを狩っておきたかった。

その後、4体ほどのプチ・デビルを倒したのだが、結局ドロップはなかった。

「やっぱりイベントモンスターか。しかし、嫌らしい敵だ」

同時に2体のプチ・デビルが出現したことで、俺たちは初めて攻撃を食らっていた。何と、物理攻撃力を下げる範囲攻撃を放ってきたのだ。

パーティ全体と言うほど広範囲ではないのだが、今の戦闘ではリックとクママが同時に食らってしまい、相当苦戦させられた。デバフ効果はプチ・デビルを倒した後も残るので、その後の戦いが非常に長引いてしまうのだ。

「ちょっと消耗し過ぎたな。村に戻ろう」