軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

614話 攻撃開始

扉を開けて広間に入ると、そこには前回と同じ光景が広がっていた。

天井と地面、双方から突き出す無数の鍾乳石と、視界を遮る暗闇。天井にはヒカリゴケが僅かに生えているんだが、その光は本当に微かなのだ。

「よし、進みましょう」

「そうだな」

リーダーのコクテンと、サブリーダーっぽい立ち位置のホランドの掛け声で、俺たちは先へと進んだ。

数十メートルほど進むと、目当ての存在が次第にその輪郭を露わにしていく。暗い広間の中央に鎮座する、黄金の巨体だ。

「HPバー確認」

「名前確認。サーベラスライオンで間違いなし」

あとはある程度近づくか、罠などを設置するか、攻撃を行うと戦闘開始である。先制攻撃ができるのは有難いが、戦闘開始前は非常に硬いらしい。

「じゃあ、私が開戦の攻撃を行いますので。戦闘が始まったらセキショウ、ヒューイさん、ソーヤさん、最初の一撃を頼みます」

「了解!」

「わかりました」

「はい!」

ニャムンちゃんの前だから、妙にテンションが高いセキショウと、ヒューイが魔術の詠唱を開始する。ソーヤ君は、緑の魔本を取り出して開いた。なんと、この戦いのために風特化の魔本を作ってきたらしい。

相手の弱点が分かっていれば、そういった使い方もできるんだな。

「では、行きます!」

コクテンが足元の石を拾って、サーベラスライオンに投げつけた。ダメージはないが、攻撃であると認識されたらしい。

「グルルル……ガオオオォォォォォォ!」

ややアニメチックな、これぞという感じのライオンの咆哮が洞窟内に響き渡る。同時に、やや大きめの赤いマーカーがサーベラスライオンの頭上に出ていた。

レイドボス戦の開始である。

それとほぼ同時に、セキショウたちの詠唱が終了する。2人が発動した魔術によって生み出されたのは、小さい竜巻だった。

左右から迫る竜巻を見て、サーベラスライオンが身構える。だが、回避をしようとする様子はない。

受け止めようというのか?

皆が息をのんで見守る中、左右のライオンの頭が、口から炎を吐き出した。長く伸びる火炎の舌と竜巻がぶつかり合い、爆発が起きる。

爆風に耐えてなんとか目を開けると、竜巻が消滅してしまっていた。なんと、魔術を打ち消したらしい。左右の頭は、横合いからの攻撃を迎撃する役目があるのかもしれなかった。

正面から飛んでいったソーヤ君の風の弾丸は、消されることなく当り、HPを削っている。ダメージは大きくはないが、風属性が通るのは確認できたね。

「やはり一筋縄ではいきませんね! 支援職はバフを!」

「了解ニャ! あちしの歌を聞けニャー!」

「ヤヤー!」

ニャムンちゃんが演奏するのは、速度とクリティカル率上昇の歌。ファウは防御力上昇の曲である。さらに、ソーヤ君、ふーかも、アイテムによるバフを行っていた。

「おらぁ! こいや!」

「ガオオオォォ!」

「こっちだよ!」

バイデン、クルミがそれぞれ挑発系の技を使用してヘイトを取ろうとする。敵のターゲットは片方しか取れなくても、ヘイト値は溜まるのだ。結果、片方のタンクが落ちても、ボスのターゲットは次にヘイト値が高いもう1人のタンクへと向かうという訳だった。

今回は、先にバイデンがヘイトを取ったらしい。

サーベラスライオンがのそりと前に出ると、その大きな前足を振るった。

ガイイィィン!

爪とバイデンの大盾がぶつかり合い、大きな金属音が鳴り響く。

見た目だけなら、バイデンが吹き飛ばされて終わりだろう。だが、さすがはトップクランのメイン盾。

一歩も動くことなく、ボスの攻撃を受け止めていた。だが、俺以外のプレイヤーたちは、驚いている様子はない。どうやら、あれくらいは当たり前であるらしかった。やはり最前線は修羅の巷だぜ。

「ホランドさん! ジークフリードさん!」

「ああ! いくぞ!」

「任せてくれ!」

攻撃後の僅かな硬直を狙い、ホランドたち前衛攻撃組が仕掛けた。正面はホランドだ。なんと、ジャンプして頭を狙いに行った。

最初は慎重に、弱点がどこにあるか探すって話だったが……。ホランドにとっては、あれが慎重なのだろうか? やっぱ最前線怖い。

コクテンやサッキュンは、足狙いだな。左右の足に攻撃を加えている。

ジークフリードたちは、回り込んで後ろ脚を狙おうとしていたようだ。だが、それは左右の首が吐き出す火炎によって阻止されていた。

やはり、左右の首は側面攻撃への対処を担当しているようだった。ただ、ジークフリードたちがうろちょろしている限り、左右の首が正面部隊へ火炎を吐く可能性が減る。

あれも大事な牽制だろう。

で、俺が最も期待しているメインアタッカー、KTKなんだが……。

「どこだ?」

「どうしました白銀さん?」

キョロキョロしていると、コクテンのパーティの回復担当、ナンザンが声をかけてきた。戦場で気を抜きすぎたか?

「KTKと、ついでにムラカゲどこだ?」

「あー、あの人たちは、どこかに身を潜めて、ステルスアタックを狙っているはずです。私たちじゃ、見つけるのは難しいと思いますよ」

「なるほど……」

奇襲を仕掛けるため、息を潜めているってことか。おっと、奴らを探すよりも、攻撃を仕掛けねば!

「リリス、ペルカ! 俺と一緒に魔術で攻撃だ! 少しでも役に立つぞ!」

「デビ!」

「ペペン!」

守りはオルトとクママ、回復はルフレに任せて、俺たちはひたすら攻撃だ。せめて、足手まといにはならんぞ!

「どりゃああ!」

「デビビー!」

「ペペーン!」

豆鉄砲でも数を当てれば大きなダメージになる――はずだ! きっと! 多分?