軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

762話 北の情報

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日課を済ませた俺は北海の町へと跳び、海洋ギルドを目指す。事前に調べておいた通り、北の島への連絡船が出航する直前だった。

ただ、まだ定期船に乗り込まない。受付さんに聞きたいことがあるからね。

「あの、質問良いですか?」

「はい、どうぞ。あ、でも、スリーサイズと住所はお教えできませんよ?」

悪戯っぽく微笑むお姉さん。可愛いね! というか、こんな反応されたの初めてだ! ちょっとドキッとしちゃったよ。LJOの高性能AI侮れんぜ。

しかし、ここで変な返しをしたら、機嫌を損ねるのでは? 興味ありません的な態度を取ったら、むしろ失礼?

うおー、遥か昔にやったギャルゲーの記憶を呼び起こせ! こういう時、どんな返しがいいんだ!

「あの、それはもう少し仲良くなってからということで」

「うふふ。では、何をお聞きになりたいんですか?」

お、怒ってはないよね? セーフ!

「この港から、他の大陸へと渡る船って出てますか?」

「いえ、出ていませんね。未だに安全な航路がないのですよ」

航路がないってことは、他の大陸自体は存在しているって事? その辺のことをさらに尋ねてみる。

この港から船で北に10日ほど進むと、別の大陸があるという。その呼び名は『白の大陸』だ。

ただ、ギルドにも詳しい情報はなかった。難所がいくつかあるうえ、強いモンスターが出没する場所も多く、安全に辿り着くことができないせいだ。

海洋ギルドでも何度か航路の発見にチャレンジしたが、ことごとく失敗したらしい。腕利きの船乗りを何人も失い、海洋ギルドは北へ向かうことをあきらめた。

それでも白の大陸の存在が知られているのは、辿り着いた者が少数ながら存在するからだ。

未知を求める冒険者や、独自の航路を持つ海賊。そして、飛行能力を持つ伝説の魔術師。彼らの証言があるからこそ、その存在自体は疑われていないのだ。

「それに、白の大陸からこちらへとやってきた人たちもいますし」

「へー! その人たちは今どこに?」

「かなり昔のことなので、もうご本人たちはお亡くなりになってますね。子孫がこの町で暮らしていますけど」

白の大陸からやってきた人たちは事故で流されてきただけだったらしく、航路の情報などはないらしい。

子孫はそこの港で漁師をやっているらしいので、探せばすぐに会えるだろう。

「知りたいことが知れました。ありがとうございます」

「いえ。またお越しください」

この人は意外と重要なNPCさんかもしれん。白の大陸に関してもそうだし、この町についてもまた話を聞く機会がありそうだし。

ここは1つ、好感度を稼いでおこうかな。

「あの、これどうぞ。話を聞かせてくれたお礼です」

「これは? お菓子ですか?」

「はい。俺の手作りなんでお店のものみたいに綺麗じゃないですけど。クッキーです」

「わあ! ありがとうございます!」

拒否されるかもと思ったが、受け取ってもらえたぞ。これで急に仲が良くなったりはしないだろうけど、次に話を聞きに来やすくはなったのだ。

「じゃあ、また」

「はい!」

いい笑顔の女性に見送られて、俺たちはギルドの受付を離れた。その足で売店へと向かい、そこでアイテムを購入する。

耐寒用のホットドリンクや、パーティに耐寒を与えてくれる暖房石などだ。これだけ耐寒グッズが売っているってことは、相当寒いんだろう。

「よし、準備は完璧だな。桟橋に行くぞ」

「クマ!」

「ラー!」

運賃はギルドの受付で払い済みなので、桟橋に到着している連絡船へ簡単に乗り込めた。数分待っていれば、出航だ。

「フームムー!」

「ペッペーン!」

ルフレとペルカは驚くほどにハイテンションである。船旅が楽しみであるらしい。

まあ、定期船と言ってもちょっと大きめの漁船って感じだけどね。個室などがあるわけでもなく、甲板の上で待っているしかない。

しかも、かなり寒かった。

「さ、ささささむー!」

「ラー?」

「クマー?」

うちの子たちは寒さに強いせいで、俺の辛さは分かってくれないようだ。毛皮ずるいよ!

「ヤヤヤ!」

「フマママ」

いや、ファウとアイネは結構寒そうだな。

ファウは火属性だから大丈夫かと思ってたが、自分にはあまり恩恵がないのかな? アイネも空を飛んでる時は結構寒いだろうし、耐性あるかと思ったんだけどね……。ここまで寒いとダメらしい。

このゲーム、痛みはないけど寒暖の差は結構感じられる。

初期の頃はそこまでの感覚はなかったと思うけど、どっかのアプデで感覚のふり幅が少し大きくされたのだ。

まあ、最大でもちょっと寒い気がして、体が震える程度で済むが。雪が降る北の海を走る船の甲板なんて、リアルだったら凍死案件だろう。

これがさらに酷くなると、凍傷や凍結といった状態異常に陥るらしい。

ちょうどいいので暖房石を使ってみるか。

俺が石を使用すると、変化は劇的だった。寒さが全く感じられなくなり、震えも止まったのだ。吹き寄せる風が爽やかに感じられるくらいだ。まるで、ここだけ春になったかのような快適さだった。

「おー、これは凄いぞ」

「ヤー!」

「フマー!」

寒くなくなり、ファウたちも大喜びである。ファウなんて陽気な曲を演奏し始めた。モンスたちがワチャワチャし始め、いつしかダンスパーリーだ。

いや、船の上で暴れるなって! 船員さんが苦笑いしてるだろ!