軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

707話 獣神の試練なのに?

クママのスキル『蜂の王』は蜂に対して恐ろしいほどの影響力があった。敵として出現した蜂を追い払うだけではなく、蜂を倒すとドロップが増える効果まであったのだ。

蜂限定だが、クママがいれば完璧に対処可能だった。

その限定って部分を、忘れちゃった俺が悪いんだけどさ――。

「みんな! 逃げるぞ! ドリモ、クママ! 下がれ!」

「モグモ!」

「クマー!」

このサバンナのようなダンジョン、出現するのは蜂だけではなかったのだ。木が少し密集して生える林のような場所に立ち入った際、俺たちは再び何かの群れに遭遇していた。

最初はどうせまた蜂だろうと考えてクママを前に出して対応をお願いしたのだが、何故か蜂が逃げない。というか、蜂ではなかった。

新たに出現した群れは、蜂と色味がよく似た黄色い鳥の群れだったのだ。

俺たちの体に取り付くと、その嘴でダメージを与えてくる。

範囲魔術で吹き飛ばしても、全てを殲滅するのは難しかった。地道に攻撃して何とか勝利したが、結構ダメージを食らったな。

その後は、小さなネズミやモモンガなど、何種類もの群れに遭遇する。ネズミやモモンガはともかく、虫や鳥の群れって! 獣神様の試練じゃなかったのかよ!

いや、生物全般を司っていると考えれば、ありなのか?

ただ、何度も戦いと逃走を繰り返しているとウザい群れとの戦い方が分かってきた。パーティメンバーを入れ替え、今はヒムカとルフレが呼び出されている。

ヒムカの逆襲者が、小さな群れに刺さるのである。

やつらはヘイトに敏感で、挑発スキルに即反応した。つまり、ヒムカが逆襲者を使いながら前に出ると、全体がヒムカに殺到するのだ。カウンターでドンドン倒されていく。

ヒムカもダメージを食らうが、そこはルフレの回復能力で支えればいい。ヒムカがタゲを取ってくれるおかげで、俺たちは回復いらずだから全体としては消耗が抑えられるのだ。

「キャロ、一定距離を保ってくれ!」

「ヒヒン!」

俺はキャロに乗って群れと距離を取りながら、範囲魔術で攻撃をする。他のモンスたちも、遠距離攻撃のみだ。

こうすることで、ヒムカからヘイトを奪うことなく、安全に削れるのである。5分もすれば、俺たちは勝利を手にできていた。

ドロップ品は、20個ほどだ。多分、10匹くらいで1セット扱いになってるのかな? 倒し方を確立してしまえば、美味しい相手かもしれない。

「ヒムカ? どうだ? 連戦できるか? 辛いんなら、違う方法を考えるけど……」

「? ヒム!」

ヒムカは俺の言葉を聞いて。首を傾げている。そして、すぐに笑顔になって、胸をドンと叩いた。

どうやら、小さい敵にウジャウジャと集られていることは全く気にならないらしい。逆襲者でダメージを食らうことに慣れているからか、そっちも全く問題ないようだった。

むしろ、「俺に任せとけ!」的な様子で、テンションがかなり上がっている。自分で群れを探して突っ込んで行きかねない感じだ。

その後、俺たちは様々な群れを倒しながら、サバンナを探検した。問題は、経験値も低いうえに、ドロップ品もあまりよくないことだろう。レア度も品質も低めなのだ。

それでいて、戦う度にMPは盛大に使う必要がある。もしかして、こちらを消耗させるための敵なのだろうか?

そんなことを考えていたら、いつの間にか群れに出会わなくなっていた。出現するのを全部倒しきった? いや、違った。

群れが出現する第1区画を踏破し、第2区画へと突入していたのだ。当然、出現するモンスターも変化するわけで――。

「グルルルル!」

「でっか! こわ!」

出現したのは、大きな犬のような獣であった。サイズは、牛くらいあるだろう。茶色の毛並みや体型は狼っぽいんだが、口はもっと短く、マスティフ犬とかに似ているだろう。

さらに特徴的なのが、目だ。なんと、この獣は1つ目であったのだ。眉間の辺りに、真っ赤に血走った目が付いている。

口の端からダラダラと垂れる涎が、なんだか不気味だ。

「名前は、一つ目狼? そのまんまの名前だな!」

テイム可能だが、テイムしたくないなー。でも、強そうだけどなぁ。どうしよ――うわ! 1匹じゃなくて、たくさん出てきた!

「せ、戦闘準備!」

「クックマ!」

「ヒム!」

前衛二人が意気揚々と前に出る。

「ガルルルルル!」

「クマー!」

す、すごいぞクママ! 一つ目狼の噛みつきを回避して、カウンターを決めたぁ! ヒムカも、しっかり対処できてるじゃないか!

もしかして、このモンスター弱い?

そう思ったのも束の間、クママとヒムカの動きが急に鈍くなっていた。連続で攻撃を食らい、あっという間にピンチに陥る。

「くそ! いつの間に加重なんて!」

2人とも、加重の状態異常を食らっていた。しかし、狼たちの噛みつき攻撃は喰らっておらず、魔術を使った形跡もなかったが……。

「ガル!」

「くっ……俺まで!」

体が重くなり、動きが遅くなるのが分かる。だが、相手の攻撃の正体も分かったぞ。

「目だ! あいつらの目が一瞬光った! 魔眼系のスキルだ!」

一つ目系のモンスターと言えば、魔眼がお約束だもんな! だが、分かれば対処法が――そう言おうとして、俺はふと首を捻った。魔眼って、どう対処すりゃいい? だって、こっちを見てるだけで、加重を与えられるんだぞ? 防ぎようがなくない?

「いや、目を潰せばいいのか?」

俺はリリスを召喚し、メルムと共に闇魔術を使わせて視界を奪う戦法を試してみた。試みは一応成功し、魔眼を封じることには成功する。

だが、確実に暗闇を与えられるわけでもなく、相手は数が多い。最終的に勝利したものの、たった1戦で消耗し過ぎたのだった。

リリスの闇呪術なら圧倒的優位を取れるだろうが、毎回使うわけにもいかないからね。

結局、俺は入り口付近を少し探索し、村へと逃げ帰ることを選んだのだった。

「やっぱ、試練は難易度高いなー」

「クマー」