軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

680話 水臨樹の植え替え

とりあえず、畑に招き入れたアメリアたちに、お祈りをしてもらう。すると、問題なく水臨樹が光ったのであった。

フレンドであることも、ファーマーであることも関係ないらしい。

「上手くいけば、たくさんの祈りを集められるか?」

でも、フレンドだったらお願いすればなんとかなるかもしれんが、フレンド以外はなぁ……。なんとか、色々な人に祈ってもらう方法ないか?

というか、お祈りってどこからなら届く? 畑の外からじゃ無理だよな? そこから検証しないと。

今後の検証について呟いてたら、タゴサックに聞かれていたらしい。

「なら、それも検証してみるか?」

「え? いやいや! ちょっと待って! 今品評会の途中なんだから、まずはそっちを進めようぜ!」

タゴサックは興奮しすぎて忘れているだろうが、他のファーマーさんたち放置気味はマズい! まずは品評会を優先しよう!

そんなことを訴えたら、タゴサックが俺の肩をガシッと掴み、真顔で言った。

「何言ってるんだユート。こっちの検証の方が大事に決まってるだろ?」

「品評会の方が大事に決まってるだろ!」

だが、そう思っていたのは俺だけであったらしい。

周囲にいたファーマーたちが、タゴサックの意見を支持し始めたのだ。

「いやいやいや、こっちの検証の方が大事ですから!」

「むしろ気になりすぐる」

「ここで終わられたら、気になって集中できません!」

全員が、検証の続行を望んでいるようだった。まあ、それならそれで構わないけどさ。

「まずは、畑の外から祈って意味があるのか、検証しよう」

「いや、ユート。それはもう検証済みだと思うぞ?」

「うん? どういうことだ?」

「これ、生配信してるんだから、絶対に畑の外に集まってる奴らの中に、試した奴いるって。でも、水臨樹が光ってないってことは、意味がないってことだ」

「なるほど」

水臨樹が自分の祈りで光るなんてちょっと面白いし、確かに試さずにはいられないだろう。

その後、俺たちは木像を水臨樹から離してみることにした。

木像を少し離れた場所に移動して、まだ祈っていない人に頼んで祈りを捧げてもらう。だが、それでは意味がなかった。

やはり、目の前に置いていないと意味がないらしい。

皆で色々と検証した結果、水臨樹の前に木像が設置された状態で、そこから10メートル以内で祈りを捧げれば、水臨樹が光ることが確認されたのであった。

職業や、フレンドかどうかということはやはり関係ないらしい。

つまり、今の場所ではフレンドしか近寄れず、不特定多数の人に祈ってもらうのは無理があるということだった。

無理――だと思ってたんだけどねぇ?

「じゃー、植え替え実行するぞ?」

「おう!」

「楽しみだな!」

「どんな感じになるかなぁ」

まさか、この短期間でまた植え替えをすることになるとは思わんかった。

俺よりも、ファーマーさんたちの方がよほど楽しそうだ。しかも、メチャクチャ協力的だった。

植え替え費用を皆が少しずつカンパしてくれて、俺は1割くらい出すだけで済んだのだ。そこまでされて、拒否する訳にもいかない。というか、お金出してもらって植え替えとか、ラッキーでしかないからね。

「おお! すげー!」

「あんなデカイ木も一瞬で移動できるんだな!」

「はっはー! 外の奴ら驚いてるぞ!」

水臨樹が今までの場所から一瞬で消え、新たな場所に姿を現す。その光景に、ファーマーたちは大喜びだ。俺もだんだん楽しくなってきた。

水臨樹が新たに植えられた場所は、畑の最も外側、道に面した場所である。無人販売所の裏と言えばいいだろうか。

「ち、近くで見るとヤベェェ!」

「さ、さすが白銀さん……!」

「うみゃぁぁぁぁぁ!」

「か、感動だ」

なんか、悲鳴が聞こえた気がするけど、興奮して誰かが叫んだだけか? 畑の周りにいた人たちも大興奮で、誰が何を言っているか聞こえない。

まあ、気持ちはわかる。というか、俺の自慢の水臨樹だ! もっと騒ぐがいい! ふはははは!

道路のすぐ脇に巨大な水臨樹が聳え立ち、流れ落ちる水が手を伸ばせば届きそうな距離にある。まあ、実際は届かないけど。

でも、水飛沫くらいは届くかもしれない。ただ、例外もある。それが、タゴサックらが考案した小さな水槽だ。

水臨樹から流れ落ちる水の一部が水路を伝って、その水槽に流れ込み、再び水路に戻っていく作りになっている。一見すると、小型の手水っぽく見えるだろう。

お祈りしてくれた人は、この水槽から水を汲んでいいことにしようと思うのだ。水槽自体小さいから、全てをインベントリに仕舞ったとしても、水臨樹の水×3にしかならないけどね。

勝手に持っていくやつもいるかもしれんが、コップ数杯分ならそこまで目くじらを立てるまでもないだろう。水路や、俺が使う分の水が目に見えて減ったら、その時は水槽を撤去すればいい。

タゴサックは、「見守られてる中で、そんなこと起こらないと思うぜ?」って言ってたけど。道に面してるから人目もあるし、そんな場所で馬鹿な真似はしないってことかね?

それに、数人に試してもらうと、新たな事実も判明した。結構有名なプレイヤーさんが、発見したのだ。

「これって、経験値が捧げられてるんじゃないですかね?」

「え? 経験値?」

「はい。特定のボスが使う経験値ドレインと同じエフェクトですから」

まじ? 祈ったら経験値吸われちゃうの? それじゃ、みんなに祈ってもらうとか無理じゃん! せっかく植え替えたのに!

そう思ったが、水臨樹は光りっぱなしだった。

経験値が吸われている可能性が高いとちゃんと説明したんだが、誰も躊躇しないのだ。それどころか、積極的に祈って、どれくらい経験値が吸われているか自主的に検証し始める奴らまでいた。

お祭り状態になってるせいで、みんなテンションおかしくなってるのかね? まあ、注意はしたし、ここから先は自己責任でお願いします。