軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

696話 試練突入?

水臨大樹の上に出現した白い光の渦。まるでワープゲートのようなそれに触れると、俺の全身が大きく光り輝――かない。

「あれ?」

き、聞いてた話と違うぞ?

資格者がこの渦に触れると、水臨大樹の試練に挑戦するかという問いかけがあり、Yesと答えると転移。

資格がない場合も、その旨を伝えるアナウンスが流れるはずなんだが……。

も、もしかして本当にダメなの? 俺、ダンジョンに入れない?

野次馬さんたちも黙ってしまった。憐れみの視線を向けられてる気がする! 静寂が周囲を包み込み、いたたまれない空気が流れる。

だが、すぐに変化が訪れた。目の前にウィンドウが立ち上がり、そこにはどちらの資格を行使するかという選択肢が書かれていたのだ。入る試練を選ぶことができるようだった。

「水臨大樹の試練と、大地母神の試練?」

よかった! そうだよね! 俺が入れないなんてないよね! あぶねー! このまま野次馬さんたちに見守られながら逃げ帰ることになるのかと! ウィンドウが出るのが遅いんだよ!

俺は内心の動揺を悟られないよう、スンとした表情で改めてウィンドウを確認する。

水臨大樹の試練はそのまま挑戦できるっぽい。しかし、大地母神の試練には何やら注意書きがあった。

まず、21:29という時間制限的な表示だ。これは、事前に聞いていたものなので、意味は解る。

他のプレイヤーさんたちにも、同じ表示があるらしい。どうも、うちの神精台でお祈りを捧げてから、24時間しか効果が持続しないらしい。

またダンジョンに入るには、再びお祈りする必要があるそうだ。ただ、入るまでの制限時間なので、残り1秒でダンジョンに突入しても、そこから追い出されるようなことはなかったそうだ。

もう1つ謎なのが、水臨大樹の試練の方には、制限時間が書かれてないことだろう。どうも、俺は時間制限がないらしい。

あと、大地母神の試練には時間制限だけではなく、パーティの制限もあった。チームを組んでいる相手にこのダンジョンへと入る資格がないので、チームを解除してから選択しろと書いてあるのだ。

他の人と違い過ぎるな。

「カルロ、見える?」

「はい。僕にも見えてます。しかし、またまたやらかしてくれましたねー」

「やらかしって……」

「やははは。こっちはまあ、白銀さんが新発見した神精台に祈った効果でしょうね」

「祈る神様や精霊様によって、受ける試練が変わるってことか……」

「ですです」

大地母神の試練は、他の人と同じ条件。水臨大樹の試練に関しては、何かの理由で特別扱いってことらしい。

多分、水臨大樹の精霊様の神精台を設置したことが、特別扱いの理由だろう。

「どうしよう」

「こちらとしては、どちらでも構いませんよ?」

どっちでもいいが一番困るな。でも、今回は水臨大樹の試練にしておこうかな。

「いいんですか? 俺のことは気にしなくていいですよ?」

「正直、初めて入るダンジョンに、ソロは不安だ!」

「そ、そうですか。じゃあ、当初の予定通り、水臨大樹の検証にしておきますか」

「ああ、そうしよう」

ということで、俺たちは水臨大樹の試練へと挑戦することにした。水臨大樹の試練を選択すると、俺たちの体が光り輝き、一瞬で視界が切り替わる。

無事、ダンジョンへと突入できたらしい。

「おー、全部木の根っこでできてんのか」

「そうなんですよ。たまに足取られるので気を付けてください」

水臨大樹の試練の内部は、根が絡み合って形作られていた。床も壁も天井も、全て細い根が絡み合ってできている。

そのため、時おり根っこが盛り上がっていたり、隙間が空いていたりして、それが罠のような役割を果たすのだろう。

「モンスターや採取素材を見ないとレベルが判断できないので、先に進みましょうか」

「そうだな」

今いる場所は、細い通路の行き止まりだ。

同じ水臨大樹の試練でもいくつかパターンがあり、広い草原のような場所に出る場合もあれば、今回のような部屋と通路で構成された不思〇なダンジョン風の構成の場合もあるらしい。

カルロのネズミとリックを先頭に、ゆっくりと試練を進んでいく。場合によっては、罠が大量に隠されているような構造になっている可能性もあるのだ。

「キュ!」

「チュー!」

斥候役のリックたちが同時に反応したな。どうやら、曲がり角の向こうにモンスターがいるらしい。

「最初の部屋からモンスターがいますか……。最低ランクではないでしょうね」

「なるほど」

まあ、戦闘力に自信がないといっても、一応は第一陣だ。第二陣の生産職さんたちよりは戦えるだろう。そこに、上位テイマーのカルロが一緒なのだ。

少なくとも、最低レベルにはならないはずだった。

曲がり角から首だけ出して、この先に何がいるかを確認する。

「キュ?」

「チュー?」

「なんだ? 結構小さいぞ?」

「あれは、リスじゃないですか?」

「ちょ、乗るなって!」

「僕も見たいんですよ!」

カルロが上からグイグイ押してくる。早くみたいのは分かるけど、無理やりくるなよ!

そうやってドタバタとしていたら、向こうに存在を気づかれてしまったらしい。

「キュ!」

「キュ?」

「え? あのリス、リックにそっくりなんだけど」

「うわ! マジじゃないですか! 敵で出現するの初めて見ましたよ!」

出現したのは、リックと同じ樹霊リスであった。

「キュ?」