軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

653話 北の都ヒュルン

アリッサさんの叫び声を堪能した俺は、北の第10エリアにやってきていた。

「白銀さん! こっちです!」

「おー、今回は協力してくれてありがとな」

「いやいや! むしろこっちこそ誘ってくれてありがとうございます!」

駆け寄ってきたのは、再びのイワンたちである。

実はアリッサさんの提案で、第11エリアの解放戦に再び参加することになったのだ。

切っ掛けは水宝珠だった。アリッサさんが雄たけびを上げた後に、忘れていた水宝珠の情報を教えたらつっぷしてしばらく起き上がらなくなってしまったのである。意外とパンチ力がある情報だったようだ。

そして、まだ俺が戦っていない、北と南の解放戦に挑戦してみないかという話になったわけだった。

宝珠が確定で出るのか知りたいらしい。運が良かっただけで、絶対に出る訳じゃないと思うとは説明したんだけどね。それでもいいから検証がしたいってことだった。あと、その後に町でのんびりしてほしいとも言われている。

まあ、とりあえずレイド戦だ。

とりあえずって言うくらいで、その後はパーティでの解放戦の方も付き合うことになっている。人数によってパーティ戦、レイド戦に変化するらしいからね。ドロップ率の変化を検証したいようだった。

まあ、のんびりイベントの合間に戦闘するのも、メリハリがあって良いだろう。

その後、早耳猫のギルマスであるハイウッドや、検証班の人員たちとレイドパーティを組んで挑んだレイドボス戦は、語るような大きな事件は何も起きなかった。

あえて言うなら、皆強すぎじゃね?

北のボスである、ワイバーンの体に蜘蛛足が生えたスパイダーワイバーン。毒を吐きまくるうえ、洞窟内を高速で移動する厄介な敵だったが、罠で動きを止めれば楽勝だった。

南のボスである、長い八本腕を持つオクトパスゴーレム。こちらは、タンクを多く引き連れていき、ガードしてもらいながら魔術を撃ちまくる戦術で、15分かからずに勝利できてしまった。

初見では超恐ろしい凶悪なボスたちも、情報が丸裸になってしまえばこんなものなのだろう。いや、俺には無理だけどさ!

結局、両者合わせて2時間かからなかったんじゃないか? まさか、今日の内に第11エリアを全て解放できるとは思っていなかった。

ああ、宝珠は出たよ? しかも、両方で。スパイダーワイバーンからは風宝珠、オクトパスゴーレムからは土宝珠がドロップしたのである。

ただ、今回は俺だけじゃなかった。ハイウッドも一緒に土宝珠を手に入れていたのだ。メイプルなんかは、これでまた分からなくなったと頭を抱えていたけど、ハイウッドは素直に喜んでいたのだ。

「それじゃあ、このまま公園に行きましょう」

「おう、そうだな」

早耳猫のメイプル、ルイン、カルロと一緒に、北の都ヒュルンを歩く。目指すは、町の中央にある公園だ。

ここでものんびりして、のんびりイベントを起こそうというのである。

「楽しみですね! 公園で遊ぶのなんて、小学生ぶりですよ」

「あー、私もです」

「儂もだ」

カルロとメイプルはともかく、髭面のルインが公園で遊ぶ姿って、ヤバくね? リアルだったら通報もんだぞ?

「ムム!」

「キキュ!」

「なんじゃ?」

オルトとリックがルインに纏わり付きながら、何やらアピールしているな。その意味が解らず、ルインは首を傾げている。

「多分、自分たちが遊び方を教えてやるって言ってるんだと思うぞ」

「ム!」

「キュ!」

オルトとリックが胸を張って、サムズアップする。それを見て、ルインが笑いながらオルトたちの頭を撫でた。

「ガッハッハ! 頼むぞ!」

「ムムー!」

「キュ!」

オルトが楽し気に笑い、リックはルインの肩に飛び乗ってヒゲをモジャる。

うちの子たちって、ルイン好きだよね。アメリアとかウルスラよりも、余程懐いている気がする。髭か? 髭なのか? まあ、みんなで楽しくワイワイできそうだからいいけど。

ただ、順調なのはここまでだった。公園でどれだけ遊んでいても、NPCが出現しなかったのである。

「うーん。十分のんびりしてるんだけどなぁ」

「夜だからとかはないのか?」

「いやー、どうなんだろう。でも、関係ないと思うんだよな」

のんびり庵は夜でも問題なかったし。

とは言え、出現しないものは仕方ない。俺たちはとりあえずバラバラに分かれて、町の中に怪しいものがないか探してみることにした。

最初は普通に歩き回っていたんだが、モンスたちが飽き始めたらしい。今回は特に飽きっぽい、オルト、リック、ファウ、アイネ、ペルカの子供メンバーを連れてきてしまったのもマズかった。

「キキュー!」

「ちょ、あんま走ると人にぶつかるぞ!」

「ヤヤー!」

「露店のもの勝手に触っちゃダメー!」

「フマー!」

「狭い道で追いかけっこするなー!」

ちびっ子たちを必死に追いかけていたら、周囲からメッチャ見られていることに気付く。大通りで盛大に騒いでいたからだろう。

俺は即行でその場を去ることにした。モンスたちを連れて、大通りから裏道に逃げこむ。

「まったくもー。お前らのせいで悪目立ちしちゃった――って、あれ! 猫だ!」

壁の上に猫がいた。メッチャ可愛いなぁ。この町では初めて見たんじゃないかね?

「ウナー」

「あー、行っちゃった」

「ペペン!」

「ええ? そこ登れんの?」

ペルカが猫を追って、壁を登って行ってしまった。小学生の頃、ブロック塀の上を歩いていたヤンチャな自分を思い出す。

しかも、他の子たちもペルカを追って行ってしまったのだ。これ、不法侵入的な扱いにならない? というか、お屋敷とお屋敷の間の壁、進んでいけるのかよ!

「と、とりあえず追うぞ!」

「ニュー」

「――♪」