軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

699話 リックの樹呪術

水臨大樹の試練に再挑戦することは決まったが、死に戻ったせいでステータスが下がってしまっている。

デスペナが入った状態でダンジョンには挑めないので、回復するまでは再突入の準備だ。

まずは、樹霊リスの樹呪術を検証せねばなるまい。あれさえなければ、一方的に全滅させられることもなかったはずなのだ。

始まりの町から外に出て、敵を探す。

「ヒヒン!」

「ペン!」

「ウサギか! 検証にはちょうどいいな! リック!」

「キュ!」

樹霊リスに使われた大規模攻撃を再現し、使用条件や詠唱時間、消費を調べるのだ。俺がリックに指示すると、頭の上からピョイーンと飛び出す。

だが、カッコよかったのはそこまでだった。

「キュ?」

「リック? 樹呪術を使ってほしいって言ってあったろ? どうした?」

何故かこちらを仰ぎ見て、首をかしげているリック。

「キキュ」

「え? 使えないの?」

「キュ」

リックが普通に頷く。いやいや、なんで?

「レベルが足りない?」

「キュ」

「じゃあ、敵の強さとかが関係する?」

「キュ」

「それも違うのか……。だったら、あれは敵専用技?」

「キュ」

「え? 使えんの?」

リックもあの技は使えるが、今は使用条件を満たしていないってことらしい。だが、その使用条件がよく解らなかった。

結局、ウサギが逃げてしまったぜ。

「うーむ?」

「キュ?」

「可愛いけど、何も分からん」

その後、リックへの聞き取りと検証を続けたのだが、やはり条件は解からなかった。

敵が弱すぎるのがいけないかと思って、狩場を移したんだが……。

「キッキュー?」

「リックー!」

デスペナによるステータス減少を甘く見てた! まさか、リックがあっさりと攻撃を食らってしまうとは!

しかも、黒い三連豚のジェット〇トリームアタックだ! 三匹の連続突進攻撃を食らい、吹き飛ばされるリック。

し、死んでない? あ、あぶねー! ギリギリじゃねーか! HPバーが真っ赤だ!

「リック今――え?」

「キキュキュ」

リックが何やら緑色に光っている。しかも詠唱してるっぽい? もしかして、樹呪術を使おうとしてるのか? 下手に回復したりしたら、中断するか?

でも、一応動けてはいるよな……? まあ、あまり手出しはしないでおこう。

「オルト! サクラ! リックを守れ!」

「ム!」

「――!」

「キャロ、三連豚をかく乱するぞ!」

「ヒヒン!」

リックの護衛はオルトたちに任せ、俺はキャロに跨って三連豚に向かっていった。直接攻撃するのではなく、魔術を詠唱してあえてヘイトを稼ぐのだ。

「ヒヒーン!」

レベル30で覚えた、嘶きというスキルだ。単純に敵の注目とヘイトを集めるスキルだが、足の速いキャロが使用すればただの挑発スキルでは終わらなかった。

敵の意識を引き付けながら、誘導することも難しくないのである。

ああ、因みにキャロはまだ進化していない。多分、既に2次種族という扱いなのだろう。

「ヒヒン!」

「うおおぉ! 凄いぞキャロ!」

「ヒン!」

「え? キャロ?」

キャロがいきなり踵を返すと、追ってきている三連豚へと向かっていった。そして、豚さんの間の狭い隙間を通り抜ける。俺、ちょっと掠ったからな!

「ヒヒン!」

「フゴゴゴ!」

すれ違う時の小馬鹿にしたような鳴き声は、嘶きスキルか? それとも、ただ馬鹿にしただけ?

ともかく、三連豚のヘイトはさらに俺たちへと向き、完全に追いかけっこの様相を呈してきた。キャロはあえて速度を落として追いつかれそうになってみたり、フサフサの尾っぽで豚さんの鼻先を擽ってみたりと、楽しそうにやりたい放題している。

可愛い見た目に反して、ヤンチャだぜ!

疾駆スキルによって駆け回るキャロは、3匹相手でも攻撃を食らわずに逃げ続けている。その姿はまさに黒い疾風だ!

「ヒン?」

うん。クリっとした目は睫毛が長くて可愛い。黒い疾風って感じじゃないな。

ともかく、キャロの活躍もあり遂にその時がやってきた。

「キキュー!」

フィールドに、巨大な魔法陣が描き出されたのだ。樹呪術で間違いない!

「きたきたー! リック、やれぇ!」

「キキュー!」

リックの鳴き声に反応し、魔法陣が緑色の閃光を発する。そして、その中から触手のような根っこが無数に出現していた。

次々と三連豚に襲い掛かり、拘束する根。

俺たちがやられたのと同じだ。

その後、俺たちは身動きのできない三連豚に集中砲火を浴びせて、あっさりと勝利したのであった。

HPMPを削るうえに、完全に動きを拘束して防御も攻撃もできなくする。改めて見ると、強すぎるな!

「やったぜリック!」

「キッキュー!」