軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

718話 始まりの町の魔工

俺たちは人神の試練から戻ってくると、まずは始まりの町へと転移した。

陰陽師の時もそうだったが、新たなシステムなどが解放された際、始まりの町でも必ず変化があるのだ。

チュートリアル的なものが集まっている町なのだろう。

「まずは雑貨屋に行ってみよう」

「ヒム!」

一番最初の生産用具は、だいたい雑貨屋に揃っているのだ。

「こんちわー」

「らっしゃい!」

いつも使う雑貨屋に入り、おっちゃんに魔工用の道具について質問した。すると、期待通りに追加されているではないか。

「魔工ならこいつだな!」

「簡易魔工セットね」

生産職が最初に与えられる、簡易生産シリーズだ。値段も同じである。

「よしよし! これは買いだな! 他に、魔工用のアイテムとかあります?」

「うちにあるのは、こいつとこいつだけだ」

「おお! レシピ! それに、魔工修復剤?」

「修復剤を使えば、いろんなものの状態を良くできるらしいぜ?」

クロスボウの修復に使うということではなく、ネジの錆びを落としたり、ナットのヒビを埋めたりすることが可能であるらしい。

さらにレシピの方には、魔導クロスボウ、魔導バリスタ、魔導スリング、魔工修復剤の4種類が登録されていた。

魔工修復剤は、砥石とか鉱石を混ぜ合わせるみたいだな。

クロスボウが片手弓、バリスタが両手弓、スリングは投擲武器に分類されるらしい。

やばい、レシピに出来上がりのイメージ画像があるんだけど、総金属製のバリスタとか超ロマンなんだけど。重量制限のせいで俺には使えないけど、絶対に欲しがるやつはいるはずだ。というか、使ってるとこをぜひ見たい!

このスキル、なんであんまり広まってないんだ? それとも、俺が知らないだけ? そもそも、町中では武器しまってる人も多いから、普段気にしないもんな。

実は戦闘メインのプレイヤーだったら、当たり前のスキルなのかもしれん。

アリッサさんに、バリスタ使いの情報を聞こう。そして紹介してもらうのだ。

「ネジとかを購入できないもんかな。鍛冶屋に行ってみるか」

NPCの鍛冶屋で魔工関係の素材やレシピがないか探したんだが、めぼしいものを発見することはできなかった。

やはり鍛冶とは似て非なるものってことらしい。ここは魔工の専門店を探すべきか?

「とりあえず、始まりの町を回ってみよう」

「ヒム!」

さすがに、ハーブの時みたいな露店ではないだろう。工房が必要だろうし、どっかに店舗が出現してると思うのだ。

始まりの町を歩いていると、新しい屋台とか食べ物屋さんは発見できたが、魔工系の店は発見できなかった。

「仕方ない。情報を仕入れにいくか」

「ヒム?」

「ルインの店、すぐそこだろ? 何か知ってるかもしれん」

「ヒム!」

場合によっちゃルインが魔工スキルを持っているかもしれん。

ルインは店舗も持っているんだが、露店も続けている。お客さんと直接のやり取りできるのが楽しいらしい。

そして、今日は露店の日だったようだ。広場に行くと、ルインの店の旗が見えた。

近づくと、結構賑わっているな。さすがトップ鍛冶師の店だ。

俺たちに気付いたルインが、手を挙げて挨拶してくれる。

「おお、ユートか。いらっしゃい」

「フマ!」

俺が何か言う前に、アイネがルインに飛びついた。髭に顔を埋もれさせ、その触感を楽しんでいる。

「フママー!」

「す、すまんルイン!」

「よいよい。子供というのは髭が好きなもんじゃからな」

「そ、そうか?」

「うむ」

「フマママー!」

ルインが優しくてよかった! リックやファウで慣れているのか? ともかく、全く気にしていないようだ。

ドワーフの首にしがみ付いて、髭のモジャモジャを堪能するシルフの幼女。真面目な話をしづらい状況だが、まあいい。

「探してるものがあってさ、ルインの店で取り扱ってないかと思って」

「フママ!」

「ほう? 何を探しとるんじゃ?」

「フーマー!」

アイネは少しボリューム下げて! 楽しいの分かったから!

仕方ない、ちょっと声を張ろう。

「えーっと、マジックエンジニアってジョブが解放されて、魔工技術と魔工知識っていうスキルをゲットしたんだよ。で、そのための部品とか――」

「待て! 待て待て!」

「フマッ!」

「おっと、すまぬ」

いきなりルインが立ち上がり、その勢いで落下したアイネが文句を言っている。謝らないでいいから。

「えーっと? 急にどうした?」

「ジョブ、じゃと?」

「そうそう。マジック――」

「じゃから待てと言うに!」

また止められた。

「……ちょいと待て。アリッサを呼ぶからのう」

どうやら、ルインは魔工系のスキルを持っていないらしい。アリッサさんを呼んでくれるようだ。

「いや、わざわざ呼ばなくても、俺が行くけど」

「ダメじゃ! すぐくるから、待っておれ! いや。待っててください!」

「そ、そう?」

ルインがなんかスッゴイ迫力のある顔で周囲をキョロキョロと見回している。なんだ? 俺も見るが、普通にプレイヤーばかりだが?

全員こっちを見てるが、ルインやアイネがあれだけ騒げばそりゃあ注目を集めるだろう。

「ルイン?」

「いいから! とりあえず、静かに待っててくれい! お願いじゃから!」

「わ、分かったよ」