軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

620話 第五形態

ジークフリードとレーに担がれたスケガワを、サーベラスライオンが追いかける。

「ガオオォォォ!」

「うぎゃぁぁ! 尻が燃えた!」

「大丈夫! ダメージは少ないよ!」

「くふふふ。尻を焼かれるなんて、珍しい体験をしましたね!」

「そういうことじゃねーんだよ! なんか怖いの!」

相変わらず気の抜けるやり取りをする3人とは違い、ハイヨーとハナズオウはキリッとした顔で全速力だ。優秀な馬たちだね。

ただ、3人を追っていたサーベラスライオンの進路が、微妙に横に逸れた。その目が見ているのは――俺かよ!

毒か! あれで俺のヘイトが溜まっちまってるのか! 香水で一時的にスケガワに移動したヘイトが、俺が目に入ったことでまた俺に戻ったらしい。

やっぱり、ヘイト管理は重要だな!

俺は大慌てで、罠とボスが並ぶ場所に移動する。何とか間に合ったらしく、ボスが罠のある場所へと全速力で突っ込んできた。危なかったぜ!

そして、サーベラスライオンが罠を踏み抜く。

「ガアアオオォォォオォォォ!」

「よっしゃ! 成功だ!」

「ホランドさん、ヒューイさんの奥義の後に、総攻撃を仕掛けます!」

コクテンの指示通り、皆がサーベラスライオンを囲んだ位置で、待機する。その直後、ホランドたちが奥義を放っていた。

「うぉぉぉ! シャイニングセイバー!」

「闇よ、爆ぜろ! 暗黒爆炎陣!」

ホランドの光の剣もかっこいいが、ヒューイの奥義はメッチャ中二心がくすぐられるな! ボスの足元に魔法陣が描き出されると、真っ黒な爆炎が吹き上がるんだぞ!

ヒューイの必殺技を見たレーが、羨ましそうな顔をしている。

「くふふ。私もあんな暗黒丸出しの技を繰り出してみたいものですねぇ。技名は固定なのでしょうか?」

「それよりも、攻撃をするぞ!」

「そうだね! ハイヨー、突撃だ!」

「ヒヒーン!」

「ちょ、まずは俺を降ろしてからにして!」

おっと、俺たちも攻撃を仕掛けないとな。攻撃ができるメンバーで、ひたすら攻撃を繰り出す。

こうやって見ていると、奥義ほどじゃなくても溜めが必要な大技を持っているやつも結構いるな。動いている相手には当てづらい、威力重視の上位アーツなんだろう。

コクテンやサッキュン、クルミなどのアーツはかなり強そうだった。それでも、ホランドとヒューイのダメージには届いていないが。

多分、奥義使えるメンバーを揃えて、全員で一気に畳みかけるのが正しい罠の利用法なんだろうな。

最後、動き出したサーベラスライオンにリキューの爆弾が炸裂し、チャンスタイムは終了したのであった。全員の攻撃で、一割以上はゲージがけずれたはずだ。

そして、再び訪れるパワーアップ。

「グオオオォォォォォォォォォォォ!」

HPが残り2割を切ったことで、第五形態へと変貌を遂げていた。今まで以上に、外見の変化が凄まじい。

二回りほど巨大化し、全身の毛が炎と化したのである。しかも、速度が上がりやがった。今まで以上に激しく駆け回りながら、巨大な火球を連続で吐き出してくる。

さらに厄介なことがあった。

「罠が発動しても、全然効かねぇ!」

スケガワの悲鳴の通り、罠が効果を発揮しなかった。どうやら、罠を無効化するような能力を持つらしい。

小細工なしで、正面から戦えってことなの?

「ホランドさん! クルミさん! バイデン! かなり厳しいが、頼む!」

コクテンの指示により、盾役たちが前に出た。罠が効かない以上は、盾で受け止めて、一斉攻撃を行うつもりであるらしい。

しかし、そう思い通りにはいかない。

サーベラスライオンはこちらと距離を取ったまま、遠距離攻撃ばかり仕掛けてくるようになったのだ。今まで以上に激しく、火球の中には爆発を起こすものが混ざり始めている。

しかも、時おり突進攻撃を挟むのだからたちが悪い。この突進攻撃は弾き飛ばす効果が高いようで、前衛を蹴散らしながら後衛も巻き込んで突き抜けていく。

直接攻撃が当たれば大ダメージだし、近くを通り抜けただけでも撒き散らされる火の粉でダメージを受けるのだ。

サーベラスライオンが第五形態になって僅か3分。全員のHPが半減し、すでに5回は蘇生薬を使用している。

俺はここで、モンスを大幅に入れ替えることにした。やつの突進攻撃の前に、盾役とか意味ないしな。

「オルト送還! 召喚キャロ!」

「ヒヒーン!」

「リリス送還! 召喚ブンブクチャガマ!」

「ポコポン!」

俺が呼び出したのは、逃走力強化のキャロと、範囲回復可能なチャガマだ。さらに、チャガマにはもう1つ仕事がある。

「チャガマ! 招福!」

「ポーン!」

戦闘後のドロップに影響する、招福だ。実は、どうせ初見突破は無理だと思って、招福はあえて使わなかった。死に戻った場合の残念報酬がどうなるか、正確なデータが欲しかったからだ。

しかし、もしかしたら初見突破できるかもしれないくらい相手を追い込み、回復が必要な状態で、チャガマを使わない手などないだろう。

「キャロ! ボスから逃げるのは任せる!」

「ヒヒン!」

「チャガマは茶芸で回復を!」

「ポコ!」

勝つにしても、負けるにしても、戦闘時間は残り少ない。頑張るぞ!