軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

66話 タゴサックと情報

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昨日は何とか明るい内に常設クエストをこなすことが出来た。

今日も引き続き常設依頼をこなさないとね。日替わりだそうだから、弱いモンスだとありがたいんだけど。

まあ、その前に収穫と調合だな。

そう思って畑に向かうと、無人販売所の前にすでに人の列があった。先頭の奴など椅子まで用意している。しかも小さい折りたたみ椅子などではなく、リビングなどに置く用の普通の大きい椅子だ。

インベントリがあるからこそできる荒業だろう。

「いつから並んでたんだ?」

オルト達はわかるかな?

「なあ、あの人たち、いつから並んでるか覚えてるか?」

「ム?」

「キュ?」

「クマ?」

3体は俺の質問に全く同じ角度で首を傾げる。可愛い。でも覚えてはいないようだな。頭の上に?マークが見えるかのようだ。

ただ、サクラはちゃんと覚えていたらしい。さすがお姉さん。右の指を5本立てて、左手でプレイヤーたちを指差す。

「5時間前か?」

「――♪」

マジかよ。気合入りすぎて逆に怖いんだけど。彼らは俺を見ても騒ぐことなく、道の端によってお行儀よく並んでいる。さすが日本人だ。

ただ、自分で言うのもなんだが、こんな風に並ぶほどか? 俺はリアルでもコーヒーとハーブティーを水代わりに飲むくらい好きだけど、一般的にはハーブティーを苦手な人も多いはずだ。

いや、ゲーム中で飲むハーブティーは美味しいし、気に入る人も多いだろうとは思ってたんだけどさ。こんな沢山の人がハマるとは思ってもみなかった。

「まあ、とりあえずハーブティーを作って補充しておこう」

昨日の分はアッと言う間に売り切れちゃったみたいだし、今日は制限を1人3つまでにしておこうかな。

昨日と同じように、先にハーブティーを調合して補充に行くと、列に並ぶ人が増えていた。俺の姿を見つけると、全員が急かすように見つめてくる。

昨日みたいに言い寄ってくるわけでもなく、礼儀正しいと言えばそうなのかもしれないが、無言で見つめられるのもプレッシャーである。

俺は販売所にササッと補充して、そそくさとその場を立ち去る。背後では並んでいたプレイヤーたちが早速無人販売所でハーブティーを買っている気配があった。

さて、俺はしばらく納屋の中でポーションの調合をしようかな。

「お、魔力草も解毒草もきちんと収穫できてるな!」

名称:魔力草

レア度:1 品質:★3

効果:MPを5回復させる。クーリングタイム5分。

名称:解毒草

レア度:1 品質:★3

効果:使用者の微毒を30%の確率で回復させる。

早速レシピを確認してみる。魔力草を使ったレシピが1つ解放されていた。材料は魔力草と薬草と陽命草と水。解毒草の方は解毒草と陽命草と水だった。数が足りないから、しばらくは増やす方に専念しないといけない。調合する日が楽しみだ。

「あとは……。何だこれ? うちの畑にこんなの植えた覚えないけど? 雑草でもないみたいだし」

俺が見つけたのは、苦渋草というアイテムだった。いつの間にインベントリに入っている。インベントリ内の並びからして畑で採取した物であることは確実だが……。

名称:苦渋草

レア度:2 品質:★1

効果:品種改良作物。素材。非常に苦い。

おお、品種改良で作った謎の種が収穫できたのか! 超苦い雑草水と、素材にするとやはり激苦いホレン草を混ぜて作った作物で、名前が苦渋草。百パーセント苦くて渋いよね。

レシピも複数あるぞ。苦渋草だけで作れるのは、苦渋草×3と水で作れるアイテムか。効果もよく分からんな。

これも魔力草や解毒草と共に育てよう。しかし、本格的に畑が足りなくなってきた。やっぱり雑草用の畑を縮小するしか……。

でも、ハーブティーの作成数が減っちゃうよな。せっかく売れてるんだし、それはそれで勿体ない気もするな……。

「うーん」

コンコンコン。

誰か来たみたいだな。納屋の扉がノックされた。ホームに入ってこれるんだから、フレンドの誰かであることは確かだろうが。

「ユート! おはようさん!」

「タゴサックか」

悩んでいたらタゴサックがやって来た。彼女も朝から農作業をしてたみたいだな。土で汚れた作業着に身を包んでいる。

俺は納屋から出て彼女を迎えた。

「おはよう」

「おう。にしても盛況だな」

「まあね」

さっきよりも列が延びてるし。これは1人3個でもすぐ売り切れてしまいそうだ。

「実は、ちょっと頼みがあって来たんだ」

「頼み? 内容によるけど……」

「実はな――」

タゴサックが言うには、彼女はファーマー掲示板で頻繁に書き込みをして、情報交換をしているらしい。

俺の話も、そこで色々と語られてるみたいだな。まあ悪いことは書かれてないというし、別に構わないんだけどさ。

本題は、昨日俺に聞いた話を掲示板に書き込みたいが、許可してほしいという事だった。

そもそもは、そこで俺の畑の詳しい話を知りたいという話が出て、タゴサックも興味を持って隣に畑を買ったんだとか。

「ズルい話だが、それをきっかけに話を聞き出そうとしたんだが……」

「でも、わざわざ俺に許可を取りに来るような話だったか?」

NPCを雇っておらず、オルトが凄いっていう話をしただけだ。別にその話が多少広まったって、俺に直接害があるとも思えない。俺がノームを連れていて、そのノームがファーマーモンスターだっていうのは調べればすぐに分かることだし。目新しい情報という訳でもないだろう。

水臨樹の話にしても、アリッサさんに情報を売ったからその内広まるだろうし。

「けじめだよ。ユートと話して、想像以上にお前が良い奴だって分かったしさ。なんか騙してるみたいでな……。フレンドにもなったし、ここは正直に話しておこうと思ったんだよ」

律儀なやつだ。まじで姐さんと呼びたいぞ。

「別にいいぞ」

「本当かい? ありがとう」

「その代わり、1つ相談に乗ってくれないか?」

「いいぜ。どんとこいだ」

タゴサックが胸を叩くと、服の上からでも分かる豊かな膨らみがフユンと揺れた。くっ、男前なのにこのスタイルか! 無防備に見ちまったぜ!

「どうかしたか?」

「い、いや、何でもない。相談なんだが、第3の町の畑について聞いてみたくてさ」

「お、遂に畑を広げるのかい?」

「考え中だな。向こうで畑を買う場合、値段とか、畑の質はどうなってるのか知りたいんだよ」

「いいぜ、教えてやるよ」

タゴサックによると、畑の質などは始まりの町とほとんど同じらしい。だが、上限が1つ上がっているようで、最高で★6品質の物まで育てられるようだな。

値段は1つにつき1000G高く、最低価格が3000G。4000、7000、11000となっている。

上限が高いというのは良い情報だ。だが、町の間を一瞬で行き来するための転移装置は、使用するのに一人一回2000G掛かるらしいので、毎日の行き来には結構な額がかかりそうだ。

この転移、当然従魔も払わなくてはいけないらしいので、オルトとサクラだけを連れて行っても4000G必要なのだ。

「まあ、ユートならすぐ回収できるだろうし、問題ないんじゃないか?」

やはり第3の町に行かないといけないかもな。