軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

684話 霊木の精霊

進化したオルトがクワ上手というスキルを手に入れていたので、その効果を確かめようと畑を耕してみたんだが……。

「分からんな」

「ム?」

多分、土の質が良くなったりしているんだろうが、見ただけじゃ分からない。鑑定しても、土としか出ないし。

蒔いた種などにも、即座に変化はない。

では、戦闘ならどうだろうか? 受けや止めに、何らかのボーナスが入る可能性はあるだろう。それを確かめるために、俺は第10エリアへとやってきた。

畑区画はまだ酷い状況みたいだが、ホーム側は空いているからね。そっちから出れば問題ない。

で、町の側で軽く戦闘してみたんだが――。

「オオオオオ! オルトスッゲー!」

「ムッムー!」

まさか、敵の魔術をフルスイングで跳ね返すとは思わなかった。以前もやってたけど、返した魔術の威力が上がってないか?

今まで魔術を反射しても、元の2~3割くらいの威力だったが、今回は5割くらいの減少率に落ち着いている。

その後も戦闘を行ってみたが、やはりオルトが強くなっていた。ただ、これってクワ上手のおかげなのか? ただ単に、進化したおかげってことない?

まあ、どちらにせよよりオルトが堅くなったことは間違いなさそうだった。

「オルトがまた頼もしくなっちゃったな!」

「ムー」

今回はドヤ顔で照れることも許そう。なんせ、マジで強くなったからね。

オルトの防御力も分かったし、そろそろ戻ろうかと思案していると、コールの着信音が聞こえた。アシハナからだ。

「どうした?」

『白銀さん! 畑に! 畑に入れないんだけどぉぉぉぉ!』

「そうなんだよ。今、ちょっと混雑が凄いことになってるからさ」

『ログアウトして戻ってきたら、なんか全方向包囲されてるんだけど!』

アシハナはうちの畑でクママと遊んだ後、畑からすぐの場所にあるベンチでログアウトしたらしい。で、今目覚めたら、周囲がフェスの最前列かってくらいに込み合っていて、慌てて俺に連絡してきたってことだった。

いや、その前に、うちの畑に逃げ込もうとしたらしいが、見えない壁に阻まれて入れなくなっているという。

そういえば、設定を元に戻していなかったわ。今は、誰であろうとも入れない状態になっているはずである。

『うぅぅ。何が起きてるのよぉぉぉ!』

「あー、済まんな。俺もこんな状況になるとは思ってなかったんだよ」

多分、お祭り状態で、とりあえず行ってみるか的な感じになっちゃってるんだよね。一度お祈りを済ませれば、落ち着くとは思うが……。それがいつになるかは、分からないのだ。

『タゴサックの畑に退避しようかと思ったら、そちらも入れないし!』

あー、タゴサックも俺と同じで、とりあえず全員入場拒否設定にしているのだろう。

「今設定戻すから、ちょっと待ってくれ」

『お願いいぃぃ!』

「えーっと――」

「ムムー!」

「え?」

オルトの声に釣られてそちらを見ると、モンスターが駆け寄ってくるのが見えた。豚だ。意外と足が速いハンマーピッグさんである。

俺が驚いている間に、戦闘状態に入ってしまった。

「ア、アシハナ! ちょっと待て! 敵と遭遇した!」

『うぇぇぇ?』

「すまん! もう少し耐えろ!」

『そんなぁぁぁぁ!』

まあ、ハンマーピッグ自体はそんな強くない。パワーアップしたオルトなら――。

「ムッムー!」

「え? オルト?」

待て! よく見たら、ユニーク個体じゃねーか! 確か、ハンマーピッグのユニーク個体は、ダメージが下がる代わりに吹き飛ばし能力が上昇するんだったか?

オルトでも、耐えきれないほどの吹き飛ばし力ってことらしい。

「やべ! ファウ! 覚醒だ!」

「ヤー! ヤヤヤヤー!」

「フゴォォォ!」

思わず切り札使っちゃったよ。普通に戦っても勝てる相手だったか?

「――!」

「お? サクラ? もしかして……!」

「――♪」

「やっぱり進化だ!」

オルトが進化したし、そろそろだと思ってたんだよね! 本体の水臨樹が、すんごいことになってるし。

「進化先は、4つか。多いな!」

「――♪」

水臨樹の精霊をちょっとだけ期待してたんだけど、進化先に出なかった。ただ、ちょっと気になるスキルがあるぞ。

「ハイ・ドライアドが通常ルート。成樹の精霊がユニークルートだと思うが……。幼霊木の精霊、霊木の精霊っていう2つが特殊なルートか?」

幼霊木の精霊は、他の2ルートよりも覚えるスキルが1つ多い。しかも、妖力なんて名前だ。これは、絶対に普通のルートではないだろう。

霊木の精霊も、スキルが1つ多く、こちらは霊力となっていた。どちらも、お祈りの効果で出たルートなのだろうか?

幼霊木の精霊と霊木の精霊だったら、後者の方が多分強いんだよな? スキルも1つ多いし、これがいいかな?

「サクラ? どうだ?」

「――♪」

サクラもそれでいいみたいだし、ここは霊木の精霊を選んでおきますか!

「それじゃ、進化開始だ!」

「――!」

強い光が放たれ、サクラの姿が変わる。今までより、さらに成長しただろう。今までが中学生だったら、今回は高校生? さらに背が伸びて、俺は完全に抜かされてしまったな。

桜色の髪はさらに伸びて、グンと大人っぽさが増した。衣装は同じデザインだけど、スカート周りにはフリルが付き、後ろが少し長くなってドレス感が増したかな? 若葉色のバックカチューシャも加わり、さらにオシャレさんになったのだ。

「おー、可愛いぞサクラ!」

「――♪」

うんうん。サクラは進化する度に可愛さが増していくなぁ!

『ねー、白銀さーん! 忘れてるよねー?』