作品タイトル不明
757話 ファウの新たな力
北の港町も気になるけど、進化したメンバーの能力確認も重要だ。
いつもの如く、始まりの町周辺でスキルの試し撃ちである。
進化したクママ、ルフレ、ファウを引き連れて町の外へと向かう。
「うーん、メッチャ目立ってるな」
クママがデカくなって、皆の目を引くのだ。で、クママを見たら、ルフレ、ファウの姿に気付く人もいるだろう。
ルフレはパッと見では進化したようには見えないかもしれんが、ファウは翅の色も変わっているしね。
「クママちゃん超でっけー」
「水精ちゃん、美少女度上がってる?」
「妖精ちゃん超可愛い……」
「オルトちゃんしか勝たん!」
まあいい、ぜひ見てくれ! うちの可愛い子たちをな!
そんな感じでちょっとだけ優越感に浸りながら平原に向かう。
町から外に出ても、人が多いな。始まりの町なんてもう人が減り始めててもいいはずなんだが……。
こっち見てる人多いけど、俺たちについてきたとか? いや、少しはそういう人もいるだろうけど、この人数全員なわけないな。
第二陣の中でも、ゲームプレイ時間を多く取れてない人はまだ序盤だろうし、始まりの町やその周辺のフィールドには未だに需要があるんだろう。
俺だって、本拠地は始まりの町だもんな。人のことは言えん。
「じゃあ、まずはファウのスキルから見ていこう」
「ヤー!」
「妖精の踊りを頼む」
「ヤヤ!」
ファウがジャカジャカとリュートをかき鳴らしながら、「ラランラー♪」と歌い出す。
いや、演奏もいいけど、踊りは? 今までと絵面が同じなんだけど? だが、ここからがいつもと違っていた。
なんとファウが、歌唱と演奏を行った状態で、ヒラヒラと舞い踊り始めたのだ。
クラシックバレエのような動きで、クルクルスイスイと宙を舞う。その翅から赤い光がキラキラと放出され、非常に美しかった。
そして、驚きはその効果である。なんと俺たちに、三重でバフがかかったではないか。
「ATK、DEF、SPD全部盛り? しかも結構な上昇量だ! すげーな!」
「ララ~♪」
演奏・上級、歌い手に加え、妖精の踊りが機能しているのだろう。
一気に3つのバフを付けられるというのは、かなり強い。MP消費は重いようだが、これは良い能力だ。
見た目も凄くいいし。
「じゃあ、お次は地魂覚醒いってみようか!」
「ヤー!」
成長した地魂覚醒・精霊も使用してもらった。射出される大岩がより大きくなり、3つに増えている。
さらに、覚醒時のファウの姿が、完全に大人だ。
俺よりも背が高い美女である。そんな美女が翅を震わせて飛ぶ姿は、まさに妖精の女王って感じの貫禄があった。
「かっこ可愛いぞ! ファウ!」
「ヤー!」
「ああ、声は同じなのね」
それに、すぐに元の姿に戻っちゃうんだけどさ。
「地魂覚醒も派手だったけど、ここまでは前座だ!」
「ヤー!」
「ファウ、やってくれ! 炎聖召喚だ!」
「ヤヤ!」
ファウが元気良く手を上げると、炎聖召喚exを発動した。
「ヤー! ヤヤヤヤヤー!」
「おお、デッカイ火の玉! しかもなんか、白い!」
先端に白い色が混じる、神秘的な火の玉が出現した。しかも、バランスボールサイズの巨大さだ。
これで攻撃するのか? そう思っていたら、ファウが何故か歌い始める。
「ララ~♪」
すると、炎聖にも変化があった。
「ラララーン♪」
「ラララーン♪」
なんと、火の玉からも同じように歌が流れ始めた。声は微妙に違うかな? 女性的ではあるが、ちょっと大人っぽく聞こえるのだ。
そして、俺たちにバフが2つ追加される。
なんと、ファウに合わせて歌えるらしい。しかも、ちゃんとスキルが発動している。ファウが楽器をかき鳴らせば一緒に奏で、ファウが踊れば火の玉も踊る。
炎聖召喚で生み出された火の玉はファウのスキルを模し、二重で発動させる能力があるらしい。
回復、妖精の癒しなどにも効果があった。
ただ、地魂覚醒にはさすがに意味がないようだ。効果があるのは補助、回復スキルだけであるらしい。
それでも、ファウにはかなり有用なスキルである。なんせ、バフ、デバフの効果が倍になるってことだし。
これだけでも凄いのに、火の玉にはちゃんと攻撃力もあった。近くの地面に突進させると、大爆発が起きて大きな穴が開く。
相当な攻撃力だ。歌って踊って爆発する火の球? いやー、さすがexスキル! ファウが相当強化されちゃったな!
これからどんな活躍をしてくれるのか、楽しみだ。