軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

709話 モグモグモー!

まっすぐなんだが、岩のせいで凸凹な山道。登るだけでも結構時間がかかるんだが、道中に出てくるモンスターのせいで、全然進むことができなかった。

ゲイザーが複数出てくると、メルムが処理する前に魔眼で攻撃されるんだよね。

それでも、なんとか坂を登り切り、50分ほどで第2区画へと進むことができた。結構回復アイテムを使ってしまったのだ。

「大分景色が変わったな」

「ニュ」

「試練系のダンジョンは、急に敵が強くなるぞ。クママ、ドリモ、前衛を頼む」

「クマ!」

「モグモ!」

ここからは、道幅がかなり広くなった代わりに、左へとギューンとカーブしている。そのせいで先も見えなかった。しかも、右側が急角度の崖になっている。

「とりあえず、真ん中を進もう」

右の崖に寄り過ぎると崖から落ちるかもしれんし、左の壁に寄り過ぎたら落石が怖いのだ。

岩と苔で、より登りづらくなった坂道を進んでいくと、すぐにモンスターが出現する。相変わらずのゲイザーと、マッチョになったゴーレム。そして、新たな敵影だ。

「モグモー」

「モグ」

「モグモー!」

「モグー!」

戦いが始まって数秒後。ドリモが背後へと走っていったので、バックアタックを仕掛けようとしている敵がいるんだろうなーとは思っていたのだ。でも、詠唱中だし、振り向けなかったので、ドリモに任せたんだが……。

なんか、ドリモの声が二重に聞こえね? ずっと「モグモグ」言っとる。つーか、ドリモもう一人いる? こっちの分身を生み出す系の敵か?

混乱しつつも、まずは水魔術でゴーレムを倒してから、慌てて振り返る。

すると、そこにはツルハシでガンガンと攻撃し合う、二足歩行のモグラたちがいた。茶色の毛皮で、デニムのオーバーオールに、黄色いヘルメット。

「おー、ドリモールか!」

「モグー!」

そこにいたのはドリモの進化前の種族、ドリモールだった。

「マジかっ! ここにいたのか!」

「モグモー!」

「モグ、モ……」

進化後のドリモが、普通のドリモールに負けるはずもない。数度の撃ち合いの末、そのツルハシがドリモールの頭を打ち抜いていた。

なんか、複雑な絵面だ。ドリモが勝つのは嬉しいけど、相手も可愛いモグラさん。しかも、倒され方がエグイ。

まあ、エネミーなんだし、仕方ないけどさ。

それに、ドリモールが倒される前に、テイムできるか判別したぞ。勿論、テイム可能だった。うちはもうドリモがいるからモグラさんは必要ないけど、ウルスラとかはドリモールを欲しがっていたはずだ。

この情報は喜んでくれるだろう。

「そろそろ時間だし、戻るか。マッチョゴーレムが複数体とか出てきたら、キャパオーバーになりそうだし」

「モグ」

「ドリモールのドロップは、毛皮か……」

リスを倒した時もそうなんだけど、ちょっと複雑だ。

脱出の玉を使ってダンジョンから脱出すると、既にアシハナが待っていた。渦の前に出現した俺たち――ではなくクママに向かって走り寄ってくる。

「クママちゃーん!」

「クマー」

「大丈夫だった? 怪我してない?」

「クマ!」

伸ばした両手を合わせて、女子のようにキャッキャとはしゃぐアシハナとクママ。

「アシハナ、そっちはどうだった?」

「いくつか依頼をこなして試練をクリアしたけど、ダンジョンは出現しなかったよ」

「簡単にはいかないってことか」

「そだねー。そっちは?」

「アシハナに胸を張って報告できるような成果はないなー。でも、テイマーに喜んでもらえそうな情報はあったぞ?」

木材もなかったし、食材もろくなものはなし。採掘ポイントはあったけど、鉄鉱石や銀鉱石ばかりで、旨みも少ない。ハニーベアも出現しなかった。

アシハナが喜ぶ情報はゼロと言っていいだろう。

「テイマーが喜ぶ情報って? 珍しいモンスがいたの?」

「おう。ドリモールがいたんだよ」

「え?」

「あ、ドリモールっていうのは、ドリモの種族な」

「それは知ってるから! え? 本当にドリモール?」

「おう」

アシハナが驚いているな。もしかして、ドリモールも好きなのか? まあ、モフモフで可愛いしな!

「うわー。これ、やばいんじゃない?」

「なにが?」

「ドリモちゃんのファンが、ドワーフ村に押し寄せるってこと!」

「えー? そうか? ドリモの熱狂的ファンって、あまり会ったことないけど……」

「隠れファンが多いの! ドリモちゃんてユートさんしか触れさせないから、触れ合いもできないしね」

あー、そういうことね。クールガイなドリモは、俺以外には撫でさせない。そのせいでファンたちが抱き着きにくるようなことがないんだろう。

ウルスラ以外にも、ドリモールを求めているテイマーはいるのかもしれない。

ファンじゃなくても、ドリモールは強いからな。

「じゃあ、この情報は結構高く売れるかな?」

「結構っていうか……ま、まあ、そうね。高く売れると思うわ」

「そうかー。じゃあ、あとで早耳猫にいくか。まあ、先に他の試練回ってからだけど」

「……アリッサ、ガンバ」