軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

772話 砂漠

ブラッドオーガ戦を終えた俺たちは、そのまま先へと進んだ。すると、岩山の奥で倒れている人影を発見する。

助け起こすと、攫われたというケット・シーの女性だった。外傷はなく、目を覚ました彼女は普通に元気だ。

「助かったよ! ありがとうね!」

「無事でよかったよ」

「今度村にきてくれたらおまけするから! あと、これあげる!」

ジークフリードの爽やか対応が良かったのか、ポーション詰め合わせを貰えたな。そうこうしていると、彼女の相棒もやってきたので、ここで別れることとなる。

ゲーム的に言うなら、プレイヤーはさっさとこの先へ進めってことなんだろう。

「ぬふふ、洞窟発見!」

「前と同じだね」

北海の町を発見した時と同じように、モンスターも罠もない細い洞窟を進む。

そして、洞窟を抜けると――。

《西の岩山の回廊を踏破したプレイヤーが現れました》

ここも前回と同じだ。高い山の中腹に通じており、洞窟の出口からはフィールドを遠くまで見通せる。

ただ、目の前に広がる光景は全く違う。

「うおー! 砂漠だー!」

「すっげー! 超砂漠!」

リチャードとラモラックが騒ぐ通り、岩山の上から第12エリアを見下ろす俺たちの前には、何処までも続く広大な砂の海が広がっていた。

砂の丘が延々と連なる、砂漠と聞いて誰もが想像する光景だろう。壮大すぎて、しばし見入ってしまった。

その砂漠の先に、青いオアシスと白い町が見える。

ここからでもはっきりと確認できるほど巨大な、青く澄んだオアシス。その中央の小高い島の上に、外壁も建物も全てが白い石で造られた、砂漠の強烈な陽光を受けて輝く白亜の都市が存在していた。

北海の町に比べると大分小さく見えるが、その分、上に高い感じかな? モンサンミッシェルのような構造の都市である。

狭い土地を有効活用するためか、塔のように高い建物が多いんだろう。

「それじゃあ、あの町まで行ってみようぜ!」

「おう!」

「ぬふふ、そうですね!」

早速皆で移動しようとしたんだが、そこで俺はあることに気付いた。

「ああ! まだ撮影中だった! すまん、切るわ」

ブラッドオーガ戦が終わっても撮影を続行したままだったのだ。これでは、戦闘シーン以外も色々と映ってしまう。

だが、撮影を中止しようとした俺を止めたのは、ジークフリードの一言だった。

「ユート君。むしろここから町まで撮影しなくていいのかい?」

「え? でも新エリアだぞ? いいのか?」

時間的には問題ない。ブラッドオーガ戦は全部通しでも30分くらいだ。まだまだ時間が余っている。だったら、勝利した後にこういう場所に通じているよっていうのが分かるのは良いことかもしれない。

「でも、みんなはいいのか?」

俺はあまり気にしないけど、新エリアの情報なんて秘匿しておきたいもんじゃないの?

「ぬふふ! 逆です! むしろ映してほしいくらいですよ! 砂漠を往く暗黒騎士! いいではないですか!」

「砂漠を走る巨大鳥。ファンタジーじゃね?」

「確かに! チョ〇ボっぽい!」

こいつらずっとノリノリだな。まあ、許可が出たのなら、このまま撮影しておくか。確かに絵になるし。

「じゃあ、行こうか!」

「ヒヒン!」

キャロを送還しないでよかった。かなり加減してゆっくり走ってくれているとはいえ、キャロなしじゃ騎士組には付いていけんし。ヒムカとドリモは頑張ってついてきてくれ。

砂漠の丘の上を隊列を組んで走りながら、騎士たちや景色を撮影していく。砂漠を飛ぶファウやリリスもいいね!

「デビー!」

「どうしたリリス?」

「デビ!」

「あれはラクダかな? 結構遠くの魔獣まで見えるな。ラクダって食えるんだっけ?」

かなり遠くではラクダが列をなして歩いているのが見える。俺としては食用かどうかが気になったが、騎士たちは違うところが気になったらしい。

「あれは騎乗可能な魔獣なのかな?」

「だとしたら新発見だ!」

「馬とも鳥とも違うルートに入れそうだしな!」

言われてみたら、そこも重要か。

「ぬふふふ? あっちに見えるのはサボテンですかねぇ?」

「うわー、メッチャたくさん生えてんじゃん」

「あそこは走りたくないわー」

かなり離れているが、サボテンが無数に生えている山のようなものの影が見えている。あの遠さでこのサイズってことは、メッチャデカいんじゃないか? サボテンの森的な感じなのだろうか?

いずれあそこも行ってみたいね。サボテンって、色々なものの材料になりそうだし。

「うおー、あれなんだぁぁ!」

「でっかー!」

こ、今度はなんだ?

ラモラックが指さす方を見ると、何やら巨大な生物が砂の中からせり上がってくるのが見えた。

砂を巻き上げながら、ズオォォォッと伸びていく細長いナニか。そのままアーチを描くように再び砂の中へと落ちるように潜っていく。

「サンドワームってやつかな?」

「ぬふふ。最高に気色悪いですねぇ! 私好みですよ!」

あのサイズじゃ、確実にレイドボスだろう。全長は50メートルくらいはありそうだったし。下手したらもっと大きいかもしれん。

「砂漠、想像以上に魔境かもしれん」

「ヒムー……」

ヒムカが心底嫌そうな顔でサンドワームが消えた砂漠を見つめていた。相変わらず、ああいうのが苦手であるらしい。このシティボーイめ!