軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

716話 スチームパンクに勝利

ペルカのお陰で硬直は入れられるんだが、それだけで圧倒できるほどボスは甘い相手ではない。

ダメージを与え合いつつ、こちらもかなり消耗してしまっていた。

「メッチャ硬いな……。もっとダメージを与える方法はないか?」

顔や胴体、背中のパイプ部分など、目立つ個所には既に攻撃を試している。だが、際立ってダメージが上昇することはなかった。

「しかたない。普通に攻撃を続けるしかないか」

「ペペン」

そうして巨大カラクリゴーレムと戦っていると、不意にその巨体がガクンと揺れた。倒れそうになるのを堪えるように、全ての手でバランスを取っている。

「え? なんだ?」

「ニューニュ!」

「メルム! なにしたんだ?」

「ニュー?」

どうやら、メルムが背後から攻撃を加えたらしい。それが弱点に入り、巨大カラクリゴーレムの体をよろめかせたのだろう。

メルムも狙った訳ではなく、何でこうなったかは分からないらしい。

その後、背中を重点的に攻め続けると、ようやく攻略方法を発見できていた。

巨大カラクリゴーレムは大きな攻撃を放つ直前、背中のパイプから大量の蒸気を噴き出すという前兆がある。

この時にパイプに攻撃を加えると、よろめきが入るのである。まあ、タイミングをミスると、蒸気でダメージ入るんだけどさ。

かなり分かりやすいエフェクトだが、正面からだと見えづらくて全く気付かなかった。

でも考えてみたら、スチームパンク系の敵といったら蒸気系のパーツが弱点なのは当たり前だよな。しっかりと観察していれば、もっと早く発見できたかもしれない。

でも、ペルカの与える硬直と合わせて、かなり有利になったことは確かだろう。

「よっしゃ! 飛行組は、パイプ狙いで頼む!」

「ニュ!」

「ヤー!」

その後のボスとの戦闘は互いに消耗しつつ、こちらの有利に進んでいた。いざとなれば、入れ替えが利くからな。

すでに大半のメンバーが入れ替わり、今はサクラ、ヒムカ、ルフレ、アイネ、リリス、キャロ、ペルカというメンバー構成だ。

パーティ全体の攻撃力は初期に比べやや下がっているが、回避力が高いので被ダメージ自体は下がっているだろう。

あと、ペルカはまだ残ってくれているので、ボスの動きを阻害することもできている。

しかし、HPが10%を切ったことで、その行動に変化が現れた。

「ゴゴゴゴォォ!」

「遂にきたか!」

巨大カラクリゴーレムが手に持っていた、その大きさに見合うだけの長く太い鉄の棒。その内部に見え隠れしていた歯車やパイプが動き出し、鉄の棒全体がバチバチと帯電し始めたのである。

「ゴッゴォォォ!」

「ヒムー!」

巨大カラクリゴーレムが、ヒムカ目がけて鉄の棒を振り下ろした。ヒムカがハンマーでその攻撃を受け止めるが、ここからがそれまでとは違っている。

鉄の棒が激しくスパークし、ヒムカに電撃が襲い掛かったのだ。

「ヒムムムムムムム!」

ヒムカの全身が明滅し、電撃を食らったアニメキャラみたいに骨が透けて見えている。ただ、エフェクトは非常にコミカルだが、その威力は結構シャレになっていなかった。

ヒムカのHPが3割近く減り、一瞬麻痺するおまけ付きだ。そこに、2丁クロスボウの連続射撃が突き刺さる。

「ヒムカ!」

回復しながら、ヒムカを庇う。クロスボウの威力も上昇してるじゃないか! これ、鉄の棒が俺に直撃してたら、一撃で死に戻りもあったかもしれない。

後衛のメンバーは、確実にヤバいだろう。

「みんな! 鉄の棒に気を付けろ! できるだけ回避だ!」

「――!」

「え? サクラ?」

回避って言ってるそばから、サクラが鉄の棒を盾で受け止めたぁ! 確かに進化して防御力は上がったけど、麻痺は厳しいだろ!

「――!」

「うぉぉぉ! サクラすげー!」

「――♪」

異常耐性を持っているおかげで、麻痺しないらしい。しかも、元々雷属性に対しては相性が良く、ダメージがヒムカよりもはるかに少ない。

これなら、ボスに対して非常に有利に立ち回れそうだった。

「サクラを中心に戦うぞ!」

「――!」

「ヒム!」

ヒムカがあっさり下がってくる。最近は虫とかも平気になってきて少しはましになったと思ってたけど、軟弱な部分はまだ残っているらしい。

俺の横で、「ふぃー、危なかったぜ」的な感じで、額の汗をぬぐっているのだ。もう少し、悔しそうにしてくれんものかね?

「ヒム?」

「まあいい。あとちょっとだ! 頑張るぞ!」

「ヒム!」

サクラのお陰で、ボスの攻撃もなんとか捌けるようになった。さらに、ペルカの突撃での硬直も、一瞬だがまだ有効だ。

多分、スーパーアーマーにもレベルとか強さみたいなものがあって、カラクリゴーレムよりもペルカの方が強くて、ボスの方がさらに強いんだろう。

そのため、ボス相手だとペルカのペンギンハイウェイは押し負け、自分の方がより長く硬直してしまうのだ。

それでも、強化された状態のボスの動きを一瞬でも止められるのは、かなり有難いのである。

「おらー! みんなで総攻撃じゃー!」

「デビー!」

「ヒヒーン!」

「――!」

硬直して行動を中断させられたボスに対し、皆の遠距離攻撃が炸裂する。最後は、アイネが上空から爆弾を降らせ、勝負あったのであった。

「ゴゴ……ゴォ……」

「よっしゃぁ! スチームパンクに勝ったぞぉぉぉぉー!」

「フマー!」