軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

832話 天望樹の特殊プライベートエリア

「また特殊プライベートエリア? て、転移できるぞ!」

北の島と同じだった。やはり、ここはあそこと同列というか、エリア12の中でもさらに奥地という扱いなんだろう。

あれ? 俺最前線にいるな! こ、攻略組みたいなことしちゃってるじゃん! やべー。何がヤバいか分からんが、とにかくやべー。

いやいや、冷静になって考えるんだ。戦闘力も足らん俺が前線攻略組を名乗るのはおこがまし過ぎる。

今回は緑の達人とかのお陰で奇跡的に戦えてるわけだし。相変わらず3次職のままだし。

でも、胸を張って第一陣のテイマーですって言えるくらいには頑張ってるんじゃないか? うむ、それくらいは言っていいだろう。

これで4次職なんかになってしまった日には――

「お、俺もついに、前線組の末席に名を連ねることに……?」

トッププレイヤーとまではいかずとも、「あ、あれはベテラン組のユートさんだ! 目、合わせるなよ。やられるぞ……!」って言われるくらいにはなれちゃうかもしれん!

第三陣を遠くから眺めて「くくく、ヒヨッコ共が来おったわ」って先輩面するだけじゃなく、胸を張って「やあ、分からないことがあるのかい? 俺が教えてやるよ」的先輩風を吹かせることすらできてしまうかも!

うおー、ちょっとやる気が湧いてきたぞ! 天望樹の実を求めてやってきたけど、ここでレベリングを試みるのもいいだろう。

経験値超加薬を手に入れたのは天啓だったのだ! ゲームの神様が「汝、4次職に転職し、玄人面をしろ」と告げているに違いない!

あ、このゲームだったら、精霊様の啓示とか? 水臨大樹の精霊様とは知らない仲じゃないしね!

神様精霊様運営様、どうか俺のレベリングが上手くいって第一陣プレイヤーらしくなれるように見守っていてください!

「まあ、その前にプライベートエリアの確認だけどね」

「キキュ!」

「ラー!」

「はいはい、今転移するからそんなに急かすなって」

皆を呼び寄せて転移してみると、そこは樹の洞の中だった。多分、天望樹の途中っていう設定なんだろう。

高さ5メートル、縦横20メートルくらいの巨大な洞の中に、南国のコテージ風の家屋が建てられている。

しかも、ちょっとお高めのお洒落ヴィラ風のやつだ。籐製の家具や小物が置かれていて、テンションが上がる。

洞の中にあるが、ちゃんと屋根もあった。まあ、その方がなんとなく安心できるからありがたいけど。

ただ、壁はあまりない。風通し抜群だ。それで手抜き感がないのは、やはりコテージっぽさによるものだろう。広さを活かすため、あえて壁を作っていない風に見える。

洞の半分は空いていて、庭としても利用可能であるようだ。

当然ながら洞の入り口部分には大きな穴が開いていて、そこからは第12エリアの物と思われる広大な樹海を見下ろすことができた。

洞というと入り口が狭くて内部が広いイメージもあるが、ここは間口と内部がほぼ同じ広さである。そのため、眺望は抜群だ。

天望樹の上層で見つけたセーフティエリアからの展望にそっくりである。

ここから外に出たりはできないようで、俺もモンスたちも見えない壁に阻まれて手を出したりすることもできなかった。逆に言えば、風や雨の影響もないってことだ。

まあ、見晴らし抜群の別荘を手に入れたって感じだね。ここも北で見つけたプライベートエリアと同じように、お金を支払うことで転移先を増やしたり、家の増築や家具の設置をしたりできた。

カラフルな絨毯を敷いてランタンをたくさん置いてみたら、あっという間に南国リゾート風に早変わりだ。

洞の入り口に一番近い部屋がリビングになっているんだが、そこにソファを設置して座ってみると眼下を一望できた。

「はぁぁぁ……ヤバいな」

絶景過ぎる。

緑の樹海と、遠くには青い海。白い雲の浮かぶ空。そして、太陽光を受けてキラキラと光る、樹海上空にかかる雲海。

リアルではまず見ることができない眺めであろう。あれだ、アマゾンの奥地に数百メートルの超高層マンションでも建てなきゃ、無理である。

まあ、欲深い人類はいずれ達成してしまいそうだけど、今はVRの中でしか出会えない景色のはずだ。

「ヒムー」

「ムー」

「キキュ!」

モンスたちも、感動しているようだ。他の子たちにも見せてやりたいな。ああ、ドリモ以外ね。

ドリモにはきっと有難迷惑だ。高所恐怖症の人も無理かもしれない。

「ずっとゆっくりしていたいけど、セーフティエリアで採取もしたいし、レベリングもやらなきゃだからな」

「キキュ!」

「――♪」

リックとサクラも、採取ポイントに興味があるらしい。まあ、ここはホームからいつでも転移できるように設定したからね。

うちの子たちは、北のログハウスには頻繁に遊びに行ってるみたいだし、ここを気にいる子もいるだろう。ファウとか、絶対に好きだと思うのだ。

あと、庭で天望野菜を育てられるかも試したい。ここ、眺めがいい以外に、利用価値は高いかもな。