軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

691話 神様パンは神の味

神様パンは、驚くほど美味しかった。まさに神の味である。

「う、うめぇぇぇ!」

フッワフワのモッチモチで、小麦の香りが最高なのだ。少し塩味があって、このままでも十分御馳走である。

やべえ、止まらねぇ! これ、大丈夫? 脳をアレしちゃうような違法な技術とか使ってない? そんな心配をしてしまうほどに、神様パンは美味しかった。

「ペペーン!」

「フムー!」

モンスたちもパンを食べて大はしゃぎだ。口にあったんだろう。

ペルカとルフレの水中コンビが食べているのは、塩サバパンという中々攻めたネーミングの商品だ。神様パンとは別の意味で心配になる名前だが、2人はニッコニコで口いっぱいに頬張っている。

フワフワの食パンに頭付のサバの塩焼きと野菜を挟んだ見た目は、名前以上にインパクトがあった。だが、二人の食いつきっぷりからすると、かなり美味しいらしい。

サバサンドとかあるし、作っているのは腕のいい職人なのだ。不味いわけがなかったな。

ルフレがペルカにアーンと食べさせてあげている。仲いいことは良きことかな。いや、あれ、嫌いな野菜をペルカに押しつけてるだけだな。ペルカが微妙な表情だもん。まあ、すぐにサバを食べて笑顔だけど。

他の子たちも、全員が笑顔である。ここにいない子たちの分もお土産を買っているし、ホームでパンパーティ開催決定だろう。

「ふー、おいしかったな~」

「クマー」

パンの余韻に浸りながら、お爺さんの入れてくれたお茶を飲んでまったりする。

「どうだったかい?」

「いやー、最高でした。またパンを買いにきます。あと、お祈りにも」

美味しいパンにめぐり合わせてくれてありがとうございますと、お礼を言いたいのだ。

だが、お爺さんは単純に喜ぶだけじゃない表情だ。

「ありがとう。でも、お祈りする時には気を付けた方がいいよ?」

「気を付けるって、何をです?」

「神様や精霊様は、嫉妬深いのさ。同じ日に違う神様にお祈りを捧げると、少し多めに力を取られる」

強欲な人間が、一日にいくつもの違う神様にお祈りを捧げまくったことがあるらしい。すると、あまりにもたくさんの力を捧げることになってしまい、レベルが減ってしまうという事件が起こってしまったそうだ。

「レベルが減る? マジで?」

「ああ。仕事をしたり、モンスターを倒したりして得られる力をたくさん失ったんだ。当然、力の総量も減るさ」

つまり、お祈りすると神精台に経験値が吸われる。そして、1日で色々な神様にお祈りをしまくっていると、吸われる経験値が増えていき、最悪レベルダウンもあり得ると。

どれくらいお祈りをすると危険なのか聞いても、お爺さんも詳しくは分からないらしい。ただ、こちらの世界の人――つまりNPCは1日3回以上はお祈りしないという。

そこまでは安全ってことかな?

あと気になるのは、プレイヤーとNPCの違いだろう。

このお店の神精台にお祈りをすると、神様パンを売ってもらえる。他のお店などでも、特殊アイテムを販売してもらえる可能性は高そうだ。

でも、これがプレイヤーの店だったら?

お祈りされたら、絶対に特殊なアイテムを売らなきゃいけないってわけでもないだろう。だとすると、お祈りする側のメリットがない。

うちの畑でもそうだ。自主的に水臨樹の水を汲めるようにはしたけど、なくったってシステム上は問題ない。

では、お祈りの見返りは? うちの畑で特殊な作物が育って、それで作られた加工品が戦闘職に出回るのが見返り? さすがにそれだけじゃ、プレイヤーたちから不満が出るだろう。

ただ、お爺さんに聞いてもさすがに分からなかった。

うちの畑でお祈りしてくれた人たちに、バフとか入ってれば分かりやすかったんだが、そんな話も聞いていない。

「あ、そうだ。あの大地の母神様が描かれているプレート。あれって、どうやって手に入れたんですか?」

「ありゃあ、木工屋に発注したんだよ。木工に限らず、石でも金属でも陶器でも、腕が良ければ作れるはずだ。うちみたいに絵の場合もあれば、像や象徴するアイテムの場合もあるね」

「なるほど」

うちやここのは木製だけど、他の生産スキルでも様々なタイプを作製可能ってことね。サクラの木工の腕は、俺の想像以上に良いってことらしい。

あと、神精台は腕のいい職人なら設置できるって話だが、スキルレベルだけで判断されるわけじゃない気がする。

単純な農耕のレベルなら、俺よりも遥かに高いプレイヤーがいるはずだ。彼ら全員が神精台関連のイベントを見逃しているのは不自然な気がする。

まあ、俺の場合はサクラが教えてくれたし、自力で見つけようとしたらメチャクチャ難しい可能性はあるが。

それよりは、水臨樹や神聖樹みたいな、神様や精霊に関係ありそうな作物が影響を及ぼしてるって考える方が自然だろう。

ただそうなると、鍛冶師や木工師、ましてやパン屋なんかが神精台を置くためには何をすればいいのか分からなくなるけど。神様や精霊に関係ある道具を揃えるとかか?

パン屋さんは工房が光ってたし、特別な作りであることはあり得そうだ。

尋ねてみると、やはりそうだった。ご神木や精霊銀、龍脈石など、特殊な素材が一部に使われているらしい。

となると、ある程度の生産スキルレベル。その生産関係のアイテムや生産場所に、神様や精霊系に関わりがある必要があるのかね? この2つは最低限必須っぽいよな。

他にも条件があるとは思うけど、そこは検証しないと分からない。情報を売ったら早耳猫が検証すると思うし、後は任せよう。

そんなことを考えていたら、アリッサさんからメールがきた。お得意様限定の、おすすめ情報メールだ。

「もしもしアリッサさん? おすすめ情報って、なんです?」

『ふふふふ! 詳しいことは買ってもらってからのお楽しみだけど、絶対に損はさせないわ。因みに、水臨大樹が関係してるわよ! どう?』

どうって言われても、水臨大樹関係なら絶対に買わねばなるまい。商売上手だぜアリッサさん。

それに、ちょうどよかった。

「俺も売りたい情報があるんで、今から行きますね」

『……え?』