軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

665話 狐と刀

「大丈夫か?」

「うひゃい! だいじょうぶでしゅ!」

「そ、そうか」

ロクロネックは相変わらずキョドキョドしているが、探索自体は非常に順調だった。

浜風たちと一緒に妖怪を捜し歩くと、すぐに妖怪の痕跡を発見できたのだ。それは、黒い影のようなものがユラユラと立ち昇る、足跡である。

この謎の足跡は、パーティにクエスト受注者がいると出現するようになるらしい。そして、妖怪察知などのスキルに反応するようになるので、後は追っていくだけだった。

ただ、パーティメンバーのスキル構成などによって足跡の数がメチャクチャ少ないことなどもあり、散々歩き回ったのに制限時間内に追いつけないこともあるのだ。

「あっちに反応があるな」

「じゃ、いきましょう!」

「そ、そうですね」

今回は全員が妖怪察知を持っているので、途中で足を止めることさえほぼない。夜だけど、浜風とロクロネックがいれば雑魚との戦闘は問題ないしな。

「浜風の妖怪、スゲーな! なんだよあの狐さん!」

浜風の主力は、2尾の赤狐だ。キタキツネっぽい感じの外見が非常に可愛い。

だが、強い。

放つ火炎は一撃で第11エリアのモンスターを倒す威力があるし、幻影のようなものを使って相手の攻撃を空振りさせたりしている。

幻影を使ったヘイト管理も行えるようで、後衛が攻撃されることもほぼなかった。

「超かわいいうえに、強いとか羨ましいんだけど!」

「でっしょー? いやー、本当に苦労したんだから!」

浜風がチャガマのようなタイプの妖怪を求めて骨董品屋さんを巡っていると、そこで狐の置物を発見したらしい。

狐型の狛犬みたいな雰囲気で、非常に古そうだった。そこで、その狐の置物を購入して持ち帰ると、神棚というオブジェクトを作れるようになっていたという。

「置物もそうだったけど、神棚作るのも結構お金かかっちゃった」

しかも、そこからは神棚に収めた狐の置物に対し、様々な供物を捧げる必要があったそうだ。

油揚げを自作するとは、浜風の執念は凄いよな。

「それで7日間、求められた供物をお供えし続けると、狐の置物が妖怪化して友誼を結べるってわけ」

「なるほどなぁ」

苦労するだけあって、狐はかなり強い。複数の火の玉を操る『狐火』、幻を生み出す『狐尾』の2種類の能力を持っていた。

「そのうち、九尾とかになるのかね?」

「だったら嬉しいけど」

狐は羨ましいが、以前骨董知識スキルを手に入れるために骨董品屋を巡った際、発見することはできなかった。

かなり確率が低いのか。陰陽師じゃなきゃだめなのかなんだろう。でも、また骨董品屋さん巡りをしてみようかな。

「ロクロネックの刀もかっこいいしな」

「え? あ、そうですか? えへへ」

ロクロネックは、陰陽師なのに刀を使った接近戦を主体としていた。しかも、その刀が妖怪なのだ。

これもまた、骨董品の妖怪である。茶釜からブンブクチャガマが生まれたように、刀から誕生したそうだ。

妙にボロボロな刀が売っていて、インテリア代わりに購入したらしい。しかし、修復するとかなり強かったので、自分で使うことにしたそうだ。

そうして使っていると、友誼が結ばれ、刀が目覚めたというアナウンスがあったという。刀は、付喪神という妖怪だったのだ。

「もともと付喪神になる寸前で、私が使っている内に目覚めたんだと思います」

「なるほどなぁ」

俺も古い道具を探してみよう! ただ、狐と同じで前回発見できなかったし、何か条件を満たしていないんだろう。

刀の付喪神の能力は、装備者の刀スキルにボーナスを与える『刀巧』と、斬撃の攻撃力が上昇する『斬魔』の2つだった。

装備されることが前提なので、本人が前に出て戦わないと本領は発揮されないが、その分かなり強いようだ。ロクロネックの攻撃、雑魚なら一撃だしね。

「私たちとしては、白銀さんのチャガマちゃんが羨ましいけどね!」

「そ、そうですね。回復、いいですね」

今のところ、回復能力を持つ妖怪は、ブンブクチャガマしか発見されていないからな。

あと、ロクロネックはその名の通り、ロクロ首を捜しているそうだ。何でって思ったら、昔から好きであるという。

「あの、首がウニューンて伸びる感じ! 可愛いですよねっ!」

「そ、そうだな」

「ですよね!」

まあ、何を好きかなんて人それぞれだから別にいいけど、珍しいことは確かだろう。

「見つけたら教えて下さいねっ!」

「お、おう」

ずっと挙動不審だったのに、好きなものの話をするときは前のめりだ。そのオタクっぷり、親近感が湧く。

「あ、ご、ごめんなさい……」

「いや、気にすんな」

「もう! 何やってんの2人とも! 早く行くよ!」

そうして歩き回ること1時間。

「い、いましたよ!」

「発見!」

「あれが、黒い影か。確かにそうとしか言えんなぁ」

「でしょ? メッチャ強いんだから」

森の少し開けた場所に、全身がユラユラと揺れる影で構成されたナニかが立っていた。

一応、二足歩行の人型かな? ただ、身長は3メートル近くある。

聞いた話では、オーガのようなパワーファイターらしい。厳しい戦いになるだろう。頑張らねば。

「じゃあ、行くわよ!」

「おう!」

「は、はい!」