作品タイトル不明
782話 ダイビングゲームだったら初見殺し確定のやつ
ペルカとルフレに氷の海へと引きずり込まれそうになった俺だが、なんとか2人を思いとどまらせていた。
「行く前に、アイテム使わないと」
陸地よりも、海中はさらに寒いらしい。リアルだと海の中の方が温かいって聞くけど、このゲームでは違うようだった。
海に浸かるだけで全身が震えるのだ。暖房系、耐寒付与系のアイテムを使って震えを抑えて、海へと入っていく。
冬の海に歩いて入っていくのって、一見するとヤバイ映像だよね。ただ、見た目とは裏腹に全く冷たくないどころか、ちょっと温かいくらいなのだ。暖房アイテムスゲーぜ。
「キャロ、大丈夫か?」
「ヒン!」
水中呼吸薬を使っているので呼吸は問題ないが、キャロやアコラが泳げるのか心配だったのだ。しかし、普通に問題ないらしい。
「キキュー」
「クマー」
モンスたちに囲まれながら、深い場所へと潜っていく。
「なんか、段々暗くなってきたな」
以前古代の島のイベントで海に潜ったりしたけど、全然違っている。あちらはサンゴと太陽が美しい南の海だったが、こちらは完全に北の海だ。
流氷に閉ざされて光が届かず、薄暗い海中に岩と昆布が延々と並んでいる。
薄暗い海中は迫力満点だ。気が弱い人だったら、1人で潜れないかもしれない。ちょっとホラーチックというか、今にもサメかなんかが出てきそうな雰囲気があった。
因みに、昆布は採取可能だ。ひと際大きい昆布の根元には、採取ポイントが光っている。
昆布って、育てられるのか? 一応、昆布も植物だよな? こいつもオルト案件だな。
「ペン!」
「フムー!」
薄暗い昆布の森を、水中コンビは楽し気にグングン進んでいく。
にしても、一体何を発見したんだ?
最初は巨大シャコガイみたいなものかと思ってたんだが、それなら普通に採取すればいいしなぁ。
あと海で大発見となれば、沈没船とかお宝の可能性もあるだろう。北海の町でも、ちょっと気になる話を聞いたし。
ここからさらに北にあるという、白の大陸。そこへと向かおうとして沈んだ船がたくさんあるらしいのだ。その船がこの近辺に沈んでいてもおかしくはない。
「ペペン!」
「フム!」
先導してくれていたペルカとルフレが止まった。到着したのか?
2人の視線の先を見つめると、そこには巨大な穴があった。海底に続いていた岩場がその周辺だけ消え去り、ポッカリと地面がなくなっている。
少し近づいて覗いてみるが、深さと暗さのせいで底が見えなかった。
メチャクチャ迫力がある。というか、超怖い。今にも巨大な怪物が這い出てきて、襲い掛かってきそうだ。
「ペペ!」
「フムー!」
ペルカとルフレが穴の上まで泳いで行って、俺たちに向かって手招きした。下から怪物が出てきたら、パックリいかれちゃう位置だよ? 大丈夫?
俺の心配を余所に、ペルカもルフレも輝くような笑顔である。2人が発見したものは、この海底の穴で間違いないだろう。
「えー、ここ入っていくの?」
「ペペーン!」
「フムムー!」
いく気満々だね。まあ、ここまで来て引き返す選択はないけどさ……。
「ふ、深いな……」
ダイビング系のゲームだったら、息が続かなくなって死ぬか、水圧がヤバくなって死ぬか、危険生物に襲われて死ぬかするパターンだろう。完全に初見殺しされる場所だ。事前準備をしなくては、攻略できないタイプのフィールドである。
まあ、俺の場合は戻って準備したところで高が知れてるし、このまま突っ込む方が楽だけどね。
「じゃ、いくか。キャロたちは大丈夫か?」
「ヒヒン!」
「クマー!」
泳ぎが苦手そうなモンスたちも、問題ないらしい。キャロなんて犬かきならぬ馬かきで、器用に水中を進んでいく。
穴はほぼ垂直だが、下っていくと少しずつ曲がっていき、最終的には横へと続く洞窟に変化していた。もう200メートルくらいは潜ってきたと思うけど、まだ先は続いているようだ。
さらに進むこと10分。
洞窟では数度モンスターに遭遇したが、問題なく勝利できていた。相手の泳ぐ速度が速くないことも幸いしたね。長い触手で攻撃をしてくるクラゲ型の魔獣だったのだが、超高速で遊泳するペルカが無双状態だったのだ。
触手を回避しながら、嘴でドンドンダメージを与えていく。
時折毒を飛ばす攻撃をしてくるんだが、それはルフレが完全に防いでくれた。水中コンビがいてくれて本当に良かったのである。
俺たちだけだったら、クラゲの攻撃を回避しきれずに苦戦していただろう。まあ、この2人がいなかったらそもそもここを発見できていないけど。
「お? なんか明るくなってきたか?」
「ペン!」
「フム!」
どうやら出口が近いらしい。僅かに光が差し込み始めた。
ペルカたちは大はしゃぎだが、この先に何があるのか? ボス戦だけは嫌なんだけどな……。可能性はあるよなぁ。